Topics | 2017.02.13
“コネクテッド”だけど“アナログ回帰”が主流、その理由とは?-CES2017から見えたスマートウォッチトレンド

“コネクテッド”だけど“アナログ回帰”が主流、その理由とは?-CES2017から見えたスマートウォッチトレンド

1月上旬にラスベガスで開催されたCES 2017。今年も例外なく、世界のテクノロジーを牽引するグローバルカンパニーから、現在クラウドファンディングで資金調達中のスタートアップ企業まで、多くの企業から最新のテクノロジーがお披露目されました。

そんな中、スマートウォッチ分野では「アナログ回帰」的なトレンドを見受けることができました。高画質で多機能な小型ディスプレイをウォッチフェイスに採用したものではなく、タイムレスなアナログ時計のデザインと、スマートウォッチ機能性を融合させた「ハイブリットタイプ」のスマートウォッチが数多く発表されていました。

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「Fossile」のハイブリット型スマートウォッチ

ウォッチメーカーの大手「Fossil(フォッシル)」は、昨秋からこの春にかけて、アナログとデジタルのハイブリットタイプのスマートウォッチを大量にリリース。今回のCESでは、自社のFossilブランド、Fossil傘下の「Misfit(ミスフィット)」、そして「Emporio Armani(エンポリオアルマーニ)」や「Kate Spade(ケイトスペード)」、「Diesel(ディーゼル)」など、ライセンス販売を手がけているブランドのハイブリットウォッチがお披露目されました。

左上から、Fossil「Fossil Q」、Misfit「Misfit Phase」、Kate Spade「Metro Hybrid Smartwatch」 左下Diesel「DieselOn TIME Hybrid Smartwatch」、Emporio Armani「Emporio Armani Connected」、SKGEN「SKGEN Connected」ー Photo Courtesy of Fossile
左上から、Fossil「Fossil Q」、Misfit「Misfit Phase」、Kate Spade「Metro Hybrid Smartwatch
左下Diesel「DieselOn TIME Hybrid Smartwatch」、Emporio Armani「Emporio Armani Connected」、SKGEN「SKGEN Connected」ー Photo courtesy of Fossile

どれも見た目はアナログ時計そのもの。予め設定しておいた相手からのメールや着信はバイブレーションで、フィットネスゴールの達成度については、時計の針の位置で……といった感じで、液晶画面がなくても日常生活で必要な情報をスマートに受け取ることができます。

さらに音楽を再生、スキップ、ストップしたり、セルフィーを撮ったり、スマホを鳴らしたりと、スマホのリモコンとしての機能を備えています。

また、自動でタイムゾーンを変更してくれる機能は、アナログ時計の魅力生かしつつ、ユーザーの利便性を高めてくれる機能で、個人的にもかなりお気に入り。タイムゾーンが異なる地域に行っても、自動で時間を合わせてくれるのは、かなり便利です。

Amazonのボイスアシスタント「Alexa」を搭載した「MARTIAN」

「MARTIAN(マーシアン)」は、アナログスタイルのスマートウォッチに特化したスマートウォッチブランド。2012年に世界初のボイスコマント及び、音声通話の機能を搭載したアナログ式のスマートウォッチを発表。以来、アナログの文字盤を採用したハイブリットタイプのスマートウォッチを世に送り出しています。

CES2017でお披露目されたのは、Amazonのボイスアシスタント「Alexa(アレクサ)」対応機能です。本来、Alexaを起動させるには、Alexaが音声をキャッチできる範囲内に物理的にユーザーがいなければならないのですが、Alexa対応のMARTIANを使えば、Alexaの対応距離を超えて、外出先からでもAlexaを操作することができてしまいます。

- MARTIANウェブサイトより
MARTIANウェブサイトより

目的地までのディレクションや近くのレストランを調べるだけでなく、部屋の電気を消したり、買い物リストに追加したり……。スマホを操作するよりもずっと自然な形で、生活の中で必要なあらゆる操作を、音声でコントールすることができるようになります。

スマートウォッチとアレクサ、これこそまさに最強のコンビネーションだと思っています。現在のところ、アレクサ対応のスマホはかなり少ないようですが、今後さらに増えると予想されます。

手持ちのアナログ時計をスマートウオッチにできる「CT BAND」

- Photo courtesy of CT BAND
- Photo courtesy of CT BAND

フランス発の「CT BAND(シーティーバンド)」は手持ちのアナログ時計をスマートウォッチにアップグレードすることができる、コネクテッドストラップ。CT BANDをアナログ時計のバンドと付け替えるだけで、アクティビティトラッカーや着信の知らせ機能はもちろん、気温や紫外線の測定など、15種類以上の便利な機能が使えるようになります。

なお、CT BANDは「ウエアラブル・テクノロジー」と「フィットネス、スポーツ&バイオテック」のカテゴリーにて「CESイノベーションアワード2017」を獲得しています。

「アナログ回帰」の背景にあるもの

以上、スマートウォッチの「アナログ回帰」現象が見られた例として3つのブランドを挙げてみましたが、この現象には一体どのような背景があるのでしょか?

1.デザインの多様性へのニーズ

2016年のスマートウォッチの販売台数は約2,000万台で、2020年までには5,000万台に到達すると予想されています。(※)

しかしながら、多くのスマートウォッチ販売業者はユーザーの期待に十分に応えることができていないようです。人生の中で多くの時間を共にする時計は、ユーザーのスタイルを象徴する重要なパーソナルなファッションアイテムであるにもかかわらず、スタンダライズされた液晶画面が、スマートウォッチの多様性を制限してしまっているのです。

COACHやHERMESのバンドを付けても、Apple Watchは、Apple Watchでしかないし、TAG HeuerやNixon、CASIO等のAndroid Wearは、どれも円形の液晶画面を搭載し、スクリーンがOFF状態の画面では、あまり違いが分からない……というのが正直な感想ではないでしょうか?

一方、上で紹介したFossilが販売する様々なブランドのハイブリットタイプのスマートウォッチをご覧頂ければ分かる通り、アナログフェイスを採用したハイブリットタイプなら、液晶画面という制限がない分、よりブランドらしいデザインを採用することができます。

また、CT BANDのように手持ちの時計をスマートウォッチにできるデバイスなら、愛用のアナログウォッチをスマートウォッチとして使えるようになるので、スマートウォッチ販売業者に依存することなく、スタイルと最新のテクノロジーを搭載した便利な機能を楽しむことができます。

※参照元:IDC “Worldwide Smartwatch Market Will See Modest Growth in 2016 Before Swelling to 50 Million Units in 2020, According to IDC”

2. 「宝飾品」と「デジタル機器」のギャップ

スマートウォッチをデジタルデバイスではなく、宝飾品と捉えた時、それは100年後も使えるものでしょうか?

テクノロジーの領域は進化が早く、今は高価で高機能のスマートウォッチも、5年後、10年後に私たちが今得ている同じ便利さや満足度が続くかと考えると、答えは「NO」だと思います。ソフトウェアのアップデートで機能をアップグレードすることはできるでしょうが、iPhoneのようにハード部分が古すぎて、アップデートに対応できない……(泣) なんてことも起こってきます。そうすると、デバイスとしてのスマートウォッチの寿命は、長くて5年程ではないでしょうか。今のスマートウォッチが10年後も現役で使えるとは思いません。

アナログ時計なら、ちゃんとお手入れをしていれば、時代を超えて使い続けることができます。スマートウォッチを宝飾品と考えた時、例えソフト面が廃れてしまったも、時計として5年後も10年後も、もしかしたら100年後も使うことができるハイブリットのスマートウォッチの方が優秀だと思います。また、上で紹介したCT Bandなら、バンドのみを物理的に新しいものに取り替えてアップデートをすることができますし、もしスマートな機能に飽きてしまったら、もとのバンドに戻し、純粋なアナログ時計として再び使うことができますよね。

3.「時計を充電する」という新しい生活習慣

腕時計の電池を最後に変えたのはいつですか?

おそらく、1〜2年前とか、もしくは覚えていないくらい昔のことかもしれません。スマホを充電するという行為は、ルーティンとして私たちの日常生活に組み込まれていますが、時計を充電するという行為はそうではないようです。

腕時計の登場は19世紀頃ですが、その歴史の中でゼンマイを巻くことはあっても、充電するために本来常に身につけておくはずの時計を数時間体から離すという習慣はなく、本当にここ1、2年で追加された新しいタスクなんですね。長年の人間の習慣を変えるのは思いの外、難しいようです。実際、私の家でも充電切れで忘れ去られたフィットネストラッカーが転がっていますし……。

Apple Watchは約18時間、Android Watchのmoto 360は約1日半と、液晶タイプのスマートウォッチは機能が多い分、バッテリーの消耗が激しいです。一方、アナログのウォッチフェイスを採用したハイブリットタイプのスマートウォッチは、液晶画面のスマートウォッチに比べ消費電力は少なくて済むため、ボタン電池で動いており、数ヶ月はバッテリーが持つようになっています。数年間電池交換無し、とはいきませんが、数ヶ月に1回のなら相当な面倒くさがりさんでもない限り(笑) 適応出来るのはないでしょうか。

*****

スマートウォッチのアナログ回帰現象が見られたCES2017。時計は、私たちのパーソナルスタイルを表現するアイテムであり、また宝飾品に近い位置づけ、というユニークな特性がこの背景にあると思っています。これからは、アナログのウォッチフェイスを採用し、デザインの多様性を追求したハイブリットタイプのスマートウォッチが数多く登場すると予想しています。また、CT BANDのように、手持ちのアナログウォッチをスマートウォッチに変えることができるデバイスにも注目したいところです。

Cover photo by Armani Exchange, Chaps, Diesel, Emporio Armani, Fossil, kate spade new york, Michael Kors, Misfit, Skagen

Paris Wakana



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