Topics | 2017.01.05
2017年のECトレンド予測-キーワードは「スマート」「消費者主体」

2017年のECトレンド予測-キーワードは「スマート」「消費者主体」

ファッションECをめぐっては2016年も様々な出来事がありましたが、話題を集めたトピックスとりわけ印象に残ったものを取り上げ、それぞれを簡単に振り返りながら、2017年のトレンドについての展望を含めて考えてみたいと思います。

1. オンライン決済サービスの多様化

ネットショッピングをスムーズにするオンライン決済 - Apple Pay (Apple)
ネットショッピングをスムーズにするオンライン決済 - Apple Pay (Apple)

2016年はファッションに限らずネットショッピングの決済周りについてのトピックスが豊富に出揃いました。中でも、2016年10月25日にサービスが開始されたApple Pay(アップルペイ)については、その動向が2017年も大きく注目されるところ。クレジットカードやプリペイドカードを登録することで、交通機関やコンビニなどの店舗で利用できるほか、現時点ではまだ限定的であるものの、対応するアプリやECサイトでのオンライン決済が可能です。

ほかにも世界中の900万店以上のECで利用できるPaypalや、導入のしやすさで定評のあるSpike、さらにZOZOTOWNはじめ大手ECサイトが対応するLINE Payなど、より快適で効率の良いショッピング体験を提供するオンライン決済代行サービスは、まだまだ実験中の色が濃いものの、避けられないテーマでもあります。。

ECにおける決済方法全体で見た場合、オンライン決済代行サービスが占める割合はまだごくわずかですが、決済手数料が安価で導入作業も簡単で、しかもスマートフォンとの親和性がきわめて高いだけに、ファッションECにおいて、Apple Payをはじめとするオンライン決済代行サービスの利用が今後ますま拡大していくことが予想されます。

2. 消費者起点コンテンツ充実化

個人が情報を発信できるメディアの充実を背景にして、ユーザ参加型のコンテンツマーケティングが更に充実してきたのも2016年の特徴と言えそうです。とりわけ顕著なのが、ファッションコーディネートをECと連動させる試み。

ファッションアイテムなどを自由に組み合わせコーディネートを作成できるファッションアプリ「iQON(アイコン)」はその老舗ともいえる存在。ユーザが投稿されている250万件にものぼるコーディネートをブラウズし、気に入ったアイテムがあればそのまま購入できるというモデルを2012年からスタートさせ、先日発表されたGoogle Play/2016年ベストアプリ「ベストイノベーティブアプリ部門」では実に3年連続で選出されています。

また、ユーザが「LIKE」したアイテムを機械学習し、レコメンデーションを行うコンテンツ「for You」では、ユーザのアイテム閲覧数が導入前の約4倍に向上、提携ECサイトが販売しているアイテム購入率が約2倍に向上したと発表しています。

➡あわせて読みたい:1ヶ月でアイテム閲覧数約4倍UP! ファッションアプリ「iQON」の機械学習を活用したレコメンドコンテンツが好調

iQONではコーディネートの相談ができるページが人気 - iQON
iQONではコーディネートの相談ができるページが人気 - iQON

ファッションコーディネートアプリ「コーデスナップ(Coordisnap)」でも、独自のキュレーションコンテンツをサイト内に導入。コーディネート画像を利用し、ユーザが自由に記事を作成できるようになったことで、ニュースサイトからの新たな流入を獲得しています。こちらも、コーディネートに使用されるアイテムをそれぞれの公式ECサイトと直結させて購入できる仕組みを構築。ユーザ投稿記事にも類似商品を提案するなど、ECとの連携も強化しています。

このほか、XZ(クローゼット)、MANTなど、ファッションコーディネートアプリなどでも同様のサービスが提供されていて、ユーザを起点とするコンテンツマーケティングの隆興ぶりをうかがわせます。ユーザとブランドとの間に長期的で密なリレーションを生み出す手法として注目を集めており、今後も展開が気になるところです。

3. AIやチャットを用いた コンシェルジュサービスの登場

希望のコーデをAIがスタイリングしてくれる - ファッション人工知能アプリSENSY
希望のコーデをAIがスタイリングしてくれる - ファッション人工知能アプリSENSY

2016年は、ファッションECにおけるコンシェルジュサービスも話題となりました。とりわけユーザのファッションに 関する嗜好を学習し、ニーズに合った商品をレコメンデーションするファッション人工知能アプリ「SENSY(センシー)」が実用化されるなど、AI(人工知能)を利用した取り組みに注目が集まっています。

➡あわせて読みたい:人工知能の力をかりて、ファッションセンスを磨こう!ファッションスタイリストアプリ「SENSY」

セール情報などもユーザの好みに合わせて教えてくれる - ファッション人工知能アプリSENSY
セール情報などもユーザの好みに合わせて教えてくれる - ファッション人工知能アプリSENSY

2016年3月には、伊勢丹新宿店にて人気スタイリストのスタイリングを学習させた人工知能を店頭接客に活用する試みを行いました。また、紳士服メーカーの「はるやま商事」の導入事例では、購入履歴データをもとにAIがピックアップしたアイテムで構成したDMを作成。すると、通常のDMと比べて来店率を15%上げるなどの成果が報告されています。

こうしたコンシェルジュサービスは、やはり今年展開が目立ったファッションレンタルサービスにおいても顕著で、airCloset(エアークローゼット)、leeap(リープ)、EDIST.CLOSET(エディストクローゼット)、メチャカリなどでも取り入れられています。

ユーザのお気に入りのアンバサダーが紹介したコーデ例を参考にECでショッピングもできる - EDIST.
ユーザのお気に入りのアンバサダーが紹介したコーデ例を参考にECでショッピングもできる - EDIST.

4. 2017年のキーワードは「スマート」「消費者主体」

こうして2016年に話題となったファッションECをめぐるトピックについて概観すると、Apple Payの金銭が介在しないことによる快適さや効率のよさについては言わずもがな、「スマート」というキーワードが浮かび上がってくるように思えます。

ー shutterstock.com
shutterstock.com

消費者を起点として展開されるコンテンツマーケティングにおいては、身長や年齢、住む場所やライフスタイルなども公開されることで、よりリアルで身近なアイテムが提案されます。不特定多数の読者やユーザにマスマーケティングを展開するファッション雑誌や従来のインフルエンサーマーケティングとは一線を画す、効率的で無駄のない「スマート」な、よりパーソナライズされたマーケティングのモデルを示していると言えるでしょう。

コンシェルジュサービスについても、まだ発展の余地があるにせよ、情報のデータベース化やAI技術の発展によって、レコメンデーションの精度が高められることで、返品などの無駄を解消するだけでなく、バイイングや在庫の適正化に貢献するという意味で、よりスマートなシステムに発展する可能性を秘めています。

また、ファッションレンタルサービスは洋服をシェアするという発想がコアではありますが、レンタルを契機としてアイテムの購入に至るケースも少なくありません。これを「試着」の新形態と捉えるなら、フィッティングに課題を抱えるファッションECの今後の展開にとって示唆的です。

もう一つのキーワードとして、「消費者主体」が挙げられます。例えばプッシュ送信で知らされる期間限定のセール情報や、タイムライン上に現れては消えゆく、気づかないうちに古くなったり、油断していると見失ったりしてしまう最新情報など、なにかしら即時的な反応が期待されるようなサービスは、ECサイトが主体となって先導されていたように思えます。

自分が知りたいタイミングで、欲しい情報をピンポイントで受け取ることができるコンシェルジュサービスや、飽きれば返送して新たなコーディネートアイテムを手にできるファッションレンタルサービスなどは、消費者を主体としたサービス。情報過多のいわば「スピード疲れ」を背景に、より消費者のマインドに寄り添ったサービスが今後はさらに期待されるのではないでしょうか。

Apple

http://www.apple.com/

iQON

https://www.iqon.jp/

EDIST.

https://www.edist.jp/

airCloset

https://www.air-closet.com/

SENSY

http://sensy.jp/
Cover photo by shutterstock.com

◆こちらは「FASHION EC Lab」 編集部からの寄稿記事です。

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FASHION EC Lab



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