Special | 2017.03.07
誰もがファッションデザインに携われる時代がくるーーるうこ × sitateru河野秀和  イベントレポート

誰もがファッションデザインに携われる時代がくるーーるうこ × sitateru河野秀和 イベントレポート

2017年2月22日、Apple表参道で『iPad Proで最新のファッションデザインを楽しもう』と題したイベントが開催されました。
このイベントは、新しい衣服生産のプラットフォーム『sitateru』と『iPad Pro』『Apple Pencil』を活用して、デジタルでのファッションデザイン体験をハンズオン形式でおこなうというもの。今回はイベントレポートを通し、ファッションデザインにおけるテクノロジーの影響について考えていきたいと思います。

ファッション業界とテクノロジー業界の人々が集まったApple表参道

『sitateru』は、国内にある1000以上の縫製工場をデータベース化し、服を作りたい人と最適な縫製工場をマッチングし、小ロットから生産できるようにするプラットフォーム。 ゲストとして登壇したのは、sitateruを提供する、sitateru inc. CEO・河野秀和さんと、モデルのるうこさん。

誰もがファッションデザインに携われる時代がくるーーるうこ × sitateru河野秀和  イベントレポート

sitateru inc. CEOの河野さんは、前職のコンサル業でファッション業界の構造的課題を感じ、sitateruの前身となる会社を設立。シリコンバレーに渡って経験を積んだのち、2014年にsitateru.incを創業し、衣服生産のプラットフォーム『sitateru』を提供しています。
るうこさんは『装苑』や『Ginza』『NYLON JAPAN』などで活動しているモデル。Instagramで15万人以上のフォロワーをもつなど、各ファッション系SNSを通じて10~20代女性からの支持も厚いことでも知られています。DiFa読者のみなさんはCoverGirlで登場いただいたことを記憶されているかもしれませんね。

あわせて読みたい:Covergirl #003 るうこ

会場となったアップル表参道には、パタンナーやデザイナーなどファッション関係の方が半分弱、IT関係の方が半分弱とファッション分野へのテクノロジー活用というテーマにぴったりの方々が集まりました。

『sitateru』+『iPad Pro』でのファッションデザイン体験

イベントは、最初に『sitateru』のサービスについて説明があった後、sitateruがプロデュースしたファッションデザインアプリ『iNSPi』を使って実際のデザインを試してみるという流れでした。
今回のイベントに先立って、るうこさんは実際に『iNSPi』を使って服のデザインをiPad上で体験。sitateruを通して工場に発注し、イベント当日には着てきていました。るうこさん自身イベント当日にはじめて完成した服を見たとのこと。

誰もがファッションデザインに携われる時代がくるーーるうこ × sitateru河野秀和  イベントレポート
服の仕上がりについては、「服をデザインするのははじめてだったのですが、想像していたものとまさにドンピシャでした。発注する際にお話しするコンシェルジュの方が細かくヒアリングしてくれたのもあったと思いますが、イメージ通りでしたね」と想像通りのできに満足された様子。

誰もがファッションデザインに携われる時代がくるーーるうこ × sitateru河野秀和  イベントレポート
服をデザインするプロセスに関して伺うと「イラストを描いて、iNSPiに取り込み配置するという流れだったのですが、イラストはiPad Proが使いやすくて、簡単すぎて手が止まらないくらいでしたね。紙に描くような感覚で、何度も塗れば色が濃くなるあたりは水彩に近いかも知れないです。iNSPi上での配置も、普段スマホでやるようにピンチやスワイプ、ドラッグだけなので、すごく直感的にイメージどおりに配置できました」とiPadならではの操作感について語ってくれました。

わずか15分で、イラスト作成からデザインまで

誰もがファッションデザインに携われる時代がくるーーるうこ × sitateru河野秀和  イベントレポート
つづけて会場内では、用意されたiPad Proを使って、実際にイラスト作成からiNSPiでの配置までを通したデザイン体験が行われました。

誰もがファッションデザインに携われる時代がくるーーるうこ × sitateru河野秀和  イベントレポート
誰もがファッションデザインに携われる時代がくるーーるうこ × sitateru河野秀和  イベントレポート

会場に集まった方は前述の通り、ファッション分野に精通されたからITに精通された方まで幅が広いため、どうなるかと思いましたが、割と皆さんスムーズにペンが進んでいた様子。


河野さん、るうこさんも会場内を回って、デザインを見たりアドバイスをしたりしつつ進められていきました。時間としてはイラスト作成~配置まで15分程度と短かったのですが、ほとんどの方が形になっていたのが印象的でした。

プロアマ問わず、個人が才能を発揮できる時代に

今回のイベントでは、体験という形で各々楽しんでいましたが、『sitateru』のプラットフォームはアマチュアだけでなく、プロのデザイナーやショップの方々も利用しており、彼らの求める水準のクオリティを出せる工場も増えてきているといいます。

誰もがファッションデザインに携われる時代がくるーーるうこ × sitateru河野秀和  イベントレポート
sitateru公式サイトより
誰もがファッションデザインに携われる時代がくるーーるうこ × sitateru河野秀和  イベントレポート
sitateru公式サイトより

ちょうどイベントが開催された翌日にリリースされた、sitateruを通してユニフォームやノベルティグッズを作れる新サービス『WE ARE』では、ANREALAGE(アンリアレイジ)の森永邦彦さんをデザイナーに、ラーメンチェーン・一風堂のユニフォームを作った事例が紹介。全国の特定の店舗に順次導入されていっているそう。
ユニフォームのように大量に生産することもできる一方、数着だけのスペシャルアイテムを作ることもできるといいます。プロアマ問わず、さまざまな人のインスピレーションやイマジネーションを、いままでプロ以外には難しいと思われていた洋服という形に落とすsitateruのサービス。モデルとしてファッションに近い業界で働くるうこさんでも、やはり作る側は遠い存在だと思っていたと語ります。
「わたし自身洋服を作ることは遠いものだと思っていたのが今回のイベントを通して大分距離が縮まったと思います。渡しと同じように、作りたいと思っているけれど、どこから始めればいいかわからないという人はかなり多いと思います。sitateruがあることで夢が広がりますし、新しい才能の発見にもつながるといいなとおもいますね」
対して河野さんは「これまで世の中では大量生産が一般的でしたが、近年小ロットでの製造が増え、個々人がアイデンティティを発揮する機会が増えてきています。今回のるうこさんのように、人々が才能を発揮する手助けになればいいと思っています」と小ロット製造の増加が、ものづくりをしたいと考える人の可能性の拡張を示唆しました。

テクノロジーはファッションの今後をどう変えるか

最後は今回のイベントとsitateruを通し、今後テクノロジーを通してファッションはどのように変化していくと考えているかが語られました。

誰もがファッションデザインに携われる時代がくるーーるうこ × sitateru河野秀和  イベントレポート
河野さんは「これまでのファッションの環境は、徐々にシュリンクしていってしまうでしょう。そしてシュリンクした部分を埋めるあたらなプレイヤーが、個人に近しい立場から現れてくると考えています」と業界全体の変化を切り取りました。
るうこさんは「欲しいものを買いに行くのではなく、作りに行く時代になると面白いなと思いますね。同じようにInstagramなどのSNSでコーディネートをアップするのではなく、アイテムのデザインをアップする時代も遠くないかもしれません」と消費者視点、ユーザー視点での変化を語ってくれました。
誰でもものづくりに携われるテクノロジーの台頭はあらゆるものづくりにおける業界図を変えつつあります。ファッションでもそれは同様であり、sitateruはその本丸である洋服に対してもその変化を起こしはじめているのでしょう。
この変化は今後さらに拡大するのか。既存のファッション業界はこの変化にどのような対応をしていくのか。引き続き目が離せないトピックです。

Text : Kazuyuki Koyama
Photo : Hiroaki Mizutani

DiFa編集部



PICK UP

SPECIAL

LATEST

BUSINESS
LATEST