Special | 2018.09.14
《新企画》vol.1 ゲストエディター神垣 天晋 PART2 「グラフィックTシャツとの付き合い方」

《新企画》vol.1 ゲストエディター神垣 天晋 PART2 「グラフィックTシャツとの付き合い方」

マンスリーでDiFa世代のゲストエディターを招き、「時代の今」をリアルに切り取る新連載。記念すべき第1回目のゲストとなるのは、神垣 天晋(かみがき てんしん) 氏。日々ステッカーやTシャツ製作をしながら、美大生としての日々も送る22歳が、「ファッション」と「ものづくり」についてエディット。PART2となる今回のテーマは着ているだけで気分が上がる「グラフィックTシャツについて」。

僕は、グラフィックTシャツ、バンドTシャツの類をほぼ一年中着ています。夏は、一枚で着るのはもちろん、冬は下着として一番下にはグラフィックTシャツを着ています。着ているだけで気分が良くなるものなので、別に誰にも見られるわけなく1日が終わることもよくあります。

「着ているだけで気分が上がる」
この感覚は、人によって物によってそれぞれあると思います。上質なコートを着て背筋がピシッとなる感覚や、着心地の良いものを着て落ち着く感覚。流行りのものを着て街に出て人に見られる感覚。これは、人それぞれ自分自身がどう見られたいか、どういう気分でいたいかなどの考え方で大きく変わると思います。

そして、一番自分の中で分かりやすく気分が左右されたり、着る人それぞれの人間性が出やすいと個人的に思うのが、グラフィックTシャツです。僕は、スケートブランド、ストリートブランドのTシャツかバンドTシャツを着ますが、選び方としては、基本的に二つの大きな条件があります。

まず一つ目は、「単純にグラフィックが好きかどうか、視覚的な感覚でかっこいいと思えるものかどうか」です。流行っているからカッコイイ、というミーハーな気持ちも込みで、そのデザインが好きか嫌いかが判断しています。

そして、二つ目は「グラフィックやデザインの持つ意味が好きかどうか、自分の人生、考え方に矛盾してないかどうか」です。ものすごくややこしいように聞こえますが、意外と単純な基準です。例えば、「NEW YORK」と描いてあるTシャツ、キャップが世の中には多く溢れていると思いますが、どれだけデザイン的に好みでも基本的に僕が選ぶことはありません。僕は、ニューヨーク出身でもなく今の僕には、縁もゆかりもないからです。なので、自分の出身地などがモチーフのTシャツはデザインがそんなに気に入らなくても、買いそうになることはよくあります。

この二つの基準が一番難しいのがバンドTシャツです。僕は、バンドといえば基本的にヘビーメタルバンドが好きです、僕の感覚的には、基本、ヘビーメタルのバンドのTシャツは、ダサいものが多いです。それに比べて、グランジ、パンクなどのTシャツはかっこいいものが多いです。しかし、僕は最初に言った絶対的な条件の二つを満たしていないのでメタルバンド以外のTシャツは、基本的に手に取る前から脱落してしまいます。古着屋さんでニルバーナのイケてるTシャツをカッコいいなぁと横目で見ながら、スカルや死神がモチーフのメタルバンドのTシャツを購入することもよくあります。

こういうことを友達に話すと、「めんどくさい、かっこいいと思ったものを買えばいい」と言われることもあります。でも僕は、好きでもないバンドのかっこいいTシャツを買うことはなく、好きなバンドのギリギリ街に来て行けるTシャツを探しては買う日々を送っています。それは、結局僕は他人から「イケてる男、お洒落な男」と見られたいという欲よりも「メタルが好きな人として見られたい」という欲が勝っているからなんだと思います。

とはいえ、最近は、メタルバンドのTシャツが若者の中で流行しているので、ちょっとその辺の基準が難しいですが僕は気にしてません。過激派のメタラーたちは、メタルを聴かない人間がメタルバンドのTシャツを着ることに憤怒している人もよく見かけます。(メタラーのそういうところは、個人的には好きです。)

そして、これが大好きなバンドかつギリギリ着られる絶妙なデザインのお気に入りです。
みんながみんなグラフィックTシャツにそこまで思い入れはないとは思いますが、僕的には人それぞれ性格が現れやすいと思っているので、ぜひそういう見方をして欲しいです。

長々とめんどくさい事を書きましたが、一つ目の基準である、視覚的にグラフィック自体がかっこいいと思ったものを選ぶ。これが一番幸せな買い方だと思います。そして、この選び方をして後々そのTシャツが意味を持つこともあります。

これ↓は、僕が中学生くらいの頃に父親にの買い物に着いて行った時に単純にカッコいいと感じて買ってもらったTシャツです。『ネイバーフッド』というブランドのもので、サインペイントなどで有名なNUTS ART WORKSのグラフィックが使われています。その時には、『ネイバーフッド』のことも知りませんでした。これを買ってもらって10年近く経ちますが、ここ数年までは、僕にとってただのかっこいいグラフィックTシャツでした。しかし、数年前にNUTS ART WORKSの作品を好きになり、画集を買ったりするほどハマった時に、このTシャツもNUTS ART WORKSのグラフィックだのだと気付きました。買った時には自分の中で、「単なるカッコいいグラフィックのTシャツ」だったものが、買ったあとに「大好きなアーティストが描いた大好きなブランドの大好きなグラフィックのTシャツ」になりました。こういうこともあるので時々、感覚任せでTシャツを選ぶようにしようと思っていますが、大事な子供心を忘れて、色んな基準を自分で設けると損をすることが多いので。

グラフィックTシャツに限った話ではなく、ダラダラめんどくさい事を考えがちな人も多いかもしれないですが、「感覚的な好き嫌い」こそ「幸せなものの選び方」なのではないかという結論で終わろうと思います。ちなみに、僕はイケてる若者よりいかにもメタラーなおじさんが自信満々で好きなバンドのTシャツを着ているのを街で見かけるとテンションが上がります。好きなものを自信を持って主張するって素敵ですよね。僕にとってはバンドTがそういうものです。

PHOTO:MICHIKA MOCHIZUKI

美大生。架空の集団HENKUTSU BOYS CLUBをテーマにステッカーやTシャツを製作中。ベビーメタルが好きです。
僕は普段ステッカーなどにする絵の作品をInstagramに載せているので是非チェックしてみてください。
@tenshin_kamigaki

DiFa編集部



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