Business | 2018.04.29
《連載》ファッションはどこへ向かうのか 〜 データから読み解くファッション vol.1 後編 

《連載》ファッションはどこへ向かうのか 〜 データから読み解くファッション vol.1 後編 

2010年代も終盤に差し掛かり、ファッションとの向き合い方、楽しみ方は10年前とは大きく様変わりしている。では、ファッションは今、一体どこに向かおうとしているのか?

伊藤忠ファッションシステム(以降 ifs)が毎年行っているWEBアンケート調査結果から、今後新たな時代のムードを作っていく世代である20代(ifsオリジナル世代区分:LINE世代[1992~96年生まれ、現在22~26歳])をクローズアップ。ファッションに対する今、そしてこれからの気分を紐解いていく本連載。

前編に続く本編では、「手に入れたものとどうつきあっていくか」という消費プロセスについて。

手に入れた後のプロセスを意識する

ファッションで「長く使えるものを選ぶ」志向の高まりと共に、手に入れたものとどう付き合っていくのか、使うプロセスへの意識も徐々に高まっている。【データ3】【データ4】はそれぞれ「モノ・コト・サービスの選び方」「今後ファッションに期待するモノ・コト・サービス」についてたずねたもの(2015年3月実施)。

「不具合の修繕・修理」「不用品買取・引取」への反応が高く、服との関わり方として、手に入れたものはメンテナンスをしながら長く使い、不要になった場合は新たな活用の機会へと循環するというプロセスを描いていることがうかがえる。

また、LINE世代では「同じショップやブランド、メディアが好きな人が集まるコミュニティや活動に参加したい」への反応が高く、モノ・コト選びのモチベーションとコミュニティ活動が少なからず結びついている様子がうかがえる。

 

 

 

つくる、使うプロセスをつなげるブランドの登場

現在は、クラウドファンディングを活用し、コミュニティを醸成しながら、日常的に長く着られるデザインや機能を備えた服をつくるだけではなく、顧客と服を介したダイレクトかつ長期的な関係性づくりを試みるブランドも登場している。

「インターネット時代のワークウェア」をコンセプトに顧客との対話を重ね日常着のスペックを拡張するモノづくりやサービスを提案する「ALL YOURS」。47都道府県をキャンピングカーで巡るなど作る人と着る人の距離を縮めるようなイベントを行いながらコミュニティファーストで生産と消費を楽しむ取り組みを行う「EVERY DENIM」。

工場とのダイレクトなやり取りによって生産工程やコストを透明化し、染め直しなどのアフターケアも行い「10年着られる服」を提供する「10YC」などがその代表例。つくる、着る、手放すまでの一連のプロセスの中に服を捉え、顧客と密接にコミュニケーションを取りながら、日常の中で服と付き合う体験をデザインしていく。

一着の服のストーリーをイメージにとどまらず、体験として顧客と共に紡いでいく。そんな、服を体験やコミュニケーションに拡張していく取り組みは、「所有」から「活用」への人々の消費への向き合い方の転換と共に、今後ファッションに確実な流れを生んでいきそうだ。

ifs オリジナル世代区分とは:ifsでは、高校卒業前後から20代前半にかけての消費自己裁量権獲得時期に経験したファッションやカルチャーが生活者の消費志向に大きな影響を及ぼす18歳から82歳(2018年12月現在)までの生活者を11に区分。世代別に価値観や消費行動の特徴を整理している。

LINE世代とは:
1992~96年生まれ、現在22~26歳。2000年代~2010年代の急速なデジタル化・ソーシャル化の中で10代を過ごし、つながりの中での最大公約数的状態を志向する特徴を持つ、デジタルネイティブ世代。

筆者:中村ゆい 伊藤忠ファッションシステム株式会社 ナレッジ開発室
一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了、2014年より博士後期課程在籍。2008年、伊藤忠ファッションシステム(ifs)入社。現在は、主に会員制マーケティング組織「FA CLUB(ファッションアスペクトクラブ)」の運営やマーケティングレポート誌『FA流行誌』の企画・編集、トークセッションシリーズ「ifs fashion insight」の企画・運営を中心に、これからの時代を見据えるための視点・知見の開発・対外発信に携わる。
ナレッジ開発室 Facebook
ifsでは、経年の生活者調査を背景とする独自のファッション視点に基づき、ブランディング・マーケティングコンサルテーションを中心にビジネスを展開中。

伊藤忠ファッションシステムが主催する「ifs fashion insight」は、「新たな年代に向けてファッションを再定義する」をミッションに、次なるファッション×ビジネスの視点を提供する全6回シリーズのトークイベント。2018年3月27日にInnovation Space Dejimaを会場に行われた第1回では「ALL YOURS」の代表取締役・木村昌史さん、「EVERY DENIM」の共同代表・山脇耀平さんをゲストに迎え、「ファッションの作り方・売り方を再定義する―“ただ売るだけ”はこれから通用しない?“作る”と“着る/使う”のつなげ方」をテーマにトークセッションを行った。(※セッションの内容は繊維月報5月号(2018年4月27日発行)からチェックできます)

 

DiFa編集部



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