Business | 2017.12.01
ファッションテックが実現する未来とは?「FASHION FUTURE♯002」レポート

ファッションテックが実現する未来とは?「FASHION FUTURE♯002」レポート

2017年11月1日、Tokyo Fashion Technology Lab 原宿校舎にて、トークイベント「FASHION FUTURE」の第2回が開催された。このイベントは、編集者である軍司彩弓氏とファッション業界の鍵を握るトップクリエイターが現状の業界課題や成功事例を語り、ファッションの未来を紐解いていくものだ。

 第2回目となる今回のテーマは「テクノロジーとファッション」。軍司氏による「ファッションテック」の解説から始まり、特別ゲストとして、国内初となる縫製事業のクラウドソーシングサービスを提供するシタテル株式会社の代表取締役、河野秀和氏が登壇し、同社のサービスについて説明。最後はふたりによるトークセッションが行われた。

ファッションテックとは?

言葉だけがひとり歩きしている印象のある「ファッションテック」。軍司氏は冒頭でそもそも「ファッションテックとは何か?」について解説を始めた。ファッションテックには、「売る・共有する・管理する・見せる・身につける・作る」の領域がある。それぞれについて、軍地氏はこう説明した。

 

1.売る

売るといえば、Eコマース。スマホでECサイトにアクセスするユーザーが増加。いまやスマホの中にサービスがあると言える状況。業界の雄、ZOZOTOWNは今後プライベートブランドを開始する。その内容とは、ベーシックアイテムを完璧なサイジングで提供するというものだ。そこにもテクノロジーは活用される。サイズという顧客情報をいかにサービスに活用していくのか注目したい。

さらに「動画(を使った)コマース」、「バーチャル試着」、AIを活用した「接客」についても、話は及んだ。テクノロジーは集団ではなく、情報を集め、個に合わせたサービスを提供できるのが強みであると語った。

 

2.共有する

テクノロジーが発展すると、シェアリングエコノミーがより広がり、モノを持たずに共有することが加速すると予測される。現在も「オンラインレンタル」など、洋服を買うのではなく、借りるサービスが好評。また、ソーシャルメディアで情報をファンと共有したり、クラウドファンディングを使うことで作り手の思いを共有することができる点もテクノロジーを活用するメリット。

 

3.管理する

アパレルショップにおいて、棚卸しは重要かつ長時間を割く業務となっていた。しかし、ICタグの登場により、どの店舗で何枚売れたかが管理できるようになり、棚卸し業務からスタッフが解放された。またAIマーケティング、VRを活用したファッションショーやショールームなども、今後の展開が注目される。

 

4.見せる

AIを利用し、自分専属のスタイリストが洋服をリコメンドしてくれるサービスが登場している。またANREALAGEでは、テクノロジーを活用した展覧会が実施予定。これまでアナログだったものをデジタルで表現する試みが始まっている。

 

5.身につける

Apple Watchに代表されるように、テクノロジーを身につける時代になった。ANREALAGEではスマートフォンのアプリでスニーカーを見ると、何かが見えるという試みもあった。

 

6.作る

googleとリーバイスがコラボし、服に触れてスマートフォンを操作できるアイテムが生まれている。3Dプリンターを活用すれば、個人のサイズに合わせた洋服を作成可能。さらにAIによるファッションデザインの提案も始まっている。

 

あたらしい衣服生産のプラットフォーム「sitateru」とは?

次に、シタテル株式会社の代表取締役・河野秀和氏が自社サービスである、あたらしい衣服生産のプラットフォーム「sitateru」について話した。

ファッションを扱うが、自身は元々ビジネスマンであると語る河野氏。「sitateru」は、直にアパレル工場とやりとりし、小ロットから洋服を製作することを実現したプラットフォーム。同サービスを利用すれば、オリジナルのTシャツやパーカーなど、さまざまなアイテムを気軽に、かつ安価に作ることが可能だ。

「sitateru」が生まれたのは、アパレルの工場には繁忙期と閑散期があることに、河野氏が注目したからだ。当初は自分の足で工場をまわり、丁寧に協力要請をし、現在では300以上の工場と連携している。またこのプラットフォームを利用している会社数は、2014年に100社、現在は4000社を超える。

多種多様なアイテムの発注が気軽に行える「sitateru」は、直で工場とやりとりできるため、通常よりコストを抑えられる点が最大のメリットだ。

 テクノロジーは道具。いかに活用するかが重要

その後、軍司氏と河野氏によるトークセッションが行われた。最初のテーマは「日本、そして世界でクリエイティブが生まれるためには?」。軍司氏が「日本は踏み出す力(情熱)も資金も少ない。海外であればスポンサーが現れ若手デザイナーを支援するが、日本ではそういう機会は稀」と語ると、河野氏は「ITのスタートアップには、ファンドが投資してくれる仕組みがある。ファッションもそうなれば」と意見を述べた。

 

軍司氏は、クラウドファンディングのCAMPFIRE(キャンプファイヤー)はまさに、その仕組みだと続けた。また、こうしたテクノロジーを活用することで、平等にチャンスを得ることができると話した。

一方で、AI(テクノロジー)に仕事を奪われるといったニュースもあるが、すべてがAIに取って代わるとは思えないと話した。あくまでAIも道具であり、いかに活用するかが大事だと語った。

確実にデジタルの波がファッション業界にも押し寄せるなかで、軍司氏が見知らぬテクノロジーを恐れるのではなく、味方につけ、活用することがこれからの時代の知恵だと力強く語る姿が印象に残った。

「FASHION FUTURE」というタイトル通り、ファッションの未来を紐解くヒントがいくつも得られる有意義なイベントとなった。

TEXT:KYOSUKE AKASAKA

DiFa編集部



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