Topics | 2018.04.11
《新連載》ファッションはどこへ向かうのか 〜 データから読み解くファッションvol.1 前編 by ifs fashion insight

《新連載》ファッションはどこへ向かうのか 〜 データから読み解くファッションvol.1 前編 by ifs fashion insight

ファッションは「モノ/所有」から、「プロセス/活用」の時代へ

2010年代も終盤に差し掛かり、ファッションとの向き合い方、楽しみ方は10年前とは大きく様変わりしている。では、ファッションは今、一体どこに向かおうとしているのか?  伊藤忠ファッションシステム(以降 ifs)が毎年行っているWEBアンケート調査結果から、今後新たな時代のムードを作っていく世代である20代(ifsオリジナル世代区分:LINE世代[1992~96年生まれ、現在22~26歳])をクローズアップ。ファッションに対する今、そしてこれからの気分をこの連載では紐解いていく。

今回、注目するのは、フリマやレンタルなどインターネットを介したサービスの登場とともに広がりつつある、新たな消費のスタンス。モノ/ファッションをただ手に入れる/所有するのではなく、使う/着るプロセスの中で活用する/楽しむことへと、人々の姿勢はシフトしつつあるようだ。

モノを持つよりも、機能・気分を手に入れる

 

【データ1】は身の回りのものに対する意識について4択でたずねたもの(2017年3月実施)。全体の結果として、「所有することにこだわる」への反応と、部分的にでも「シェアやレンタルでかまなわない」への反応がそれぞれ半数に及んでいるが、LINE世代では「ものによってシェアやレンタルでもかまわない」への反応が高く、「所有することにこだわる」への反応が低くなっている。

経年のリサーチから、若い世代ほど生まれ育つ環境のモノや情報の選択肢が豊かになる分、執着心や渇望感も弱まると捉えているが、このデータからも、若い世代の所有意識の薄らぎが読み取れる。

最近では、シェアやレンタルのサービスだけではなく、フリマアプリも浸透し、「とりあえず買ってみて、だめだったらフリマアプリで売る」と、手放すことを想定した消費スタイルも定着しつつある。その時欲しい機能や気分を手に入れることは重視するが、モノを手元に置くことは重視しない―そんなスタンスは、今後、ファッションとの新しい向き合い方を形づくる流れとして要注目といえそうだ。

手元に置くなら、質の良いものと長く付き合う

 

【データ2】はファッションに対する考え方について複数回答でたずねたもの(2018年3月実施)。全体の結果として、「新しいものを次々と買い替える」よりも「長く使えるものを選ぶ」への反応が高くなっている。

特にLINE世代では、「新しいものと長く使えるものをバランスよく取り入れる」よりも「できる限り長く使えるものを選ぶ」への反応が高く、「長く使える」ことへのより強いこだわりがうかがえる。

2011年の震災以降、質の良いものを厳選する志向が暮らしに定着したが、ファッションについても例外ではなく、「ファストファッション」がブームになった2000年代後半のような、トレンドを安く使い捨てるムードからは大きく脱却していることが分かる。フリマアプリを活用しインスタントな試し買いをしつつ、それでも手元に長く置けそうなモノを選りすぐるといった使い分けも行われていそうだ。

                                後編へ続く

 

 

ifs オリジナル世代区分とは:ifsでは、高校卒業前後から20代前半にかけての消費自己裁量権獲得時期に経験したファッションやカルチャーが生活者の消費志向に大きな影響を及ぼす18歳から82歳(2018年12月現在)までの生活者を11に区分。世代別に価値観や消費行動の特徴を整理している。

LINE世代とは:
1992~96年生まれ、現在22~26歳。2000年代~2010年代の急速なデジタル化・ソーシャル化の中で10代を過ごし、つながりの中での最大公約数的状態を志向する特徴を持つ、デジタルネイティブ世代。

筆者:中村ゆい 伊藤忠ファッションシステム株式会社 ナレッジ開発室
一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了、2014年より博士後期課程在籍。2008年、伊藤忠ファッションシステム(ifs)入社。現在は、主に会員制マーケティング組織「FA CLUB(ファッションアスペクトクラブ)」の運営やマーケティングレポート誌『FA流行誌』の企画・編集、トークセッションシリーズ「ifs fashion insight」の企画・運営を中心に、これからの時代を見据えるための視点・知見の開発・対外発信に携わる。
ナレッジ開発室 Facebook
ifsでは、経年の生活者調査を背景とする独自のファッション視点に基づき、ブランディング・マーケティングコンサルテーションを中心にビジネスを展開中。

伊藤忠ファッションシステムが主催する「ifs fashion insight」は、「新たな年代に向けてファッションを再定義する」をミッションに、次なるファッション×ビジネスの視点を提供する全6回シリーズのトークイベント。2018年3月27日にInnovation Space Dejimaを会場に行われた第1回では「ALL YOURS」の代表取締役・木村昌史さん、「EVERY DENIM」の共同代表・山脇耀平さんをゲストに迎え、「ファッションの作り方・売り方を再定義する―“ただ売るだけ”はこれから通用しない?“作る”と“着る/使う”のつなげ方」をテーマにトークセッションを行った。(※セッションの内容は繊維月報5月号(4月27日発行)からチェックできます)

DiFa編集部



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