Business | 2017.09.07
ブランドの価値はより流動的に? - ミレニアル世代向けのブランディングを考える

ブランドの価値はより流動的に? - ミレニアル世代向けのブランディングを考える

ミレニアル世代がその存在感を増してきている。大量消費を嫌うと言われる彼らだが、その購買力は決して小さくはない。消費行動がつかみづらく、従来のマーケティング手法では立ち行かないと言われる時代、ファッションECは、商品をどう売っていくべきなのか。

拡大しつつあるミレニアル世代の影響力

アメリカ合衆国国勢調査局によると、1982年から2000年に生まれたいわゆるミレニアル世代と呼ばれる若年層は、2015年の時点でおよそ8,310万人。全人口の4分の1以上を占めるに至っている。また、大手コンサルティング企業アクセンチュアによれば、ミレニアル世代の購買力は年間およそ6,000億ドル。2020年までには1兆4,000億ドルにまで拡大すると予想されており、今後の消費活動の主役となっていくことは明白だ。

同様の傾向は日本を含むアジアにも当てはまる。アクセンチュアは、アジア太平洋地域におけるEC市場規模が、2020年までに2兆6,000億ドルに達すると予想。しかも全世界のミレニアル世代のうち60%がアジアに在住し、彼らの可処分所得は6兆ドルに上るだろうと分析している。デジタルデバイスに精通し、情報リテラシーに優れたミレニアル世代の共感を得られるかどうかが、ファッションEC発展の鍵を握ると言っていいだろう。

“つながり”を求めるミレニアル世代

カルバン・クラインやマイケル・コースを輩出したことで知られるニューヨーク州立ファッション工科大学の大学院生らは、全国の250から500人のミレニアル世代を対象に複数の調査を実施。それによると、ミレニアル世代がブランドに共感する動機として、内部に知人がいること(透明性)、ブランドが自分たちからのフィードバックを歓迎し、商品やサービスに反映すること(経験)、友人や家族からのレコメンデーションやシェア(コミュニティ)などが挙げられるのだという。ブランドのポリシーを一方的に提言するような旧来のプロダクトアウト式のやり方はすでに時代遅れで、ブランドには、信頼に基づく“つながり”を意識し、消費者のためではなく、消費者と“ともに”ブランドを作り上げるという発想が求められると、大学院生らは結論づけている。

17歳から35歳ぐらいまでと、幅広い年齢層をカバーするミレニアル世代の消費行動を予測するのは難しく、全体をひとくくりにして考えるのには無理があるものの、消費の動機として、ミレニアル世代がある種の“つながり”を求めていると考えて差し支えなさそうだ。また、気に入ったブランドには高いロイヤルティを示すことがある一方、ミレニアル世代にはブランドの権威を認めない傾向があるのも確かだろう。

新時代におけるファッションECのブランディング

VRにも対応するライブコマース専門アプリ - 红豆角直播

米Appleの小売担当上級副社長アンジェラ・アーレンツは、リアル店舗においては“体験”の占める割合はもっと大きくあるべきだと語っている。ミレニアル世代がファッションECにおいて求めるものもまた、そうした“体験”であるに違いない。例えば、このところ注目を集めるライブコマースがそのヒントになるだろう。中国で爆発的に流行していることはよく知られているが、国内では2017年に入ってから目立つようになってきた。

ライブコマース最大の特徴は、配信者と視聴者との双方向的なコミュニケーションによって、商品の付加価値がリアルタイムで創造されていく、体験型のショッピングであるという点だ。コメントや「いいね」が重ねられ、インフルエンサーを中心とするコミュニティが、その場で商品に価値を与えていく。それは、ハイブランドが保持してきた絶対的な価値とは違い、コミュニティ間の関係性や時間など、様々な要因の影響を受けて刻々と変動していく。

昨日欲しかったたものが、明くる日には不要となり、同時に他の誰かにとって価値を持つような世界。上の世代からは、刹那的なお祭り騒ぎのように見えるかもしれないが、ファッションや流行とは、本来そのようなものであったはずだ。

ミレニアル世代に向けたブランディングの出発点は、システマティックで固定的な考えと決別し、そうした流動的な価値観を受け入れていくところにある。例えば、消費者の声を一つ一つ拾い上げ、より小刻みに、柔軟にトレンドの波に乗る。消費者と“ともに”ブランドを作り上げるというのは、そうした堅実な作業の積み重ねであるに違いない。

Bureau of the Census

 

accenture – WHO ARE THE MILLENNIAL SHOPPERS? AND WHAT DO THEY REALLY WANT?

 

accenture – Retailers and Consumer Packaged Goods Companies Must Enhance Their Understanding of Millennial Consumers to Capture Share of $6Trillion Wallet in Asia, Accenture Warns

 

Inc.com – Study: Millennials Are the Most Brand-Loyal Generation

 

FIT – “The Future of Brands” The Cosmetics and Fragrance Marketing and Management Program 2017 Capstone Presentation

 

Goldman Sachs – Millennials: Changing Consumer Behavior: Goldman Sachs’ Lindsay Drucker Mann

 

Apple’s Angela Ahrendts on the new in-store experience

◆こちらは「FASHION EC Lab」 編集部からの寄稿記事です。

Cover photo by Shutterstock

DiFa編集部



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