Topics | 2016.07.08
NY発アイウエアブランド「Warby Parker」がファッショニスタに支持される5つの理由

NY発アイウエアブランド「Warby Parker」がファッショニスタに支持される5つの理由

「ユニコーン企業」と呼ばれる、10億ドル以上の企業価値を持つ未上場のスタートアップ企業。現存する約160のユニコーン企業の中の数少ないファッションスタートアップの一つに、「Warby Parker(ワービー・パーカー)」というニューヨーク発のアイウエアブランドがあります。

創業から5年目にあたる2015年には、100万ドルの資金調達に成功。また、ヴィンテージメガネ風のスタイリッシュなアイウエアには、ファッショニスタ達からラブコールが殺到しています。

ビジネス的にもファッション的にも注目が集まるWarby Parker。その支持される理由は、一体どこにあるのでしょうか?

― Warby Parkerブログより
― Warby Parkerブログより

アメリカでは、メガネは決して安い買い物ではない

日本国内では「JINS(ジンズ)」や「Zoff(ゾフ)」など、ファッショナブルなアイウェアを約¥5,000~10,000前後で購入できる、カジュアルなショップが沢山ありますが、実は、アメリカでは必ずしもそうではないことをご存知でしょうか?

Costco(コストコ)やWalmart(ウォールマート)で買える安いメガネでも$150~200(約¥15,000~20,000)ほど。もっとオシャレなアイウェアが欲しければ、$200~400(¥20,000~40,000)もするブランド品を選ぶことになります。アメリカでは、メガネは決して安い買い物ではないのです。

この背景には、「Ray-Ban(レイバン)」や「Oakley(オークリー)」、そして「OLIVER PEOPLES(オリバー・ピープルズ)」を傘下に収め、「CHANEL(シャネル)」、「MIUMIU(ミゥミゥ)」、「PRADA(プラダ)」、「VERSACE(ベルサーチ)」など、数多くのラグジュアリーブランドのアイウエアをライセンス生産している世界最大のアイウエア企業、「Luxottica(ルックスオティカ)」の存在があります。

アメリカ国内になんと5,000以上の販売拠点を持つ同社は、アメリカのアイウエア市場を文字通り独占している状態で、私たち消費者は高いマージンが上乗せされたアイウエアを買う以外には、ほとんど選択肢はありませんでした。

1.ファッショナブルなアイウエアを手の届く価格で

そんなアメリカのアイウエア市場に革命を起こすべく、2010年に立ち上げられたのがWarby Parker。自社で一貫してデザイン・製造を行い、オンライン販売でコストを削減。ハイクオリティーなアイウエアを、一律$95(約¥9,500 ※リミテッド・エディションを除く)という、今までよりもずっと手の届きやすい価格で販売を開始しました。

ビンテージ風の洗練されたデザインは、瞬く間にファッショニスタ達の心を掴みました。ちなみに、フレームの素材には、日本製のプレミアムなチタンも使用されています!

日本製のチタンが使用されている「Windsor Spring」コレクション― Warby Parkerブログより
日本製のチタンが使用されている「Windsor Spring」コレクション― Warby Parkerブログより

2.自宅で思う存分試着ができる「HOME TRY-ON」

顔の印象をガラリと変えるアイウエア、選ぶ際に試着は必要不可欠ですよね。オンラインでアイウエアを販売するWarby Parkerが取り入れたのは、「HOME TRY-ON」という、好きなアイテムを最大5つまで無料で5日間借りることが出来るサービス。

ウェブサイトから試してみたいアイウエアを選ぶと、約1週間で自宅に届けてくれるんです。

Home Try-Onセット― Warby Parkerウェブサイトより
Home Try-Onセット― Warby Parkerウェブサイトより

5日間思う存分試したら、送料無料で返却するだけ。気に入ったアイテムがあれば、改めてサイトからオーダー。届いたものを買い取るのではなく、新品の商品を届けてくれます。

私も実際にHome Try-Onを注文して自宅で試してみましたが、周りの目を気にすることなくめいっぱい試着ができ、とても気に入りました。ただしサンプルレンズなので、本当のクオリティーを確かめるならお店で試した方が良いかも。

また、どのアイウエアが一番自分に似合ってるか迷ってしまったら、ハッシュタグ #WarbyHomeTryOn を付けてソーシャルメディアに投稿するとWarby Parkerがアドバイスをしてくれるんです! サイトではライブチャットで相談にのってくれるサービスも。

3.ブランドの世界観が詰まった試着ONLYのリアルショップ

オンライン販売からスタートしたWarby Parkerも、2013年にはブランド初となる旗艦店をニューヨークのSoHoにオープンしています。2016年6月現在では、ニューヨーク・カリフォルニア・フロリダ・テキサスなど、米国内17の州に32の店舗を構えています。

図書館をイメージした店内。ニューヨークのSoHoにある旗艦店。― Warby Parkerウェブサイトより
図書館をイメージした店内。ニューヨークのSoHoにある旗艦店。― Warby Parkerウェブサイトより

リアルショップ展開でありながらとてもユニークなのは、「買ったその日に商品を持ち帰ることが出来ない」というところ。Warby Prkerにとってのリアルショップとは、ブランドの世界観を体現する場であり、オンラインで販売されているアイテムを実際に手にとって試すためのショールームとして位置づけられているんです。

店舗では、Warby Parkerのメガネやサングラスなどアイウェアのフルラインを試すことができるほか、一部店舗では視力検査を受けることもできます。(※)気に入ったアイテムがあればその場で注文を行い、後日自宅に配送されるという仕組み。

(※)日本国内のアイウェアショップでは、無料で視力検査を受け、その日のうちにオーダーした商品を持って帰ることができる場合も多いですが、アメリカでメガネを購入する際には医師による処方箋が必要なんです。視力検査を行って処方箋を発行してくれるショップもありますが、眼科で発行された処方箋をショップへ持って行かなくてはならない場合も多いです。また、Warby Parkerを含め、処方箋の発行にはもちろん検査料金がかかります。

また、「Warby Parker」というブランド名は、とある書物の中の登場人物「Warby Pepper」と 「Zagg Parker」に由来するそうで、店舗内にはモダンで洗練されていながらも、歴史ある「図書館」を思わせるデザインが取り入れられています。

私が訪れたサンディエゴのLa Jollaにある店舗は、西海岸のビーチ近くのロケーションということもあってか、開放的でリラックスした雰囲気。図書館というよりも、アートギャラリーのような雰囲気でした。また、店舗内のインテリアとしてだけでなく、センスの良い書籍も一緒に販売されているんです。Warby Parkerがセレクトするユニークな書籍に加え、ブランド初のオリジナル書籍『50 WAYS TO LOSE GLASSES』も購入することができます。

ありとあらゆるメガネを失くすシチュエーションをシュールに描いた絵本「50 WAYS TO LOSE YOUR GLASSES」。Warby Parkerのお店はもちろん、Amazonでも購入可能。― Warby Parkerブログより
ありとあらゆるメガネを失くすシチュエーションをシュールに描いた絵本「50 WAYS TO LOSE YOUR GLASSES」。Warby Parkerのお店はもちろん、Amazonでも購入可能。― Warby Parkerブログより

ジュエリーブランドの「BaubleBar(バウブルバー)」やハンドメイドのマーケットプレイス「Etsy(エッツィー)」など、オンライン発のブランドがオフラインにリアルショップを出すケースが増えていますが、Warby Parkerのように「試着オンリーのショールーム」展開は今後も増えていくと思います。

4.アイウエアを買って社会に貢献できる「Buy a pair, Give a pair」

世界人口のうち約15%もの人々が、視力矯正用のメガネが必要にも関わらず手に入れることができない、という現状があると言います。(※Warby Parkerのパートナー団体による調査データより)

「見る権利は全ての人にある」という信念のもと、Warby Parkerはアイウエア1つの売上に対して、1つのメガネを寄付をする「Buy a pair, Give a pair」という活動を行なっています。この活動は、途上国の男女に視力検査の実施方法を教育し、彼らが現地の人たちに非常に安い価格で販売できるようにサポートを行うWarby Parkerのパートナー団体を通して行われています。

ただメガネを無料で配るのではなく、現地の人たちに知識と技術を与え、彼ら自身の手で現地の人たちにメガネを格安で販売してもらうことで、彼らが安定的な収入源を得ることができるように支援しているんですね。

また、先日私が店舗を訪れた際には、ファンドレイジングを目的としたレモネードを販売も行われていました。レモネードにいくら払うのか、つまりどれくらい寄付をしたいかは自由に決めることができ、集まったお金は各店舗が選んだチャリティーへ全額寄付されるのだそうです。

― Warby Parkerブログより
― Warby Parkerブログより

調査会社nielsen(ニールセン)によると、ミレニアルズ世代は社会貢献に努める企業が販売する商品やサービスに対しては、積極的により多くのお金を払う傾向にあると言います。

安さや便利さのみならず、「社会的な正しさ」を実現しようとする真摯な姿勢に共感し、Warby Parkerを応援したくなるのかもしれません。弱い立場の人達から搾取をする企業と、弱い立場の人たちを助ける企業、どちらから商品を買いたいか? 答えは明白ですよね。

5.あくまでもビジネスの意思決定はデータファースト

ファッションビジネスは、いまだ経験則や感覚に頼る部分も多い世界。Warby Parkerはその世界観やマインドもさることながら、データ重視のテクノロジーカンパニーということを忘れてはいけません。

次はどこに出店するか計画する際にも、Warby Parkerのウェブサイトのトラフィックデータをもとにエリアを決定していると言います。また現在、スマホを使って視力検査が出来るアプリも開発中とのこと! 手元で検査したデータを元に処方箋を受け取ることができるようになれば、オンラインでのアイウエアの購入もさらに便利になりそうですね。

*****

「高品質」「適正価格」「社会貢献」。サンフランシスコ発のアパレルブランド「EVERLANE」しかり、ミレニアルズ世代に支持されるブランドには、このような共通点があるように思います。

物に溢れた豊かな時代に生まれ育ち、ファストファッションのブームをど真ん中で経験しているミレニアルズ世代はいま、品質が良いとは言えず、すぐに使い捨てられてしまう洋服たち、商品が手元に届くまでの裏側にある過酷な労働など、安さと引き換えにしたものに疑問を抱くようになっています。

やみくもな安さの追求ではなく、誰かの手により丁寧に作られた質の高いものへ正しい対価を払いたい、それによって、出来る事なら社会の誰かの役に立ちたい……。こういった価値観をテクノロジーの力によって実現するWarby Parker、その人気の理由が解るような気がします。

WarbyParker

warbyparker.com/
Cover photo by Warby Parkerブログ

Paris Wakana



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