Business | 2017.06.16
古着はネットで買う時代へ - ファッションECと古着の親和性について

古着はネットで買う時代へ - ファッションECと古着の親和性について

古着通販・買取を手がける「ZOZOUSED」が好調だ。2017年3月の決算発表によると、売上高は128.7億円。前年同期比61.8%増と高い成長率で、ファッションECにおいて古着市場がここへきて急成長している。

環境省によると、2015年の「衣類・服飾品」および「ブランド品」のリユース市場規模は、およそ2,753億円と、ほぼ横ばい。将来的に市場規模が1兆円程度にまで広がるとも言われるが、そのためにはファッションECの存在が鍵となるだろう。今回は、ファッションECは古着とどう付き合っていくことになるのかについて考えてみたい。

1.古着を取り巻く状況の移り変わり

shutterstock

古着というと、ほとんどが一点もので、サイズが不揃いである上、コンディションもまちまち。しかもラインナップがあまり整理されていないという印象もあるが、価格の安さという魅力がある。そのため、古着を専門に扱うリアル店舗に足を運んでは、混沌とした商品群の中から一つ一つ掘り出して、サイズやコンディションを確かめながら宝物を探し出すというところに、面倒もあれば楽しみもあるというわけだ。

ところが近年の傾向として、ECのほか、オークションサイトやSNS、フリマアプリを利用することで、リアル店舗に出かけることなく、手軽に古着を購入するというスタイルが人気を集めている。背景には、各プラットフォームを利用して個人がそれぞれ出品者となることで、各店舗ではとても処理しきれないはずの商品数を取り扱うことが可能になったことがある。

しかも、とりわけ若い世代が古着を購入する理由は、必ずしも価格の安さに限定されないという特徴がみられる。近年では、ファストファッションを古着で購入する傾向も顕著だが、どうやら、「安いものをより安く」ではないようだ。

1年以内に古着を購入したことがある10代から50代の男女1,000人を対象に実施されたアンケート調査(総合マーケティング支援を行なうネオマーケティングによる)では、古着を買うメリットとして、例えば、26.1%が「他の人が持っていないものが見つかる」、19.1%が「今の時代にはないデザインのものが見つかる」と答えている。

2.ファッション業界の再編で変化した「古着」の意味

–shutterstock

こうした流れの要因としてまず考えられるのが、ファストファッションの台頭だ。短いサイクルで企画・生産・販売されるファストファッションの流行によって、需要・供給のスピードが加速化。中古市場に商品が早く出回るようになり、古着流通の回転率が上昇した。その結果、古着であるにもかかわらず「新作」で、使用頻度が浅いため状態もいい、いわば「新作古着」が気軽に入手できるようになったというわけだ。

もう一つ、重要な契機となったのが、フリマアプリをはじめとする、 CtoC型プラットフォームの充実や、ファッションレンタルサービスの流行だろう。2013年にサービスを開始した「メルカリ」などのフリマアプリの登場により、古着市場そのものが活性化。また、2014年頃から相次いで登場したファッションレンタルサービスの成功は、衣料品を「シェア」するという「エコ」な考え方が、とりわけ若い世代の間で広く浸透していることを示すことになった。

古着を利用・購入するチャンネルが多様化したことで、価格・コンディションといった物理的な面だけでなく、古着を使用することへの精神的な面での抵抗感が薄れてきている。依然として価格は「古着」を選ぶ重要なファクターであるものの、「粗悪だが安いから」といったネガティブな発想が契機となるのではなく、「エコ」「シェア」といったキーワードに象徴されるようなライフスタイルへの転換が生じている。

3.ファッションECと古着の親和性を高める新しいテクノロジー

–zozoused.official - Instagram

以上のことを背景に、最近では古着を取り扱うECも増えてきているようだ。ZOZOTOWNで買取された古着を販売するZOZOUSED、商品の元値やコンディションに関係なく、全ての古着を980円で販売する「フクカオ」がその代表的な例だが、古着をECで取り扱うには課題も多い。

やはり気になるのが、サイズの問題だ。先のアンケート調査でも、実に36.6%が古着を購入する上での不利な点として、「欲しいサイズがない」ことを挙げている。これは、ファッションEC全体が抱える課題でもあるが、とりわけ相対的にサイズ感を推測する指標に乏しい古着の場合、試着せずに商品を購入するのには大きなリスクを伴う。徐々に存在感を示しつつも、いまだ発展途上にあるオンライン試着システムやVR技術の発展がこれを解決してくれるはずだ。

また、ファッションECは、古着に付加価値を与えるということがほとんどできていない状況にある。本来、古着には、今では稀少となった素材や独特の製造技法、さらには経年による状態の変化などによって、新たな価値が付与される傾向がある。いわゆるヴィンテージショップと呼ばれる店舗では、原石となるような商品を国内外で買い付け、場合によっては補修するなどの「編集」を加えたうえで見栄えをよくし、付加価値の高い「ヴィンテージ品」として提供している。商品の質感をよりリアルに体験できるVR技術をはじめとするテクノロジーによって、ファッションECは画期的な「編集」機能を手に入れるに違いない。

人工知能による精度の高いレコメンデーション機能にも期待したいところだ。現時点では、トップスやボトムスなどのカテゴリーのほか、サイズ、ブランド、カラーやコンディションなど、様々な方法で商品を絞り込むことはできるが、商品どうしの関連づけは不十分だ。

先のアンケート結果をみると、「探していたブランドが見つかる」(23.2%)、「センスのある人から譲り受けられる」(8.5%)という回答も目立っていた。SNSやファッションコーディネートアプリなどのサービスを活用して、お目当の品を特定。従来であれば、「型落ち」と烙印を押されるような商品であっても、「完売品」として、新品・古着を問わず積極的に取引されることもあるようだ。つまり、特定の画像を手がかりに商品を探し出す、人工知能による画像検索機能が進歩すれば、古着を購入するツールとして、ファッションECの存在感はますます大きくなるに違いない。

ただし、これを実現するには、膨大な商品数をデータベース化し、商品どうしを的確に関連付けるようなシステム構築が欠かせない。そのためには、企業を超えたEC間の連携システムのあり方が、今まさに模索されなくてはならないだろう。

リユースとの関わり方が鍵となる

およそ9兆から10兆円と言われる国内のアパレル市場規模全体で見れば、現時点で3,000億円に満たない古着市場はそれほど大きくないかもしれない。しかし、若い世代の消費動向の基盤となる新たなライフスタイルと密接に関わっている以上、ファッションECとしても古着市場の拡大は看過できないものだ。新品の販売だけでなく、リユースとどう関わっていくかを考える時期にさしかかっていると言えるだろう。

◆こちらは「FASHION EC Lab」 編集部からの寄稿記事です。

Cover photo by shutterstock

DiFa編集部



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