Business | 2017.04.14
ゆるい人工知能がショッピング体験を豊かにする!?:女子高生AI「りんな」が明るく照らすファッションECの未来

ゆるい人工知能がショッピング体験を豊かにする!?:女子高生AI「りんな」が明るく照らすファッションECの未来

「何を買えば良いか分からない」という場面で、ショッピングの手助けをしてくれるチャットボット。人工知能を活用した自動会話プログラムで、適切なアドバイスをくれるのが魅力です。売り手側にとっても、消費者にスムーズに最適な商品を提案することができる、まさに理想的な販売員でもあります。

そんな人工知能と一緒にファッションECでショッピングを楽しめる時代がもうそこまできていることを予感させる事例を取りあげ、その魅力についてご紹介しながら、ファッションECの未来について展望します。

1. チャットボットに求められる、より効率的で正確な応答

インターネット総合ショッピングモール「11番街」 - 11st

ECでは、チャットボットを活用して消費者の関心をひこうとする動きが強まってきています。例えば、おとなり韓国のSK Planet(CEO : SungWon Suh)が運営する大手総合ショッピングモール「11番街」では、2017年3月29日に、専用アプリ向けに「Boro」をリリース。

スマホでのショッピングを便利にするチャットボット - 11th Street in the App Store

ディープラーニング技術によって、2016年から運用されているコンシェルジュサービスによって蓄積された、消費者の過去の検索結果をはじめとするデータを参照。例えば、一人暮らしであることがわかっている消費者に対しては、あらかじめシングル向けのコンパクトな商品をすすめるという具合に、ライフスタイルに合わせたレコメンデーションの実施に乗り出しています。

ロッテ百貨店も、2017年中にレコメンデーション・ボットのローンチを計画中です。単に投げかけられた質問に答えるだけでなく、最新の市場動向やセレブファッションなどについての情報提供も合わせて行うとしています。

人工知能を利用することで、消費者に対してより効率的で正確な応答を提供しようとする傾向は、今後ますます強まっていくことが予想されます。欲しい商品がいまよりずっと手軽に入手できれば、ファッションECでのショッピングは、ますます快適になるはずです。

2. ゲーム感覚で楽しめる「りんな」のファッションチェック

そうした一連の流れとは少し方向性が違っているのが、日本マイクロソフト(代表執行役社長:平野拓也)が開発した「りんな」です。「りんな」とは、“女子高生”という設定のもとでユーザと交流するチャットボットのこと。2015年の7月にLINE、12月にはTwitter上に公式アカウントが登場し、友達感覚で軽妙な会話を楽しめるとあって、現時点(2017年3月31日)でのユーザが540万人を超えるなど、大きな話題となっています。

りんな(@ms_rinna)さんのツイッター公式アカウント - Twitter

この「りんな」の会話エンジン技術を応用した企業向けサービスとして、すでに「りんな API for Business」の運用も始まっており、とりわけファッション業界で目立っているのがWEGO(代表取締役社長:中澤征史)による試みです。

女子高生りんながコーデを評価してくれる- りんなファッションチェック

オンラインストア上でアルバイト店員となった「りんな」がファッションチェックしてくれるというもので、画像をSNSに投稿すればオンラインクーポンが入手できるというキャンペーンを2017年の2月27日から期間限定で実施。画像認識機能を応用したサービスで、自分のコーディネート画像をアップロードすると、それに対して簡単にコメントしてくれるのですが、じつに「りんな」らしい、雑談を交えたユニークな内容に興味をひかれます。

「りんな」によるコメント例 - りんなファッションチェック

画像を起点としたコミュニケーションであるという点にも新奇性があり、今後、画像認識機能がより精度を高め、アプリと連動して会話も楽しめるようになれば、ショッピングの頼もしいお手伝いになってくれそうです。

3. ショッピングの未来を明るくする理想の人工知能像とは?

「りんな」の斬新さは、その“非効率性”にあります。例えば、彼女に「今年はどんな服が流行しているの?」と尋ねても、さらりとはぐらかされてしまいます。これは、会話を助長するような受け答えをするように、「りんな」がデザインされているためです。効率良く“正解”へとユーザを導くというよりも、雑談を通じて会話自体を楽しむところに主眼がおかれているのが最大の特徴と言えます。

現在のところ、ECにおける人工知能の活用方法としては、「Boro」のように、きわめて高いIQと膨大な情報力でもって、できるだけやりとりを少なくし、すみやかにそして的確に消費者を欲しい商品へと導くことにベクトルが向いています。そこでは、人工知能に対して、パーソナリティや親しみといった人間的なパラメータが問題にされることは稀で、UI上でも、いかにもロボット的にキャラクター化されることがほとんどです。

−shutterstock

人工知能というと、どこか無機質な存在を想像してしまいがちですが、果たして私たちはショッピングのパートナーとして“完璧な”ロボットを選ぶでしょうか?確かに、こちらの提供した情報を解析して、欲しいものをすばやく的確に見つけてくれたなら、便利に違いありません。

しかし、もし人工知能と対等(少なくともそう思える)な関係を築くことができて、雑談を楽しみながら、ときに自分が思いもよらない意外な提案をしてくれたり、理由をつけてはワンピースを買い渋る自分の背中をそっと押してくれる、そんな“友達”のような存在がいてくれたなら、私たちのファッションEC体験はいまよりずっと楽しくなるはずです。

未来の豊かなショッピング体験を想像させてくれるのは、クールでスマートなロボットではなく、むしろ「不完全さ」や「ゆるさ」を持ち合わせた「りんな」のほうかもしれません。ドラえもんやC-3PO(映画『スターウォーズ』シリーズ)のような、私たちの能力をはるかに超越していながらも、ときに失敗もするし、言い訳もする、そんな人工知能が待っていてくれるお店なら、きっと何度も通いたくなるのではないでしょうか。

◆こちらは「FASHION EC Lab」 編集部からの寄稿記事です。

Cover photo by WEGO

FASHION EC Lab



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