Topics | 2018.08.30
《連載》 データから読み解くファッション vol.2 後編〜リアル+ネット、服+メイク・ケア、モノ+シーン 拡張するファッション=見た目意識

《連載》 データから読み解くファッション vol.2 後編〜リアル+ネット、服+メイク・ケア、モノ+シーン 拡張するファッション=見た目意識

2010年代も終盤に差し掛かり、ファッションとの向き合い方、楽しみ方は10年前とは大きく様変わりしている。ファッションは今、どこに向かおうとしているのか。伊藤忠ファッションシステム(ifs)が毎年行っているWEBアンケート調査結果から、今後新たな時代のムードを作っていく世代である20代(ifsオリジナル世代区分:LINE世代[1992~96年生まれ、現在22~26歳])の結果に注目。データからファッションに対する今、そしてこれからの気分を紐解く。

前編に続く本編では、特にLINE世代女性の結果に注目し、ファッション消費に関わるデータの紐解きから、今どき女子のファッション消費の実態、ファッションの役割や位置づけを明らかにする。

本当にこれでいいの?自分の選び方に対する確証を求める

【データ3】はファッションに対する考え方、【データ4】はファッションを選ぶ際に感じることをそれぞれ複数回答で尋ねたもの(2018年3月実施)。【データ3】では「自分の服選びのセンスに自信がない」、【データ4】では「持っている服とのコーディネートに悩んでしまう」がどちらの項目も上位に挙がる。数値も全世代中最も高い反応を示しており、他世代に比べて、選び方・組み合わせ方について「これでいいのだろうか?」という不安を感じている様子がうかがえる。

ifsの世代知見を紐解くと、LINE世代は、基本的に場の最大公約数的状態を志向する傾向が見られ、ファッションでは、自身が身を置く周囲の状況に合わせ、同じすぎず、違いすぎないことを重視する特徴が見られる。モノそれ自体も、選ぶための判断材料も、許容量を超えて溢れる状況の中で、他者の反応を見ながら、自分の見た目の微調整を心がけているため、翻って、自分のファッションに対して「これで大丈夫!」という外からの後押しを求めているとも捉えられそうだ。

溢れる情報を信頼感でフィルタリングする

【データ5】【データ6】はネット・非ネットそれぞれについてファッション購入時に影響を与えている情報源を複数回答で尋ねたもの。ネットでは、トップ5にランクインしている5項目中4項目が、人やブランド、ショップがダイレクトに発信しているSNSであり、その中でも上位を占めるのが「一般人でおしゃれな人」、「有名人」など発信者の顔が見えるSNSへの反応が高くなっている。非ネットのトップ5を見ると、「身近な人」「よく行く店やブランドの店頭」「街行く人」「ショップスタッフ」と、ファッション誌以外はリアルな場で手に入る情報が上位を占める。ネット、非ネットいずれの場合も、情報発信源と直接的につながる感覚を伴った情報が、購買の後押しをしているようだ。

別途「暮らしを豊かにする知恵」を尋ねた設問でも、「信頼できる情報を発信している人をフォローする」(22.3%)がトップに挙がる。情報過多がデフォルトになっている生活環境を生きてきたLINE世代にとって、ノイズを効率的に排除し、精度の高い情報を受け取ることが、情報に対する基本姿勢。情報の信頼度は精度とイコールであり、ネットでは発信者、リアルでは自身の体感・実感が、それらを担保する情報フィルターとなっているようだ。

ifs オリジナル世代区分とは
ifsでは、高校卒業前後から20代前半にかけての消費自己裁量権獲得時期に経験したファッションやカルチャーが生活者の消費志向に大きな影響を及ぼす18歳から82歳(2018年12月現在)までの生活者を11に区分。世代別に価値観や消費行動の特徴を整理している。

LINE世代とは
1992~96年生まれ、現在22~26歳。2000年代~2010年代の急速なデジタル化・ソーシャル化の中で10代を過ごし、つながりの中での最大公約数的状態を志向する特徴を持つ、デジタルネイティブ世代。
※データは2018年3月に実施したWEBアンケート調査からLINE世代女性の結果を抜粋した。

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筆者:中村ゆい 伊藤忠ファッションシステム株式会社 ナレッジ開発室
一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了、2014年より博士後期課程在籍。2008年、伊藤忠ファッションシステム(ifs)入社。現在は、主に会員制マーケティング組織「FA CLUB(ファッションアスペクトクラブ)」の運営やマーケティングレポート誌『FA流行誌』の企画・編集、トークセッションシリーズ「ifs fashion insight」の企画・運営を中心に、これからの時代を見据えるための視点・知見の開発・対外発信に携わる。
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ifsでは、経年の生活者調査を背景とする独自のファッション視点に基づき、ブランディング・マーケティングコンサルテーションを中心にビジネスを展開中。

 

*伊藤忠ファッションシステムが主催する「ifs fashion insight」は、「新たな年代に向けてファッションを再定義する」をミッションに、次なるファッション×ビジネスの視点を提供する全6回シリーズのトークイベント。第1回に引き続き、2018年6月27日にInnovation Space DEJIMAを会場に行われた第2回では、雑誌「mini」編集長・見澤夢美さん、ネットメディア「ローリエプレス」の編集長・遠藤優華子さんをゲストに迎え、「めざせ、いじられ上手!―SNS世代との関わりの作り方」をテーマにトークセッションを行った。イベントやトークの概要はこちらをチェック。

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DiFa編集部



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