Business | 2015.12.08
イラストをアップロードするだけで服が作れる―アパレルの生産背景と服を作りたい人を繋ぐ「STARted」

イラストをアップロードするだけで服が作れる―アパレルの生産背景と服を作りたい人を繋ぐ「STARted」

この記事を開いた方であれば、これまでの人生で「自分のブランドをやってみたい!」と思ったことがあるという方もいらっしゃるのではないでしょうか。ブランドのコンセプト作りやデザイン画を書いたりすることは、身の回りにある道具を使って簡単にスタートすることができる、ブランドをはじめる第一歩!

ただ、それを「商品にして売ろう!」と考えると、まずはサンプルを作って、量産のためのパターン(型紙)を作って、量産できる素材や付属品を探し、そしてブランドやアイテムに合った縫製工場を探して……「はて?どこに聞けばいいんだろう?」と思いませんか? 身の回りのほとんどの情報を”ググれ”ば手に入るようになったこんな時代でも「ファッション 工場」「アパレル 縫製工場」「アパレル パタンナー フリーランス」なんてキーワードで検索したとしても、丁寧にウェブサイトを作って、情報を公開している工場や職人は、ほとんど無いといってもいいでしょう。

このアパレルの生産背景探しの問題、学生時代にアパレルデザインを学んでいた私の周りにも「ブランドをやろう!」と自身のブランドを立ち上げた友人がたくさん居ますが、彼らの口からよく伺う苦労話の1つでもあります(もちろん、自分のブランドをやるにあたって苦労する点は他にも色々ありますが……)。

見つけたとしても、自分の作りたいアイテムのタイプと合うのか、価格帯と合うのかなど、商品の最終的な出来の良し悪しは、服のデザインそのものより生産の過程にあると言っても過言ではないのです。

服を作りたい!その情熱があれば自分のブランドをスタートすることができる「STARted」

STARted TOP
STARted より

今回ご紹介する「STARted(スターテッド)」は、”インターネット上のアパレル工場”とも言えるサービス。なんとイラストをアップロードするだけで、服を作ることができるんです。「IT×ファッションのクラウドファクトリー」と彼らが言うように、国内外の工場や職人をデータベース化し、それにSTARTedの管理システムを融合することで、低価格でクオリティの高いアパレルの生産背景を提供してくれるというもの。

パタンナー、生地商、付属屋さん、ドレス工場、シャツ工場、ニット工場、加工工場……細分化された日本のアパレル生産の背景

日本のアパレルの生産背景というのは、世界的に見てもかなり複雑。素材ひとつとっても、デニムとシルクの産地は違うし、ファスナーやボタン、金具などの付属品もそれぞれ扱う会社が違います。工場に関しても、ボタン付けだけを担当する工場、重衣料が得意な工場、薄物が得意な工場、スポーツアパレル専門の工場など、得意分野が違い、それと同様に服の美しさを決めるパタンナーに関しても、人によってそれぞれ得意分野が異なります。

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STARted より

STARtedはこれらのさまざまな工場や職人(数千あるんだとか!)との窓口になってくれて、自分が作りたいものに合わせて最適な工場や職人をマッチングして、クオリティの高いモノづくりへ導いてくれるのです。職人や工場への指示出しなど、生産管理の役割もSTARtedのウェブ上でチャットを介してSTARtedのスタッフがサポートしてくれるので、安心です。

だから、特別な服作りの知識は必要なし。むしろ必要なのは、作り手の「服を作りたい!」という情熱。利用者は30代前後の女性が多く、意外にもファッション業界に何らかのカタチで携わっている人が多いんだとか。

利用料金は、服のイラストをアップロードするだけで服ができる「アパレルブランド立ち上げパック」のプランで固定料金10万円〜。まずは服を作って自分のブランドを世に出してみたい! という方にオススメ。通常は数百万はかかる初期投資を最小限に押さえることができます。

アパレルブランド立ち上げパックの料金表 ― STARted より
アパレルブランド立ち上げパックの料金表 ― STARted より

他にも企業向けのOEMのサービスも行っているので、既にブランドをやっていて、生産背景の確保に困っている……なんて方にも活用していただけるサービスです。服だけではなく、バッグやアクセサリー、犬の服(!)まで対応可能なんだとか。

「アパレルのモノづくりの過程をいかに簡単にするか」という点からスタート

ファッション業界の方でもデザイナーでもなく、ECビジネスに長年関わってきたという、STARted創業者の株式会社バンダースナッチ 藤井 裕二さん。ECビジネスに携わる中で「こんあ服があったらECサイトで売れるから、作りたい!」と思ったときに、実際にそれを行動に移してみたものの、実現させることすら難しかったというご自身の経験から、「インターネットを介して、アパレルのモノづくりの過程をいかに簡単するか」ということで、STARtedのサービスを思いついたそう。

実際にSTARtedを通して作った服を見せて頂きました。これがびっくり本当にクオリティが高いんです。

STARtedで作った服①
上は薄手のスウェット素材のカットソー。ヨレやすい襟元もキレイ。下は薄手のコットン素材のボトムス。かなり複雑なパターンのデザインでした。
STARtedで作った服②
コンスタントに売れているという150cm台の女性に向けたブランド「miny」のシャツワンピ。
STARtedで作った服②
仕立てのクオリティが出やすい袖口の仕上げもパリっと美しい!
STARtedで作った服②
なめらかな光沢が美しい生地のクオリティも◎縫い目も非常に美しいことがわかります。

伝統や技術を守りながら、新しい仕組みを導入し、進化させ、次の時代につなげていく必要性

「アナログな部分が多い」と言われるファッション・アパレル業界。特に生産背景に関しては、ほとんどが人間の感覚や職人の長年の経験に頼っているのが現実。ところが一方で、後継者不足に悩む工場や職人の声も多く耳にします。

そういった事態を打開するために、ファクトリーブランドを確立したり、産地そのものをブランド化したりといった新しい動きがぽつぽつと生まれ初めている一方で、「モノづくりの背景をどんどんとデータベース化して、人間力に頼りきらずにモノづくりをしていくということにも、トライしていきたい」という、STARtedのチャレンジも、一時は世界に誇った”メイドインジャパンのモノづくりの文化”を守り、進化させ、次の世代に繋げていくことにつながっていくのではないでしょうか(※STARtedは、日本だけではなく、国内外の生産背景を持っています)。

ウェブの発展により一般の方へのタッチポイントを持つことが可能になったこんな時代だからこそ、今までは企業向けとされていたBtoB向けのサービスが、個人個人に対して間口を広げていくことで手軽になり、結果的に服作りやファッションを楽しんでくれる人が増えてくれることは、(小さなムーブメントかもしれませんが)ファッション・アパレル業界を盛り上げる1つの要因になってくれることは間違いありません。

そして、いずれは「服を作る」という点だけではなく、「ファッションブランドを作る」という点においても、マーケティングやブランディング、セールスまで、包括的なサポートをするサービスがあったりしても面白いのではと思いました。ブランドを始めても、結局は販路を見つけて、売上を作っていかないと続けていけなくなってしまいますから……。

しかし、大人になっても、モノづくりというのは、心をドキドキワクワクさせてくれるものですね。STARtedのお話をお伺いして、私もオリジナルアイテムを作ってみたくなっちゃいました!

Text : Nagisa Ichikawa

DiFa編集部



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