Special | 2017.01.27
ただモノを売るだけのマーケットプレイスではないんです-minneが想う“クリエイター”として大切なこと

ただモノを売るだけのマーケットプレイスではないんです-minneが想う“クリエイター”として大切なこと

ものづくり」は、DiFaでも折に触れ取り上げてきたテーマ。ここ数年でFabCafeやMakers’ Baseなど、アイディアさえあれば誰でも自分だけのオリジナルアイテムがつくれる「ものづくりスペース」が広く注目を浴びるようになりました。それを勢いづけているのはやはり、スマホから手軽に見られるようになったDIYのHow to動画や、作り手さんと直接やり取りできるCtoCアプリ、SNSなどの存在ではないでしょうか。

すっかり定着したファストファッションに染まれば“みんなと一緒”になるし、インフルエンサーから刺激をうけて“個性”を見出そうといっても、結局は限られた輪の中だけに起きている現象だったりもします。ブランドを知ること見つけることよりも、“1点”にフォーカスをあてやすい古着やハンドメイドに流れが向いているのは明らかで、「ものづくり」という言葉すら、いつしか廃れることが前提の“トレンド消費”をされてはいないだろうかと感じるところがあります。

その気があれば誰でも“クリエイター”を名乗れるようになった今、ものづくりに興味を持つ人たちは一体何を想い、何を生み出そうとしているのか。なぜ、自身の作品を売ろうと考えるのか。買い手は何を求めているのか。なぜ、ハンドメイドなのか。なぜ、売り手やクリエイターと直接つながりたいと思うのか。

こういったポイントを掘り下げてみると、このマーケットの未来が見えてくるのでは。そう思ったDiFa編集部は、この分野において2012年よりサービスをスタートさせ、現在約460万点の出品数を扱うハンドメイドマーケットプレイスの老舗「minne(ミンネ)」さんにお話を伺ってきました。

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取材にお伺いしたのは12月のある晴れた昼下がり、「minneのアトリエ 世田谷」にて。東京・世田谷区池尻にある「世田谷ものづくり学校」の一角にあるこのアトリエでは、定期的にminne参加クリエイターさんの活動を支援する勉強会やイベントが行われています。普段はご近所の方がフラッと立ち寄られたりもするそうで、日常の息遣いが感じられるスペースです。

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下駄箱が並ぶエントランスを抜けて中に入ってみると、minne参加クリエイターの傑作集である「ハンドメイド大賞」受賞作をはじめ、数々の展示が目に留まりました。黒板に描かれたチョークの文字、木の机。そのどれもが、まっさらだった子供の頃を思い出すようで新鮮な気持ちになります。「さぁ、今日はどんな遊びをしましょうか」そんな気分でminneの中の人、お三方へインタビューをスタートさせました。

今回お相手いただいたのは、minne事業部 部長阿部雅幸さん、作家活動アドバイザー和田真歩さん、デザイナー木坂名央さんです。

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minne事業部 部長 阿部雅幸さん。GMOペパボ株式会社福岡支社にてminneを立ち上げ、“minneのザビエル”として日々「ものづくり」の布教活動を行っている。お母さまのご実家は京都・西陣織に縁があり、お父さまは大分で中華料理店を営む料理人。“ものづくり家系”ってきっとありますよね。

何を作りたいか、どんな風に作りたいか、どんな人に届けたいか

“デジタルテクノロジー”って、ときに“ものづくり”や“ハンドメイド”とは相反するものとして捉えられることもあると思うんです。しかし、扱う道具や技術は違えど、プログラミングや3Dモデリングだって、手間暇かけて作り上げること自体が“ものづくり”そのもの。minneの中の人や参加クリエイターさんは、このようなデジタルと“ものづくり”の関係性をどう捉えているのでしょうか。

--minneのサイトやアプリから、「3Dプリント」「レーザーカッター」みたいなDiFaっぽいタグで検索をしてみたんですよ。でも、想像以上にアイテム数は限られていて。例えばモノサーカスさんのようなデジタルファブリケーションを取り入れたブランドがもう少し出て来てもいいのになぁ、って思っていて。

阿部さん:僕らも今回サーチしてみました。そうしたらファッションやアクセサリーのカテゴリーよりは、雑貨やインテリアの方で面白い出品が見つかりました。全体比率でみると、まだまだ伸びしろがありそうですね。

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●あわせて読みたい:繊細で豊かな表現に注目!3Dプリンティングアクセサリー「MONOCIRCUS」

モノサーカスさんは福岡で活動されていて、実はminneもサービスの立ち上げはGMOペパボの福岡支社で行っていた経緯もあって、初期のイベントに出ていただいたり、TVの取材にご協力いただいていたクリエイタ-さんなのです。サービスの立ち上がり当初から長く参加して下さってるクリエイタ-さんなんですけれど、このように本格的なクリエイターさんやプロの職人さんが展開しているブランドもあれば、趣味の延長で楽しんでおられる個人クリエイタ-さんまで、minneには幅広い方が参加しているというのが強みでもあるんです。

--たしかに色んなスタンスの方がいらっしゃって、だからこそ「こんなのどこにも売ってない!」という一点モノに出会える良さがありますよね。たとえばこういうデジタルファブリケーションを用いて製作されるアイテムは、どうしてもオーダーメイド的にならざるを得ないと思いますし、販売上代も2~3万円前後のものが多くて。実際、minne全体で見ると、販売上代はどれくらいの価格設定が多いんでしょうか?

阿部さん:一番よく出品されていて、取引が成立しているのは、3~4,000円前後ですね。

--売れ筋としては、どのようなものが人気ですか?

阿部さん:やはりアクセサリーのカテゴリーの取引は多いですね。メディアへの露出が多いジャンルということもありますし、アクセサリーは女性が毎日付け替えて楽しむアイテムなので購入される方も多いです。

和田さん:やはり露出や出品数が多ければ、それに比例するかたちで取引数も増えていきます。ただ、minneの中にはアクセサリー以外にも幅広いカテゴリーの出品がありますので、突出してこれが売れている、とはなかなか言い切れないところもあるんですよね。

--なるほど。ちなみに一番高く売れたものって何ですか?

阿部さん:高く売れたものですか!?……それ、訊かれたことがなかったです(笑)出品者が設定できるシステム上の上限価格は50万円までなんですけれど……。たしか、数十万円の家具を購入された方がいらっしゃいましたね。おそらくアプリではなくwebからだったと思います。minneはインテリアやアート作品も多く出品されているので、買い手がつくか否かは別にしても、数万から数十万のものまで幅広い値付けはされていますね。

--先日、装苑さんのイベントを取材してきまして、出展されてるハンドメイド作家さんたちにデジタル周りの捉え方についてインタビューをしてみたんですね。そしたら「アナログな手作りやリアルな売り場にこだわりたい」「アプリではなかなか買い手がつかないからInstagramで公式web shopへ誘導する」という声もあったんです。その辺りはどんな風にお考えですか?

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●あわせて読みたい:【レポート】クリエイターはデジタルをどう取り入れているのか?-装苑presents「アクセサリー蚤の市」で訊いてみた

和田さん:その方が何に重きをおいているのかによって、捉え方も違ってくるでしょうねぇ。何を作りたいか、どんな風に作りたいか、どんな人に届けたいか、それはクリエイターさんそれぞれでもあるので。

阿部さん:そうですね。これはminneをどういう風に捉えていただいているのか、ということでもありますね。minneはモノの売り買いをするだけのマーケットプレイスではないとも思っているので、売れ筋に合わせてどうというより、モノづくりの背景にあるクリエイタ-の想いや作品を使うことでライフスタイルがどう変わっていくのかにフォーカスをあてていきたいとは思っていますね。

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誰かに喜んでほしいとか、相手を驚かせたいとか、そういう所だと思うんですよ。ものづくりの原点って。

--そういえば、先ほど「3Dプリンティング」で検索した時に阿部さんが発見された面白い作品ってどんな感じのものですか? 実は私も、全然ファッションには関係ないんですけれど、気になったものがあって……。

阿部さん:これ、ご覧になりました?(サイトのとあるページを指しながら)

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NAGAOYOSUKE’S GALLERY」さんの【オーダーメイド】スタンド看板。好きな名前を入れられる。-minne web より

--あぁ! これですこれです。これ、めっちゃ気になって。好きそうな友達にシェアしましたもん(笑)なんなんでしょうね。なんか気になって仕方ないんですよ。

阿部さん:これ、見つけて速買いしました(笑)なんなんでしょうね。すごい、惹かれるものがありますよね。

木坂さん:あはは(笑)これいいですねぇ、ちょっとクセがあって。なんか「ん?」ってなるの、好きですね。

阿部さん:これサイズ感でいうと8cmですね。電池交換はあまりおススメしてないんですって。電池寿命は約10時間ですってかかれてて。

木坂さん:燃え尽きるまで、みたいなのいいですね。

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到着した商品を後日見せていただきました。それがこちら。

阿部さん:なんでしょうね、本当に。懐かしさなのか、ジオラマチックなサイズ感に惹かれるのか、なんというか。そういう説明できない魅力があって。こういう引きの強さがね、やっぱり残ってて欲しいんですよ。

(同席して下さった)広報石川さん:あと、こちらは「Cookies」という洋菓子の食品サンプルの作品なんですけれど、実はボードゲームなんです。

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同じ種類のクッキーで挟んで真ん中をひっくり返す。オセロのルールで遊べます。子どもじゃなくても、うっかり食べてしまいそうな質感。「LINDA TOKYO」さんの作品。

広報石川さん:「Cookies」は「ハンドメイド大賞」金賞を受賞された作品で販売価格が5万円なんですけど、出品されて即完売になったんです。中に一緒に入っているシリカゲルのネームにも「リンダ東京」ってクリエイターさんの名前が入っていて。細かく作り込んであるんですよね。

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こちらがそのシリカゲル。

阿部さん:minneのメンバーは、そういうちょっと独特な存在感のあるものに反応してしまう人が多いと思っています。僕の好きなものはたぶん、みんなも好きなんじゃないかな……と。あれ? 違う?(汗笑)

一同:(笑)

木坂さん:たぶん、アンテナに引っかかるものは似てると思います(笑)

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minne事業部デザイナー木坂名央さん。古着が好き。おめしになってた赤のキルトスカートがすごくかわいくて「それどこで買ったんですか?」って思わず聞いてしまいました。ファッションはどちらかというと「可愛い系」より「カッコいい系」の方が好きなんだそう。

--ちなみにminneとしては、どういうものをピックアップしていこうとか、戦略を立てる時のポイントってあるんでしょうか? もっとこういうモノが売れたらいいのにとか。

阿部さん:minneがはじまった頃は、僕が全部の作品を見てピックアップをするか否かを判断していたんですけれど、今はディレクターに任せていますね。でも、どういうポイントを見てピックアップしていたのかっていうのは、明確な言葉にできないかもしれないですね。「minneっぽい」としか。

--阿部さんの中で「minneっぽい」って、どういう感じでしょう? ちょっと掘り下げて聞いちゃいますけれど。

阿部さん:うーん……!(悩)僕がはじめにイメージしていたminneっぽさは、他にはないユニークなモノで、ピックアップにあたっては、作品の仕上がりや写真のクオリティ、何かしらのオリジナリティがあるかを考慮して選んでいましたね。

でも「ユニーク」って言ったって、基準は人によって違いますし、これは基準を満たしているね、これはもう少しかな、とか何度も共有してすり合わせをして。それでもやっぱり何かそれ違うな、って思うときもあって。ほんとにこればっかりは難しいところではありますね。

木坂さん:ちょっと話は逸れちゃうんですけれど、デザインする時でも「minneっぽい」って言われると難しい。私は結構、阿部さんに感覚が近いと思っているんですけれど、ここにしかないな、って思えたらそれはポイントが高いと。

--もうそれは人と人とのグルーブというか、第六感に近いものはありますね。

阿部さん:そうですねぇ。ここがどうだからオリジナルである、とは明確には言えなくて、その人が今まで見てきたものから滲み出てきたものというか。そういう意味では、この三人は近しい感じなのかなって……僕は勝手に思ってるんですけど。ど、どうでしょう……?(汗笑)

一同:(笑)

和田さん:近しいはずです(頷きながら、笑)

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阿部さん:例えばこのお財布なんて、触ってみて頂くと解ると思うんですが、すごい技術をお持ちの革職人さんの手で作られていて。これ、実は和田がはじめにみつけてオーダーしていたのを見て、僕も欲しくなって。「同じの買っていい?」って一応お伺いを立ててから同じのを買いました(写真上から2番目)(笑)形はシュールなんですけど、パンツと肌の色が逆だから生々しさがなくポップに昇華できていていいんですよねぇ。

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ヒップラインの繊細な曲線、無意識に撫でたくなるような柔らかい仕上がり。引っ掛かることなく滑らかなジップ、丁寧な縫製。手に持って開いたときの感触やサイズ感も絶妙です。

阿部さん:作りがいいのは間違いないですからね。この作品は2016年のハンドメイド大賞の大賞受賞クリエイターさんの作品です。デザイナーの440さん(ハイパーパンティークリエイター)は、minneの中でも人気のクリエイターユニットで活動されていたんですが、現在は様々なブランドやクリエイターさんとコラボして活躍の幅を拡げられています。お話しする感じでは繊細なものづくりをされる方というイメージは全然なくて、そこにギャップがあったりもするんですよ(笑)

--クリエイターさんとのコミュ二ケーションは、結構そういうところまでグッと入ってやってらっしゃるんですね。

阿部さん:ハンドメイド大賞の授賞式にお招きしたり、イベントに出品されているのを現場へ覗きに行ったりします。顔を合わせた時のちょっとした雑談とか、そういうコミュニケーションって大事だと思うんです。僕がもともとminneをやろうと思ったキッカケでもあるんですけれど、手作りのクリエイターさんってすごい技術とか哲学を持っているにもかかわらず、マーケットから見るとなかなかスポットが当たりにくくて。そういう、知られていない人やものを表舞台に引き上げたい、という想いは強いですね。

--今や結構な規模でTVCM・雑誌・ディベロッパーさんとの取り組みもされていて。アトリエは神戸にもあるんですよね。

阿部さん:神戸のアトリエは、2016年の4月にオープンしました。クリエイタ-のためのスペースとしては、世田谷に次いで2つめです。これまで様々な取り組みをしていますが、実をいうと積極的に拡げている分、まだまだ収益は伴っていないんです。

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minneの雑誌「みんなのハンドメイド本 minne HANDMADE LIFE BOOK vol.5」出版:ブティック社 2017年1月14日発売 ¥907+税/つくりたい人、売りたい人、買いたい人、ハンドメイド好きのすべての人に向けた、充実した内容でいっぱい!-minne mag.より

--今回出されるminneの雑誌でも表紙には篠原ともえさんが登場されていますし、装苑さんとの企画ではミュージシャンやアーティストとコラボもされていて。取り組みにタレントさんを起用することも増えてますよね。

阿部さん:そうですね、ハンドメイド作品の魅力をより多くの方に知っていただいて、当たり前なものにしていくためには、著名な方のお力を借りることも必要だと思っていて。アトリエで一番目立っているこのタペストリーも、ハンドメイド大賞で篠原さんが審査員を務めたときに選んでくださった作品なんです。70代の女性が娘さんの嫁入り道具として縫われたっていう、制作の背景も素敵な作品なんですよね。

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アトリエの天井からスッと伸びたタペストリー。これだけ柄の強いデザインなのに、まるでオアシスが現れたかのような穏やかな気配を持つ作品。近づいてよく見ると、人の手ならではの微妙な揺らぎも垣間見れるのも味なところ。それは作りながら想う、娘への“愛の機微”だったりするのかもしれません。

--うちも実は母が元洋裁士・和裁士なんですが、ことあるごとに作った物を送ってくるんですよ。この作品みたいに、愛の交感がカタチになって見えるみたいな素敵なものやったらいいんですけどねぇ。もう完全にご機嫌伺いで。構って欲しいだけやんって(笑)

阿部さん:そこは家族との関係性によるところもありますよね。家族のカタチというか。うちもおばあちゃんがお手製のタワシとか送ってきていましたね(笑)

--そうなんですね(笑)こう、なんていうんでしょう。「私これつくったの、見て!」って不器用にアピールしてくるのも、なんだかんだ言ってリアクションが欲しいからなんですよね。

和田さん:そうです、そうです。やっぱり作ったものには反応が欲しいんです。

阿部さん:ほんとそうですね。結局どういうものであれ、誰かに喜んでほしいとか、相手を驚かせたいとか、そういう所だと思うんですよ。ものづくりの原点って。

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「minneのアトリエ 世田谷」作家活動アドバイザー和田真歩さん(写真左)。普段はアトリエに常駐しながら、訪れたクリエイターさんからの様々な相談に対応する先生のような存在。クリエイターさんと日頃から生身で接している分、ものづくりのマーケットに対するご意見もリアリティが詰まっています。的確なコーチングはクリエイターさんにとって絶対心強いはず。

「憧れ」だけでも「商売」だけでも、結果的に長くは続かない

--SNSがこうも台頭してくると、インフルエンサーとして活動しているクリエイターさんにフォロワーがたくさんついてくるじゃないですか。どこか、ものづくりが大好きでというよりも「ブランドをやってる私をほめて」って感じのワナビークリエイターも増えている気がしますし、一方でモノはモノとして完璧なものを作っているけれど「売ること重視」な商売っ気の強い方もいらっしゃって。minneにも色んな方が参加されるようになっていますが、そこはサービスの中で自浄作用みたいなものは働いているんでしょうか?

和田さん:それはほんとうにおっしゃる通り、それぞれ違うタイプの方がいらっしゃいます。主婦の方も多いですし、趣味の延長で始めている方も多いですから。どっちが多いかっていうと「商売としてやる人」の方が少ないは少ないんですよ。でも、「ものづくり」が大好きというより「憧れ」を追って入ってきた方は、結果的に長くは続かないんですよね。

憧れが強くて、売れっこクリエイタ-さんのようになりたい、ってとこから入っちゃうと、手っ取り早くやるにはどうするかを考えすぎて行き詰っちゃう。結果、思うように行かないと自爆してしまう方は多いです。

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和田さん:minneがTVに出た後などは、そういう方がアトリエにいらっしゃる傾向も強くはなりますよね。「わたしもやってみたい」という思いを持っていただけるのは、とても嬉しいことなんです。ただキッカケはどうあれ、どういうことをしたいのか、自分の欲求は何に重きがあるのか、皆さんゆくゆくは考えることになるんです。

コツコツ長く続けている方、結果を出していける方は、クオリティをあげるために色彩学や構図、デッサン、写真での見せ方、独学でもなんでもいいんですけれども、足りないと思うことに真面目に向き合って課題をクリアしていってるんですよね。周りの影響があっても自分のペースを護ってブレずにやれてる方は強いです。

--多くの方に知ってもらうことも必要な一方で、本質的なところではハッキリと二極化もしてくるっていうことですよね。……例えば、もともとファッションやアクセサリーやインテリアなどのメーカーで働かれていて、会社やマーケットに対しての違和感から、独立したという方もいらっしゃると思うんですよね。でも、いざ自分でやってみると結果的に、効率化・採算性という課題に直面することもあると思うんです。アトリエにはそういうお悩みをお持ちの方もいらっしゃったりするんでしょうか?

和田さん:うーん……。なんて言ったらいいだろう…(笑)やっぱり何が一番大事かをお聞きしますね。自分にとって大事なことは何なのか。

例えば「がま口」に特長のある雑貨を作りたいけれど、そのパーツを作る為に機械を導入すべきかどうか悩んでいるとしますよね。そしたら、その方は「がま口自体にこだわりたい」のか、「機械で型詰めをやりたい」のかが見えなくなってるってことなんです。

なので「どっちが大事ですか?」と問いかける。最低限、守るラインが見えるとどちらを選べばいいのかが判断できるんじゃないかなと思うんです。

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--追いつめられると視野が狭くなりますもんね。

和田さん:そうそう、そうなんですよ。周りのニーズやトレンドと、自分のやりたいことがすり合わなくなってくることって、必ずあるんです。それをまだ一周していない方が、このアトリエに駆け込んでくることも多くて。

数十年単位で活動していると、売れるときもあれば売れない時もあって。でもそれは自分の責任じゃないから、やれることをやろう、やりたいことをやろう、って淡々と進めるんです。でも一周してないと「わぁもう私だめです、続かないです」ってなっちゃう。

これまではクリエイターさん同士でそういう悩みを共有するしかなかっただろうし、横のつながりや縦のつながりが“場”として機能していたんでしょうけれど、ネットで誰でも出来るようになると、それはそれでオリジナルなものが世に出てきやすい反面、ひとりで孤立してしまうこともあるんですよね。なのでアトリエに来るクリエイターさんとのお話は、どこか人生相談みたいになってくることもあるんです。

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木坂さん:これが売れるんだろうなぁというトレンドを重視して、自分の作りたいモノじゃないモノを作ってツラくなっていく方もいますよね。オーダーが楽しくてやっていたのに、すごく売れ始めたら評判が気になってセーブできなくなってしまう、とか。

とにかく手を動かし続けるのが好きで、売り抜けることが性に合う方もいらっしゃるかもしれないですけれど、大量に作って大量に納品することになると、自分のペースでやりたいのか売れたいのか、何をやりたかったのか分からなくなるっていう。

--断れない方もいらっしゃるでしょうからねぇ。

広報石川さん:私もものづくりをしているんですけど、悩むんです。万人受けするようなものがいいのか、お客さんからのリクエストを納品するのがベストなのか、自分自身のアイディアを実現するべきなのか。めちゃくちゃ周りの人に聞いてしまうんです、どうしようって。

--……でも周りに頼れるっていうのは、強みですよ。石川さん。

広報石川さん:えー、そうなんですかねぇ……!

一同:うん、ホントに。(頷く皆さん)

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阿部さん:期待に応えたいっていう気持ちが強すぎて、不本意ながらも求められるオーダーを受けてしまう。それをどうしていいかひとりで抱えてしまう。そういうジレンマをどう解消していくのか、和田がここでその解答を引き出してくれる。アトリエはそういうクリエイターの駆け込み寺でもあって。きっと、ここで話しながらご自身で解決はしていかれるんだと思うんですけれど。

--クリエイターさんって、ひとりで煮詰まりがちというか、性格的に他者への頼り方が苦手な方も多いと思うんですよね。

和田さん:そうですね、完璧主義な方も多いですし。誰も意見を言わないでっていう時もあれば、迷っていることを誰かに聞いて欲しいけれど、やっぱり意見は言われたくない。でもどっかに吐き出したい。そういうのの繰り返しだったりするんですよね。

--もうそれは、ものづくり沼、ですね。私もひとりで取材して、記事書いて、校正して、入稿して、みたいな感じがあって。これまでにないような良いものにしたいと思うほど、沼にハマって。誰にも何も言われたくないけれど、ホントは反応が欲しいとか。その沼の期間はサボってるわけじゃないけれど、何も作れない、何も作らないっていうのも必要な時間なのかなぁ。

阿部:んー……やっぱり僕は、クリエイターさんが本当に作りたくて作ったものを観たいですね。購入者としては。作りたいという想いを経て生まれてきた作品には、やっぱり他では見られない魅力があると思っているんです。だからこそのハンドメイドだと思いますし、minneがそれを取り扱う理由になると思ってますから。

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「他にはない、ここにしかない、これまでにない」を創りたい

--最後に今後の展開などを教えていただけますでしょうか? まだ手掛けていないことや、これからの希望、夢、理想、振り返っての課題、色々あるかと思いますが。

阿部さん:出品数が460万点超えて膨大な数になってきてまして、欲しいものに出会いづらくなっているという課題は感じています。厳密に言うと出会うことは出来るんですが、趣味嗜好が多様化している中で、一個人の趣味嗜好に合ったモノとの予期せぬ出会い、劇的な出会いの確率は低くなってきていると思っています。なかなか出会えないと、minneに来る楽しみも減っていくのではないかと考えているので、今後パーソナライズをはじめテクノロジーの力で解決したいと考えています。

--こういうのがもっと売れて欲しいとか、フィーチャーしたい、っていうのはありますか?

木坂さん:今のminneでは“可愛らしいもの”がどうしても売れ筋になるんですが、ちょっとメンズライクなものを欲している女の子もいるので、そういうものが表に出て来て売れるようになったらいいなと思いますね。私はカッコいいものの方が好きなので。

阿部さん:メンズアイテムも実は結構出品されているんですよ。

--メンズアイテムやメンズファッションを取り扱うwebサービスは2017年勢いありそうな予感はしますね。女の子もメンズサイズから選んだりしますし、シルエットの大きいものがトレンドにもなっていたりして。

木坂さん:これはメンズかレディースかってあんまり気にしなくなりましたもんね。

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--モノを売り買いするだけではない、という所も踏まえつつ、ここにしかない売り場としてもまだまだパワーアップできそうですよね。

木坂さん:ハンドメイドってとこだけじゃなくて、お買い物という楽しいことをするために自然に訪れてもらえるようなマーケットにしたいんです。人と被らないギフトを選ぶなら、とか、新しいアクセサリーやかばんが欲しいな、とか、そういう時にとりあえずminne見てみようか、という選択肢に入りたいなというのはあります。ここにくれば、何かが見つかるというイメージが浸透してくれたらいいなぁと思いますね。

阿部さん:そういう他のショッピングサイトと同じようにフラットな感覚でお買い物しても、画一的な梱包で即日にポンと届くんじゃなくて「製作時間を経て個人からモノが届く」っていうギャップが楽しめるのもいいと思うんですよ。これはうちしか作れないですから。

産地がわかる、作り手の顔がみえる、ショッピングサイト。こうやってできてるんだとか製造工程が見えていたり、知りたいことを質問したり、ちょっとしたわがままをきいてもらったりとか、「お買い物」を軸にコミュニケーションを楽しめる場所にしたいですよね。

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阿部さん:あとは、「ハンドメイド大賞」にしても装苑さんとコラボしたコンテストにしても、大賞を選んで表彰で完了してしまってるところをもう少し拡げていきたいんです。それこそ業界然としたファッション誌の中で、プロのクリエイターの作品と並んで個人の作品が掲載されているって、面白い状況だと思うんです。

「装苑」の児島編集長がおっしゃっていた「どんなブランドのクリエイターもはじめは素人で、そこから腕を磨いたりきっかけをつかみながらブランドになっていった。そう考えると、プロと趣味でものづくりをするクリエイターの間に垣根はないはず」とおっしゃっていたことが印象に残っているんですが、ほんとに、そうなんです。

ともすれば「素人と並ぶの?」みたいな、プロの世界と分断されているところを飛び越えていく企画になれたらいいなぁって。今をときめくトップクリエイター達とルーキーがガチンコで組んだらどうなるだろう、とか。そういう“クリエイター魂”が相互に刺激し合うような取り組みも含めて、これからもものづくりの現場を盛り上げていきたいですね。

*****

この日の取材は、控えめに言ってほんとうに楽しかったです。ついつい主題から逸れた話も多くなってしまいましたが、数々の事例や状況はもとより、個人的な感情のまま会話を交わせるチーム、メンバー自身もいち“クリエイター”としてプロジェクトを育てていること。それ自体がminneの最大の強みなのではないかと思いました。

これから何かを作りはじめようとしている方、活動に行き詰まりを感じている方にとって、かなりストレートなヒントを提示出来る、いいインタビューになったと思っています。取材しておきながら何なのですが、なんせ、私自身が事業を運営したり記事を書いたりする“クリエイター”としての自分について、いいヒントが得られたと思うくらいですから。

サービスでもプロダクトでも、結局のところはそれに携わっている「人」が現れると思うんです。デジタルの世界にアナログな熱量を込めて、光があたりにくいことや知られていない側面を、どんどん世の中へ拡張する存在へ。これからも進化を楽しみにしています。

minne

https://minne.com/
AppStore:https://itunes.apple.com/jp/app/id563764220?mt=8
Google Play:https://play.google.com/store/apps/details?hl=ja&id=jp.co.paperboy.minne.app

minneのアトリエ

https://minne.com/minne-atelier

「minneのハンドメイドマーケット2017」

開催日:2017年4月28日(金)29日(土・祝)10:00~18:00 ※最終日は17:00まで
場所:東京ビッグサイト東7ホール
前売1,200円(税込)/当日1,500円(税込)
※詳しくはHPでチェックを:https://minne.com/handmade-market

Photo & Interview & Text:Miho Iizuka

Miho Iizuka



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