Special | 2015.11.27
ファッションデザイナー中里周子×現代写真家小林健太による、バーチャルリアリティーを体感!展覧会「ISLAND IS ISLANDS」レポート

ファッションデザイナー中里周子×現代写真家小林健太による、バーチャルリアリティーを体感!展覧会「ISLAND IS ISLANDS」レポート

昨晩の夢に出てきた人が気になって妙に意識して過ごしたり、昼間の出来事が夢の中で誇大されたイメージになって迫ってくる、そんな体験、誰にでもあるでしょう。自分のものであるはずの脳ミソが作り出した無意識下の「ズレ」や「揺れ」って何か不思議で楽しい。

そんな「リアル」と「リアリティ」の間で揺れる感覚が掘り起こされる展覧会「ISLAND IS ISLANDS」が東京・東雲のギャラリー「G/P gallery Shinonome」にて2015年12月12日(土)まで開催中。この展覧会は、ファッションデザイナー中里 周子と現代写真家小林 健太による2人展で、バーチャルリアリティの研究開発を行うラボラトリー「Psychic VR Lab」とのコラボレーションにより、まるで誰かの意識の中を追体験できるような実験的な内容となっています。

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仮想現実の世界は、非現実なギャラリーからスタート

東京・東雲。配送センターや倉庫が立ち並ぶ人気の無い工業用地。地図を頼りにたどり着いたのはどう見ても倉庫、のようなギャラリー。おそるおそる鉄階段を上がると、突如現れる400坪の広大なスペースに圧倒されます。フロアマップもポスターもなく、唐突に置かれている鉄塊のオブジェ、映画「ザ・セル」を思わせるガラス板の装置、立ち並ぶ巨大な白いキューブ状の建造物……場所を間違えたと思うくらい薄暗く静まり返った空間の奥に、僅かに聞こえる波の音とナレーション。

これ、実はまだ展覧会のブースには入っていないのですが、思わぬ非現実世界の入り口に、たじろぎながらも好奇心が喚起されてしまいます。唯一ヒントになりそうな波の音を頼りに奥に進むと、キューブの窪みに人がひとりやっと入れそうな小さな穴が。

「靴を脱いでおはいりください」と控えめな紙切れがくっついていて、やっとここが展覧会の入り口だということが分かります。まるで宮沢賢治の「注文の多い料理店」。ちゃんとこの入り口に戻ってこれるのかしら……と思いながらも脱いだ靴をその場に残して進みます。

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誰かの意識の奥へ奥へ……頭のなかの「アイランド」を体験

映画「マルコヴィッチの穴」から着想を得たという入り口は膝を着かないと入れないほど低く、そのまま這いつくばって真っ青な穴ぐらを進んでいきます。ライトに照らされて見えるのは架空の「島々」を表現した小さなアートピース。木彫りのクマやクリスタル、モアイ像などが、オーロラ色の中で、まるで異国の神様のようにコラージュされています。

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さらに奥のカーテンをくぐり抜けると、突如現れたのは、日差しも眩しい開放的な白砂のビーチ。はじめから聞こえていた波音の根源はここだったのかと気づきます。ビーチチェアの上にはデコラティブに装飾されたゴーグルが。これは「Oculus Rift(オキュラスリフト)」と呼ばれるバーチャルリアリティに特化したヘッドマウントディスプレイで、装着すれば、頭の動きに合わせた立体映像で360度の別世界を体験できます。立ったり座ったりの上下運動にも対応しており「圧倒的な没入感」が得られると話題のマシンです。

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ISALND IS ISLANDS 2015 © NORIKONAKAZATO and Kenta Cobayashi Courtesy of G/P gallery, Tokyo
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ISALND IS ISLANDS 2015 © NORIKONAKAZATO and Kenta Cobayashi Courtesy of G/P gallery, Tokyo

ディスプレイを目にあててみると、眼前に広がるのは大海原と抜けるような青空。後ろを振り返ると船のマスト、足元にはOculus Riftが置いてあったビーチチェアがあり、小舟で漂流している自分に気付きます。先ほどの空間で展示されていた小さなモチーフのアートピースは、の中では巨大に拡張され、海に浮かぶ島々となってゆったりと漂っています。まさに360度の異世界、誰かの意識の中に迷い込んでしまったよう。

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ISALND IS ISLANDS 2015 © NORIKONAKAZATO and Kenta Cobayashi Courtesy of G/P gallery, Tokyo

テクノロジーが私たちの感覚を掘り起こす

自宅、職場、それまでいた日常生活の場所から倉庫街、青い洞窟を通って非日常、超現実へのいざない。薄暗い巨大な倉庫、屈んで入る青い洞窟、小さなモアイ像、大海原の漂流、それぞれ脈絡の無い空間とスケールに脳が起こす、軽いハレーションがなんだか心地よい。

バーチャルの世界をリアルに感じるのではなく、リアルとバーチャルの間に揺れ動く人間の感覚が掘り起こされる不思議な体験。テクノロジーの力で、人間らしい「ブレ」や「揺れ」の感覚を呼び起こす、新たな試みの企画展でした。

ぜひ、空いていそうな時間に訪問し、ひとりきりでゆったり体験することをお勧めします。

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ISALND IS ISLANDS 2015 © NORIKONAKAZATO and Kenta Cobayashi Courtesy of G/P gallery, Tokyo

DiFa編集部



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