Business | 2015.12.28
Burberryから知る3つの注目キーワードで振り返る2015年のデジタルコミュニケーション

Burberryから知る3つの注目キーワードで振り返る2015年のデジタルコミュニケーション

2015年も残すところあと僅か。じわりじわりと水面下で発展を遂げてきたデジタルテクノロジー×ファッションの分野が、Apple Watchの登場を皮切りに、一気に注目が高まったように感じた一年でした。

デジタルテクノロジー×ファッションが今ほどに注目される前から、最先端のデジタルテクノロジーを取り入れた新しいブランド体験を提供し、この分野を牽引してきたのが、英国の伝統あるラグジュアリーブランドである「Burberry(バーバリー)」。調査会社「L2」が実施した、2015年のファッション業界におけるデジタル運用能力の調査「Digital IQ Index」では、Burberryが堂々の1位を獲得しています。

今回は、2015年にBurberryが行ったデジタルコミュニケーションにおける取り組みの中から、特に注目すべき3つのキーワードをピックアップして今年を振り返ってみましょう。

【キーワード1】今、この瞬間のリアルを伝える「Snapchat」

今、ミレニアル世代(※)の間で最も使われているといわれているソーシャルメディアの一つが、一定の時間限定で共有された写真や動画を見ることができる「Snapchat(スナップチャット)」というアプリ。1日当たりのアクティブユーザーは1億人を超え、1日で観られる動画コンテンツは、40億以上とも言われる現在急成長中のモンスターアプリです。

※1980年から2000年代に生まれた、デジタルネイティブ世代のこと。

Burberryは、今年に入ってすぐにSnapchatを取り入れ、他のソーシャルメディアでは見ることができないリアルでエクスクルーシブなコンテンツの配信を開始。9月に行われた 2016年春夏ウィメンズコレクションの発表の際には、ランウェイショーに先駆けてコレクションのプレビューをSnapchatの”Story”(※)限定で公開しました。

※通常、Snapchatに投稿されたコンテンツは指定した1〜10秒間のみ、なおかつ一度しか見ることができないのに対して、”Story”は複数の画像や動画を集めたグループのようなもので、公開されてから24時間何度でも見ることができます。

バックステージやコレクションの一部が「チラ見せ」されることはあっても、発表前のコレクションが一般の顧客に向けて、しかもレタッチ(画像修正)無しの状態で公開されることは、ファッション業界では異例。24時間でコンテンツが消滅する上に、シェアされた画像や動画を保存することも出来ない、というSnapchatの機能を上手く活用した取り組みでした。

Burberry_snapchat01
Burberry instagramより

さらに10月には、来年2016年1月に公開される予定の2016年春夏の広告キャンペーン制作の舞台裏をsnapchatを使ってリアルタイムで撮影、24時間限定で公開しました。撮影を手掛けたのは、世界的に有名なファッションフォトグラファーのマリオ・テスティーノ! 配信されたフィルターやレタッチ無しの、まさに「撮りたてほやほや」な画像は、限られた24時間しか見ることが出来ない、まさにエクスクルーシブなもの。

Burberry-announces-Snapchat-Campaign

Burberry-creates-live-Snapchat-Campaign

BurberryのSnapchatキャンペーンの特徴は、修正無しのリアルな現場の一コマをそのまま切り取り、リアルタイムで配信を行っているということ。より美しく、完璧なものを作るため、レタッチが当たり前となっているのファッションの世界において、あえて「今、この瞬間」を捉えることを重視し、臨場感溢れる「生」のコンテンツを配信したことは、非常に先進的!

今年は、Burberryだけでなく、LOUIS VUITTONなどの他ラグジュアリーブランドも、続々とSnapchatのアカウントをスタート。この今、この瞬間のリアルを伝える Snapchatはブランドと私たち消費者との新しいコミュニケーションのかたちを見つけてくれるのではないでしょうか。

【キーワード2】私たちも参加できる!「インタラクティブ」な仕掛け

各ブランド、趣向を凝らしたさまざまな取り組みを行なうホリデーシーズン。今年のホリデーシーズン、Burberryは2つのインタラクティブなキャンペーンを実施しています。1つは、先日DiFaでも紹介された、ロンドンのピカデリーサーカスにある巨大スクリーンをスマホで操作をすることができるという、3Dデジタルキャンペーン

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そしてもう1つが、Burberryのホリデーキャンペーンフィルムの中に入り込み、オリジナルの動画を撮影することができるという「The Burberry Booth」。

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ロンドンのリージェントストリートにあるBurberryのフラッグシップストアに設置されたThe Burberry Boothでは、Burberryのホリデーキャンペーン動画「Festive Film」に登場するロメオ・ベッカム(Romeo Beckham)やジェームズ・ベイ(James Bay)、ロージー・ハンティントン=ホワイトリー(Rosie Alice Huntington-Whiteley)といったキャストと一緒に、15秒間のオリジナル動画を作成することできるんです。

このキャンペーンは、Googleとのコラボレーションによって実現したもので、Googleが開発したリアルタイムで撮影したムービーを繋いでいくリアルタイムビデオスティッチング(Real-time Video Stitching)」という技術が使われています。

ちなみに、BurberryとGoogleのパートナーシップは、長期に渡って築かれてきたもので、過去には、”バーチャルキス”を送ったり、世界中でやりとりされた”バーチャルキス”の軌跡をリアルタイムで追ったりできるというロマンティックな「Burberry Kisses」キャンペーンを実施したことも。

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Burberry Kisses

【キーワード3】音楽を通じてブランドを伝える「Apple music」の独自チャンネル

今年の9月、Appleが提供する定額制のストリーミング型音楽サービス「Apple Music」の「Curator」セクション内に、ラグジュアリーブランドでは初となるBurberryオリジナルのチャンネルを開設しました。

Apple Musicがスタートする前から、「Burberry Acoustic(バーバリー アコースティック)」として配信してきたBurberryがキュレーションする音楽の世界を、 iPhoneやMacがあれば、いつでも、どこでも体験できるようになったんです。

2010年にスタートしたBurberry Acousticは、英国の才能ある若手ミュージシャンを支援する音楽プロジェクト。Burberryのためにだけに撮影されたミュージックパフォーマンスを公式サイト及び、YouTubeチャンネルを通して配信してきました。プロジェクトのローンチから5年が経過した現在では、100を超えるパフォーマンスが公開されています。

Burberry launches on Apple Musi_002
ーApple MusicのBurberryチャンネル

そして、9月にスタートしたApple MusicのBurberryのチャンネルでは、新進気鋭のUKアーティストのパフォーマンスや、Burberryのチーフクリエイティブディレクター兼CEOのクリストファー・ベイリー(Christopher Bailey)が選ぶ、時代を超えて愛されるアイコニックなUK音楽のプレイリスト、そして Burberryのファッションショーで行われたミュージックパフォーマンスの動画といった音楽を軸にしたコンテンツを通じて、ブランドの世界感を覗き見、楽しむことができます。

Benjamin Clementine performing live at the Burberry _London in Los Angeles_ event

今年2015年は Apple Musicをはじめ、「LINE MUSIC」や「AWA」、「Google Play Music」など、多くの定額制音楽ストリーミングサービスがスタート。アプリを使って、お気に入りのプレイリストやアーティスト、チャンネルをフォローし、好きなだけ音楽を楽しむというライフスタイルが定着しつつあります。

このタイミングでApple Music内にBurberryのチャンネルが開設されたことで、今まであまりBurberryとは接点がなかったという人も、音楽を通してブランドを知り、繋がる機会ができたということもあるでしょう。また、配信されるUKミュージックから、彼らのアイデンティティーでもある、英国文化の強い結びつきを自然に感じとることもでき、ブランドの世界感を音楽を通して体感できる、ということも素敵なこと。もっとも、ファッションには音楽は欠かせないものですし、ね。

Rhodes performing live at the Burberry Menswear Spring Summer 2016 Sho_001

Burberryのブランド創業は、今から150年以上も前の1856年。伝統を継承するには、常に革新的でありながら、ブランドの核となる「伝統」を守っていく必要があるのかもしれません。2016年もデジタルテクノロジーを活用して、私たちにどんな新しい体験や驚きをもたらしてくれるのか、さらに期待が高まります!

Text : Paris Wakana

DiFa編集部



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