Topics | 2016.11.18
2017 Spring / Summer コレクションで発表された「Fashion Tech」なアイテム5選

2017 Spring / Summer コレクションで発表された「Fashion Tech」なアイテム5選

2017 Spring/SummerコレクションのFashion Techハイライトは、各ブランドの「See Now, Buy Now」への取り組みに集約されるように思います。その一方で、服そのものにデジタルを取り入れる試みを行ったブランドは、意外に少なかったように感じます。とはいえ、イノベーティブな取り組みも多数ありましたので、今回のファッションウィークで発表された注目すべきFashion Techなアイテムを振り返って見たいと思います。

なお、2017 Spring/Summerランウェイショーにて取り入れられたデジタルマーケティング施策については、前回の私のコラム「チャットボットが秘める可能性-ファッションブランドのデジタルコミュニケーションはまだまだ進化できる」をご覧ください。

1. Chalayan× Intelのストレスレベルを表すウエアラブルデバイス

ニューヨークやロンドンに比べ、伝統的なファッションの商慣習を重んじるパリ・ファッションウィーク。クラフツマンシップの上に成り立つ、ラグジュアリーブランドの都であるパリでは、最新のテクノロジーを取り入れた服作りや「Buy Now, See Now(今見て、今買う)」の流れにもあまり積極的ではないようです。

そんな「コンサバ」なパリ・ファッションウィークにて、前代未聞のFashion Techを取り入れたコレクションを発表したのが、デザイナーのHussein Chalayan(フセイン・チャラヤン)。自身のブランド、「Chalayan(チャラヤン)」のSpring/Summer 2017コレクションにて、「Intel」との共同開発による、着用者のストレスレベルを表すウエアラブルデバイスを発表しました。

- Photo courtesy of Intel
- Photo courtesy of Intel

フセイン・チャラヤンがデザインする服といえば、ファッションの領域に留まらず、アートや建築、哲学、人類学、科学と様々な分野を横断する、コンセプチュアルで時にセンセーショナル。過去にも、15,000個のLEDライトとSWAROVSKIのクリスタルを埋め込んだドレス(Fall/Winter 2007)や、スカートになるテーブル (Fall/Winter 2000)、200個以上の動くレーザー光線が組み込まれた服 (Spring/Summer 2008)など、時代の一歩も二歩も先を行く、最新のテクノロジーを取り入れた作品を多数発表してきました。

今回のコレクションでは、ストレスレベルを測ることができるメガネと、メガネを通して測定したデータを可視化することができるコネクテッド・ベルトの2種類のウエアラブルデバイスが発表されました。

- Photo courtesy of Intel
- Photo courtesy of Intel

メガネには、「インテル® Curie™ モジュール」が使用され、着用者の脳波、心拍数、及び呼吸速度を測ることができるセンサーによって、着用者のバイオメトリックスデータを集めます。メガネを使って集められたデータは、「インテル® Compute Stick」が搭載されたコネクテッドベルトに送られ、人間が視覚的に理解できるデータへと変換されます。そして、ベルトに組み込まれたピコプロジェクター(スマホサイズの小さなプロジェクター)を使って、着用者のストレスレベルをリアルタイムで壁に投影します。

残念ながらこれらのウエアラブルデバイスの商品化については定かではありませんが、より実用的なものとなって登場することに期待したいですね。

2. ARを使って服に声を与えたANREALAGE

パリコレクション初日に発表された「ANREALAGE(アンリアレイジ)」の2017 Spring / Summerコレクションのテーマは、「SILENCE」。

沈黙の中に
声を探す
声なき服に
耳をすませば

というデザイナーの森永邦彦氏からメッセージを体現するべく導入されたのが、AR(拡張現実)技術でした。

- ANREALAGEウェブサイトより
- ANREALAGEウェブサイトより

ドレスを隠すように配置された黒の帯状のものを、専用アプリを使ってスマートフォン越しに覗くと、隠されていたパーツが音声とともに現れる仕組みになっています。コレクションと連動したアプリの開発は、AR三兄弟の川田十夢氏が担当。なお、現物の服だけではなく、パソコンのモニター越しでもARを体験することができるので、ぜひ専用アプリをダウンロードして、ご自身の目でコレクションを体感して頂きたいです!


コレクションを発表する方法の一つとして、ARを使った事例は過去にも、また今回のファッションウィーク中にも多数ありました。しかしながら、服そのものにAR技術を入れ込んでしまうのは、とても斬新な取り組みのように写りました。

3. ISSEY MIYAKEの電子ペーパーバッグ

9月30日にパリで行われたISSEY MIYAKE(イッセイミヤケ)のランウェイショーでは、電子ペーパーを使った、色が変わるバッグ「EB(ELECTRONIC BAG)」がお披露目されました。ANREALAGEに続き、再び日本発のブランドとテクノロジーが世界を沸かせました!

- Photo courtesy of Fashion Entertaiments
- Photo courtesy of Fashion Entertaiments

バッグに使用されているのは、ソニーのFashion EntertainmentsとISSEY MIYAKEが共同開発したフレキシブル電子ペーパー。 親指よりちょっと大きいくらいの丸いボタン(と言っても、テッキーな「スイッチ」的なものではなく、バッグのデザインに馴染んだ、むしろデザインのアクセントのようなもの。)を押すと、白と黒のグラデーション模様が変化します。さらに、加速度センサーによって、持つ人の動きに合わせても、デザインが変化するそう。

遠くから見ると白と黒の幾何学模様に見えますが、実は1枚の電子ペーパーに多数の穴を設け、その穴にテープ状にしたレザーが編み込まれているんです。これにより、「一枚の布」というISSEY MIYAKEのデザイン理念を体現しています。

- Photo courtesy of Fashion Entertaiments
- Photo courtesy of Fashion Entertaiments

こちらのバッグは、ブラックとホワイトの2色展開で、来年2017年4月にISSEY MIYAKEのショップで販売されるとのこと! ぜひ、お店で手にとって試してみたいですね。

ちなみに、Fashion Entertainmentsが手がける電子ペーパー搭載の柄が変わる時計「FES Watch」のホワイトモデルの一般販売がちょうど始まったところなので、こちらも併せてチェックしてみてください!

4. CHANELのLEDバッグ

ダフト・パンク風のロボットモデルがファーストルックを飾った今シーズンのシャネルのコレクション。データセンターを背景に発表されたコレクションのテーマは、「Initimate Technology」。

ss_fashion_tech_06

クラッチバッグから、クロスボディバッグ、そしてCHANELのアイコンバッグの一つでもある「Boy Chanel」に至るまで、LEDライトが埋め込まれたバッグが多数登場しました。

#ElectricBling #Chanel style#DataCenterChanel #ss17 @chanelofficial for @voguemagazine #iphone7plus

Kevin Tachmanさん(@kevintachman)が投稿した動画 –

ただし、LEDを使ったファッションアイテムは、決して新しいものではありません。アレキサンダー・マックイーン時代の「Givenchy(ジバンシィ)」Fall / Winter1999コレクションに始まり、上述の「Chalayan」 Fall Winter 2007コレクション、また2016のMet Galaで女優のクレア・デインズが着た「Zac Posen(ザック・ポーゼン)」の「シンデレラドレス」にモデルのカロリナ・クルコヴァが着た「Marchesa(マルケーザ)」の「コグニティブ・ドレス」など、LEDの美しい光は長年に渡りデザイナー達のクリエイティビティーを刺激してきました。

2016年のMet Galaにてモデルのカロリナ・クルコヴァが着用した「コグニティブドレス」-Photo courtesy of IBM
2016年のMet Galaにてモデルのカロリナ・クルコヴァが着用した「コグニティブドレス」-Photo courtesy of IBM

また、LEDバッグの他にも、サーキットボードをモチーフにしたバッグや、キュートなロボットのバッグ、さらにはデジタル数字のエンブロイダリーなど、テクノロジーからインスパイアされたアイテムが登場しました。

サーキットボードをモチーフにしたバッグ。カメリヤの花や「5」などCHANELのアイコンがさり気なく組み込まれています! - CHANELウェブサイトより
サーキットボードをモチーフにしたバッグ。カメリヤの花や「5」などCHANELのアイコンがさり気なく組み込まれています!
- CHANELウェブサイトより

ビビッドな色使いとフューチャリスティックなグラフィックが溢れたコレクションからは、インターネット黎明期の「ホームページ」が思い起こされました。CHANELが考えるテクノロジーとは、まだまだコンセプト的なものであり、90年代に私たちがテクノロジーに対して抱いていたファンタジーのような存在なのかもしれません。

5. 大ヒット間違い無し!?Louis VuittonのiPhoneケース

イノベーティブなテクノロジーだけがFashion Techではありません。ファッショナブルにテクノロジーを取り入れることもまた、Fashion Techの醍醐味です。

「Louis Vuitton(ルイ・ヴィトン)」が2017 Spring / Summerのランウェイショーで発表したのは、Louis Vuittonのイットバッグの一つ、「Petite Malle(プティット・マル)」を思わせるiPhoneケース。しかも、イヤホンホルダー付き。まさに、私たちにとって最も身近なテクノロジーをスタイリッシュなファッションアクセサリーにアップデートしてれるアイテムです!

Lista marzeń powiększyła nam się o tę obudowę na telefon z najnowszego pokazu @louisvuitton.

glamourpolandさん(@glamourpoland)が投稿した写真 –

このラグジュアリーなiPhoneケースなら、クラッチ感覚でパーティーシーンにも使えそう!SuicaがApple Payに対応したことですし、ますますスマホさえあればお財布すらもいらなくなった今、投資すべきなのでバッグではなく、スマホケースなのかもしれませんね。

*****

以上、2017 Spring/Summerコレクションで発表されたFashion Techへの取り組みをまとめてみました。新しい素材や製造技術、そしてテクノロジーが、今後どのようにデザイナー達にインスピレーションを与えていくのか、これからも目が離せません!
Cover photo by courtesy of CHANEL

Paris Wakana



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