Topics | 2018.12.11
《連載》 データから読み解くファッション vol.3 後編〜食は自己表現よりも味わうもの、体験するもの

《連載》 データから読み解くファッション vol.3 後編〜食は自己表現よりも味わうもの、体験するもの

2010年代も終盤に差し掛かり、ファッションとの向き合い方、楽しみ方は10年前とは大きく様変わりしている。ファッションは今、どこに向かおうとしているのか。伊藤忠ファッションシステムが毎年行っているWEBアンケート調査結果から、今後新たな時代のムードをつくっていく世代である20代(ifsオリジナル世代区分:LINE下世代 [1997~2001年生まれ、現在17~21歳]、LINE世代[1992~96年生まれ、現在22~26歳])の結果に注目。データからファッションに対する今、そしてこれからの気分を紐解く。

今回は、これまで取り上げてきたLINE世代に加え、さらに下の世代であるLINE下世代にも注目。これからの20代マーケットを牽引する2世代の消費志向を読み解く。特に、昨今盛り上がりを見せる「食」と「ファッション」に関連する結果の紐解きから、各々に対する意識や食とファッションの関係性を明らかにする。

前編に続く本編では、食と自己表現の関係性を読み解く。

 

食は自己表現よりも味わうもの、体験するもの

【データ4】は自己表現を意識して生活に取り入れているもの、積極的に選んでいるものについてたずねたもの。

上位5位を見ると、LINE下世代では「音楽」「スマホ」「Twitter」「Instagram」「洋服」、LINE世代では「音楽」「スマホ」「洋服」「映画」「写真や動画の撮影・投稿」が並ぶ。スマホに関連する行動やSNS、エンタメコンテンツへの反応が高いのが特徴だ。「家での料理」「カフェでの飲食」「レストランでの食事」といった食に関連する選択肢も設けたが、LINE下世代ではいずれも20位以下、ポイントも10%以下となった。

一方、LINE世代は、10位「家での料理」(16.4%)、17位「レストランでの食事」(13.6%)、20位「カフェでの飲食」(12.7%)となり、LINE下世代よりも高い反応を示している。学生中心の前者と、社会人中心の後者とのライフステージによる自由に使えるお金の違いも、結果に影響を与えていそうだ。両世代とも上位に並ぶ項目と比較すると食関連の項目の反応はさほど高くない。

これらの結果から、料理や外食は、最初から自分自身を表現するために取り入れるためのものというよりは、その行為や体験自体を楽しむもの、味わうものと位置づけられているとも読み取れる。

 

食は生活の安定要素

【データ5】は日常生活の中で感じている不安についてたずねたもの。

上位5位を見ると、LINE下世代では3位に「料理のスキルが見についていない」(31.3%)、5位に「食生活がきちんとしていない」(23.3%)。LINE世代では4位に「料理のスキルが身についていない」(21.8%)となり、いずれも全体よりも高い反応を示しており、食に関連する生活習慣やスキルが生活の不安要素として捉えられている様子がうかがえる。【データ4】の結果と考え合わせると、20代にとって食は、自己顕示的な消費領域というよりは、生活の安定に直結する基本要素としてとらえられているとも言えそうだ。

 

▶ifs オリジナル世代区分とは:
ifsでは、高校卒業前後から20代前半にかけての消費自己裁量権獲得時期に経験したファッションやカルチャーが生活者の消費志向に大きな影響を及ぼす18歳から82歳(2018年12月現在)までの生活者を11に区分。世代別に価値観や消費行動の特徴を整理している。

▶LINE下世代とは:
1997~2000年生まれ、現在18~21歳。リーマンショック、東日本大震災、トランプショックなど経済社会が目まぐるしく変化する中、スマホ&ネットを情報・コミュニケーション環境の基本設定として育った、SNSネイティブ世代。

▶LINE世代とは:
1992~96年生まれ、現在22~26歳。2000年代~2010年代の急速なデジタル化・ソーシャル化の中で10代を過ごし、つながりの中での最大公約数的状態を志向する特徴を持つ、デジタルネイティブ世代。

▶データは2018年9月に実施したWEBアンケート調査からLINE下世代、LINE世代の結果を抜粋した。調査は弊社世代区分に基づき、各世代男女100名ずつ、合計2000サンプルを対象に実施。全体とは、対象者全員の回答の合計値である。

 

《連載》 データから読み解くファッション
vol.1:ファッションはどこへ向かうのか
vol.2:リアル+ネット、服+メイク・ケア、モノ+シーン 拡張するファッション=見た目意識

 

筆者:中村ゆい 伊藤忠ファッションシステム株式会社 ナレッジ開発室
一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了、2014年より博士後期課程在籍。2008年、伊藤忠ファッションシステム(ifs)入社。現在は、主に会員制マーケティング組織「FA CLUB(ファッションアスペクトクラブ)」の運営やマーケティングレポート誌『FA流行誌』の企画・編集、トークセッションシリーズ「ifs fashion insight」の企画・運営を中心に、これからの時代を見据えるための視点・知見の開発・対外発信に携わる。
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ifsでは、経年の生活者調査を背景とする独自のファッション視点に基づき、ブランディング・マーケティングコンサルテーションを中心にビジネスを展開中。

伊藤忠ファッションシステムが主催する「ifs fashion insight」は、「新たな年代に向けてファッションを再定義する」をミッションに、次なるファッション×ビジネスの視点を提供する全6回シリーズのトークイベント。vol.2に引き続き、10月31日にInnovation Space DEJIMAを会場に行われたvol.3では、Ome Farm 代表・太田太さん、Salmon & Trout シェフ・森枝幹さんをゲストに迎え、「食からファッションを再定義するー複雑なもの、馴染みないものを楽しく、かっこよく」をテーマにトークセッションを行った。イベントやトークの概要はこちらをチェック。

DiFa編集部



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