Business | 2017.10.11
ファッション界における循環可能なエコシステムは実現するか-「XZ(クローゼット)」の事例から

ファッション界における循環可能なエコシステムは実現するか-「XZ(クローゼット)」の事例から

ファッションコーディネートアプリ「XZ(クローゼット)」を運営する株式会社STANDING OVATION(代表取締役:荻田 芳宏)が大規模な資金調達を実現した。「世界に一つのオンラインクローゼット」によって、60万におよぶコーディネート案を軸に新品およびリユースアイテムが循環可能なするモデルが創出されるのだという。同サービスは、2025年には3,350億ドルにまで市場規模が成長すると予想されるシェアリングビジネスの一つとして捉えることができる。“モノ”や“サービス”のシェアをテーマにしたプラットフォームを提供するいま注目のビジネスモデルだ。ファッション界におけるシェアリングビジネスのあり方についても触れながら、デイリーなツールとして定着しつつあるコーディネートアプリの可能性について考える。

1.ファッション界におけるシェアリングビジネスの台頭

Shutterstock

2012年に登場したフリマアプリの市場規模が、2016年には3,052億円に達するなど、ファッション業界におけるネットリユース市場の拡大にも注目が集まる。そうしたシェアリングエコノミーの台頭にともなって、普及し始めているのが「airCloset」や「SUSTINA」に代表されるファッションおよびクローゼットレンタルアプリだ。

メチャカリ

それぞれサービスに趣向をこらしながらも、いずれも定額料金で最旬のファッションアイテムを利用できて、レンタルしたものを返却すると別のアイテムを借りることができるという仕組みを特徴としている。2015年には、新品のアイテムを借りられる「メチャカリ」がサービスを開始するなど、シェアリングビジネスを発端とした新たなビジネスモデルの登場も見られる。

ファッション/クローゼットレンタルアプリは、「共有」や「シェア」をキーワードに、循環的な消費の有りようを志向するものと言えるだろう。古着屋が一般的であることや、蚤の市などで衣類がリサイクルされる習慣があることから、ファッションと「シェア」の概念は相性が悪くない。「リユース」「レンタル」を軸に、シェアリングビジネスは今後のファッション界の重要なプレーヤーとなっていくはずだ。

2.ファッション界で存在感を放つコーディネートアプリのこれから

WEAR

コーディネートアプリもまた、現在のファッション業界で存在感を強めている。ECと連動してマネタイズする仕組みを確立していて、例えば、周到なSEO対策によって、ファッションアイテムに関するキーワード検索を行うと、「WEAR」が高い確率で上位表示され、経営母体を同じくする「ZOZOTOWN」への導線が巧みに敷かれるという具合だ。インフルエンサーマーケティングを活用するなど、SNS的な側面を持ち合わせているのも特徴で、アクセス数やCVRを向上させることに成功している。

IQON

「WEAR」以外にも、毎月の利用者数が200万人以上という「IQON」、DL数が300万を超える「コーデスナップ」、とりわけ10代女性の支持を集める「MANT」など、人気アプリは数多く、いまやコーディネートアプリなしにファッション業界を語ることはできないと言えそうな状況だ。

等身大のモデルをコーディネートの参考にすることで、ユーザは使い道がない服や似合わない服を購入する必要がなくなった。コーディネートアプリは、無駄のない効率的なファッションとの付き合い方を可能にしたと言えるかもしれない。とはいえ、消費者がコーディネートアプリに期待しているのは、おしゃれな画像に「あとワンアイテム」を喚起され、ECへとスムーズにアクセスできることだけではないはずだ。遊休資産をシェアし、もっと無駄が排除できるような、シェアリングエコノミー型のビジネスに期待が高まるところだ。

3.XZ(クローゼット)にみるファッション界における循環モデルの可能性

XZ(クローゼット

「XZ(クローゼット)」は、いわゆるコーディネートアプリの一つだが、ユーザのクローゼットに眠っているアイテムに注目するというのが最大の特徴だ。クローゼットの中身を見える化し、手持ちアイテムを公開することで、コミュニティ内でスタイリングのアイデアを出し合い、着回しを助けるというもの。

他のユーザのコーディネートを閲覧できるだけでなく、クローゼットが共有されているため、他のユーザが所有するアイテムを使って擬似的にコーディネートを楽しむことも可能だ。プロのスタイリストの参加やAIの導入も検討されているという。

「XZ(クローゼット)」が目指すのは、手持ち服によるコーディネートのアイデアが交換された結果、ユーザ間やファッションECとの連携の中で、実際にリユースおよび新品のアイテムが取引されるようなシステムを構築することにある。3兆円とも言われるクローゼット内の遊休資産をシェアし、新商品の需要も促すことで、循環可能な、想定300億円規模の経済圏を生み出そうというのだ。コーディネートサービスをシェアリングエコノミーと結びつけた、画期的なビジネスモデルと言えるだろう。

ファッション界における循環可能なエコシステムの実現へ

国内の衣料品廃棄量は年間およそ100万トンにも上ると言われ、リサイクル率はおよそ11%、リユース率も13%程度にとどまり、ほとんど焼却処分されているというのが現状だ。エコの視点だけでなく、ビジネス的な見地からも、こうした資源を有効活用しない手はないはずだ。ファッションのデイリーツールとなりつつあるコーディネートアプリが、大きな潮流となりつつあるシェアリングエコノミーと合流することになれば、ファッション界における循環可能なエコシステムの実現に大きく近づくに違いない。

XZ(クローゼット)

https://www.xz-closet.jp/

電子商取引に関する市場調査

http://www.meti.go.jp/press/2017/04/20170424001/20170424001-2.pdf

中小企業基盤整備機構「繊維製品3R関連調査事業」報告書

http://www.smrj.go.jp/keiei/dbps_data/_material_/common/chushou/b_keiei/keieiseni/pdf/53267-01.pdf

◆こちらは「FASHION EC Lab」 編集部からの寄稿記事です。

Cover photo by Shutterstock

DiFa編集部



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