Business | 2017.11.06
ファッションの価値を編集するのは消費者!?キラキラ加工の事例から

ファッションの価値を編集するのは消費者!?キラキラ加工の事例から

今年のニューヨークファッションウィークで話題となった「コーチ(COACH)」のコレクション。このところファッション界の流行となっている、発表と同時に新作を発売する「See Now, Buy Now」とは距離をおきながらも、舞台演出とアイテムの特徴をいかしたSNS上の展開が功を奏したようだ。ソーシャルメディアの時代、ファッション界やファッションECは、取り扱う商品の魅力をどのようにアピールしていけばよいのだろうか?そのヒントを探ってみたい。

キラキラなコーチを「キラキラ+」がSNSで盛り立てる

グリッターが煌めくランウェイ-COACH2018SS

2017年9月、皮革製品ブランドのコーチは、ニューヨークファッションウィークにおいて、2018年春夏コレクションを発表。ランウェイだけでなく壁や小道具にいたるまで、ステージ上のセットをキラキラ輝く装飾で覆うという演出が話題となった。スカートやブーツなど、発表されたアイテムにもグリッターを多用していて、写真映えする華やかなコレクションが印象的だった。

コレクション発表後まもなく、コーチのクリエイティブ・ディレクターであるスチュアート・ヴィヴァース(Stuart Vevers)がショーの模様にキラキラ加工を施した動画をInstagramに投稿。これに呼応するかのように、Instagram社のエヴァ・チェン(Eva Chen)も同様の加工を施した動画を上げるなど、業界人の間でちょっとしたブームになっていたようだ。

加工アプリ - kirakira+

彼らが動画の加工に使用していたのは、iOS向けのアプリ「kirakira+」。このアプリは、夜景やイルミネーションなどの光源を十字状に光らせるクロスフィルターのような効果を加えることができる。

ソーシャルメディア時代の新たな商品価値の生まれかた

Eva Chenさん(@evachen212)がシェアした投稿

エヴァ・チェンはファッションウィークが終了した後も、ロンドンのファッションブランド「16Arlington」のスーツやスカートを自ら身につけて撮影した動画を投稿するなど、かなりの熱の入れよう。影響力のある彼女のすることだけに、このブームの煽りを受けて、彼女が取り上げたブランドはもちろん、グリッター感のあるアイテムも大きく動いたようだ。アプリの人気も高まり、Instagramで「#kirakira」とハッシュタグが付けられた投稿は6万5,000件以上にのぼる(2017年10月時点)。

–Instagramで「#kirakira」とハッシュタグが付けられた投稿

一連の投稿がブランド戦略の一環なのかどうかは別にしても、SNSを使ったこうした軽やかな所作がちょっとしたブームに発展することはファッション界において珍しくない。SNS上では、業界人と一般消費者との間で情報が自由にやり取りされる。それゆえ、インフルエンサーがその気にさえなれば、特定のブランドや商品に特別な価値を帯びさせることも、さほど難しいことではない。

そして、商品に価値を与えるのはインフルエンサーだけではない。例えば、ファッションショーにわざわざ足を運ばなくても、ソーシャルメディアを通じて、消費者はその様子をただちに知ることができるようになった。ショーの画像や映像はたちまち共有・拡散され、消費者同士が互いに「いいね」しあったり、加工アプリなどで編集を加えたりすることで付加価値が備わっていく。

従来、ショーの模様がファッション雑誌などマスメディアにおいて取り上げられ、商品の美点は専門家らによって評価されてきた。しかし今や、商品の価値を左右するのはインフルエンサーを含む消費者のほうなのだ。そればかりか、共有されたり編集されたりする過程で、商品の意味が制作者の意図を超えて変容してしまうことさえあるだろう。

SNSの影響で変わりつつあるブランドと消費者の関わり方

アプリを駆使する消費者によって、画像や動画が自由自在に加工され、デザイナーやブランドが意図しない形で共有・拡散されれば、商品やブランドの価値が歪められたり、おとしめられたりすると考える向きもあるだろう。

しかし、誰もが積極的に商品価値の書き換えに参加できるという特長こそが、ミレニアル世代にとってのファッションなるものを象徴しているのかもしれない。

◆こちらは「FASHION EC Lab」 編集部からの寄稿記事です。

Cover photo by COACH

FASHION EC Lab



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