Business | 2016.01.05
IVS 2015 Fall「Launch Pad」で見つけた、注目のファッションテックスタートアップ4社

IVS 2015 Fall「Launch Pad」で見つけた、注目のファッションテックスタートアップ4社

インターネット業界のトップレベルの経営者が集まり議論する場「Infinity Ventures Summit(インフィニティー・ベンチャーズ・サミット、以下IVS)」。毎年2回行われているイベントで、ウェブサービスやベンチャーの経営者、各界の専門家やジャーナリストなど、なかなか聞くことのできない貴重なお話を聞くことができる機会として、個人的にも数年前から注目して拝見しているイベントのひとつ。

その中でも、日本におけるスタートアップの登竜門ともなっている「IVS Launch Pad」という、新サービスのアイデアをプレゼンし競い合う場があります。今となっては、かなりメジャーネームに成長しているソーシャルリクルーティングサイト「WANTEDLY(ウォンテッドリー)」、クラウドソーシングサービスの「クラウドワークス」やクラウド会計サービス「Freee(フリー)」などといったサービスの名前はみなさんも一度も耳にしたことがあるのでは? 彼らも創業当時に、Launch Padに出場していたんです。

ファッション系のスタートアップは、日本ではまだまだ少ないこともあり、今までLaunch Padで見かけたこと自体ほぼ無かったのですが、前回2015年12月に京都で行われた「Infinity Ventures Summit 2015 Fall Kyoto」のLaunch Padには、数多くのファッション系スタートアップが出場していて、日本の起業家の方もファッションという分野にようやく目を向けていただけるようになったのか、と新たな時代の幕開けを感じました。出場していたいくつかのサービスを見ていきたいと思います。

みんなの「縫って!」を実現する縫製マッチングプラットフォーム「nutte(ヌッテ)」

Launch Padで2位に輝いたのが、オリジナルアイテムを作って欲しい人と作る人をマッチングしてくれる”縫製マッチングプラットフォーム”の「nutte(ヌッテ)」。

nutte トップページ
nutteより

何か作って欲しい!というものがあるときには、nutteにお仕事依頼を登録しておくと、nutteに登録している職人さんから応募が入るという仕組み。

縫製職人やパタンナーさんも募集しているようなので、フリーランスで活躍されていて新しいお仕事をさがしている方や、家庭の事情などで会社に所属してフルタイムで働きづらくなってしまった専門職の方に対してお仕事の機会を作る場としての側面も持ちあわせていて、モノづくりにだけフォーカスを当てているのではなく、ファッションのモノづくりにおける「縫製」の部分で、”仕事が生まれる場”として機能しているところが新しい。「nutte meister media」では、登録している職人さんのインタビューを見ることができるのですが、実際にやはり子育て中の女性が活躍していたりするよう。

服自体を作る大掛かりなものだけではなく、お直しやリメイクにも対応してもらえるよう。個人的に、お洋服のお直しはなかなか信頼できるお店や職人さんを見つけることができなくて困っていたので、使ってみたいですね。職人さんも詳しいプロフィールを掲載しているし、評価制度もあるので、安心できそうです。

サイトの「作り手を探す」を見てみると、職人の一覧wを見ることができます。URLが「meister」になっているのがなんだか素敵…― nutteより
サイトの「作り手を探す」を見てみると、職人の一覧を見ることができます。URLが「meister」とされているのが、なんだかとっても素敵……ここからお好みの職人を探して、メッセージを送ることもできるようになっているようです。 ― nutteより

スマホで誰でも「つくれる」「買える」モノづくりマーケット「monomy(モノミー)」

お次は、スマホで自分だけのオリジナルアクセサリーを作ることができ、それを売ることができるモノづくりマーケットアプリ「monomy」。

― monomy ウェブサイトより
monomy ウェブサイトより

アクセサリーを作るには、まずはアプリをダウンロード。パーツ選択ページに表示されたさまざまなアクセサリーパーツからベースになるパーツを選びます。その次にベースになるパーツに組み合わせるストーンなどのパーツを選び(3000種類ほどあるそう)、最後に選んだパーツをアプリ上で組み立てるだけ。

monomy
パーツとパーツはアプリ上で視覚的に組み立てられるので、わかりやすいし、楽しい。実際につけたときのイメージも確認できます。

昔よく東京・浅草橋にあるアクセサリーパーツショップに通っていたのですが、店頭の壁面にぶら下がった大量のパーツからお気に入りを探す感覚、そしてそれを組み合わせて自分オリジナルのモノを作る感覚を思い出しました。実際作るかどうかは置いておいて、いじってみるだけでも、なかなか楽しいです。「不器用で組み立てができない!」なんて方でも、オリジナルのアクセが簡単につくれちゃう。

このmonomyの最大の特徴は、アプリ上で作ったアクセサリーの販売、製造、配送はすべてmonomy側が担当してくれるそうなので、作る手がやるべきことはデザインのみ、なおかつスマホですべて完結してしまうということ。デザインしたアクセサリーは自分で買うこともできるし、monomyに登録している他のユーザーが買ってくれることも。その場合は売上の10%がインセンティブとしてあなたに返ってくるそう。

minne」など、昨年から日本でもハンドメイドマーケットが盛り上がっていますが、自分でハンドメイドすることが出来ないという人でも、自分オリジナルのモノを売ることができるし、monomyは在庫を持たなくても良いので、たとえ売れなくてもデザインした側にリスクが伴わないということも、「つくる」そして「売る」ことに対するハードルを下げてくれるのではないでしょうか。

オーダーメイドをより身近に。高品質低価格のメンズファッションが買える「L­aFabric (ラファブリック)」

こちらはメンズファッションのフルカスタマイズサービス「LaFabric」。スーツやシャツなど高品質で低価格のメンズファッションアイテムを1点1点オーダーメイドで買えるというもの。

代表の森 雄一郎さんは岡山出身。岡山といえば、日本の中でもデニムを中心に繊維産業が盛んな地域。ところが、近年衰退の一途を辿る繊維産業。「なぜだろう」と考えた時に、ファッション業界は工場から消費者の手に商品が渡るまでに、中間業者が多く無駄が多いことで、コストが嵩み、結果的に商品の価格が上がってしまう。なおかつ、その裏では工場の取り分が減り、経営が立ちいかなくなり、結果的に繊維産業の衰退につながってしまっていっている現実があるということがわかったそう。

LaFabricでは、従来の繊維産業の仕組みを捨て、作り手である工場と使い手である消費者を直接繋ぐことで、消費者には高品質のオーダーメイド服をより安く、工場には中間マージンが取られない、利益率の高い仕事をまわすことができるようになったとのこと。

LaFabric
まずはアイテムを選び、その後フィット感や前ボタンの数、ラペルやベント、ポケットのかたちやジャケット裏地などを自分好みに選んでいくだけで自分だけのオーダースーツができあがる。価格はツーピースのスーツで30,000円前後から!― LaFabric より

生地は100種類以上。パーツごとに好みの素材やカラーを選んでいくと、自分だけの一着を作ることができる。サイズは15箇所以上カスタマイズが可能。データはクラウド上に保存されるので、2回目以降も便利。オーダーが来ると、LaFabricが工場に発注し、この道30年以上の職人が、一着一着特注生産を行なうんだそう。まるでにオンライン上に出現した、オーダーメイドサロンのよう!(個人的には、クルマメーカーの”カーコンフィギュレーター”に似てるな―と思いました。あの感覚でスーツがオーダーできちゃうんです。)

とはいえ15箇所以上のサイズを自分で計測するのは大変そう、と思った方もいるのでは(その一人は、わたし)。3名以上の団体や法人であれば、専門スタッフが出張してサイズを計測してくれる「TRAVEL TAILOR」というサービスも展開しているそうで、まさに至れり尽くせり。自分で図れると思うけど、メジャーが手元にないよ!という方も、今ならLaFabricがメジャーをプレゼントしてくれるみたいです。

男性のファッション、特にスーツはサイジングが命! せっかくスーツに数万円出すのなら、世界に一着しかない、あなただけのスーツを一度身に纏ってみては。

スマホでかんたん。下着のオンラインフィッティングサービス「FITTY (フィッティー)」

他の3つのサービスがファッションに関連した「つくる」に焦点を当てたサービスだったのに対して、こちらは最近注目が集まっているバーチャルフィッティングサービス。「FITTY(フィッティー)」はカップ数とアンダーのサイズ、自分の体型のタイプ、バストのタイプを選び、最後に自分が思っているブラに対する悩みを選択すると、自分のバストタイプを診断してくれて、それに合ったおすすめブラを提案してくれるというもの。

FITTY
私には丸形カップがおすすめのようです。

ただ、まだ登録されている商品点数が少ないのか、おすすめ商品が一点も出てこなく……。ブラって店頭に買いに行くと試着が面倒、店員さんにフィッティングしてもらうのもちょっと恥ずかしい、かといって試着しないと失敗することも多い、女性にとって悩みの多い分野だと思うので、これからの進化が待たれるサービスですね。

Launch Padに出演した全サービスのプレゼンテーションの模様はInfinity Ventures SummitのYouTubeでも見れます。ちなみに今回のLaunch Padの1位は農業関連のサービス「AgriBus-NAVI(アグリバスナビ)」だったそう。

ピックアップした4つ中3つが、自分だけのファッションアイテムを「つくれる」サービス。先日公開した、ジャーナリストの林 信行さんとの対談でキーワードになっていた、一人ひとりにあわせたモノを作り、届けるという「Business To individual(B2i)」の考え方は、今年2016年にますます目が離せなくなっていくことは間違いないのではないでしょうか。

個人的に今年は、何かしらのカタチでインターネットを通しつつも、自分の手を動かして自分だけのモノづくりをする、そんなデジタル時代ならではの”パーソナライズされたアナログ体験”に注目しています。先日も久しぶりにファッションに関連したモノづくりがしたくなり、おしゃれなニット帽の手編みキットを「WOOL AND THE GANG」で購入してみたところ。今年もさまざまなサービスやアプリなどなどをご紹介することで、DiFaを読んでくださっているみなさんのファッションやライフスタイルにちょっとしたスパイスが加わってくれれば、嬉しいなと思います。

DiFaでは、ファッション系スタートアップの方からの売り込みや情報提供を大歓迎しております!ぜひ<CONTACT>から、どしどしご連絡ください! ご取材をお願いさせていただく場合には、編集部よりご連絡をさせていただきます。(必ずすべてのご連絡に目を通させていただいておりますが、ご希望に添いかねる場合もございますので、あしからずご了承いただければ幸いです。)

Text : Nagisa Ichikawa

DiFa編集部



PICK UP

SPECIAL

LATEST

BUSINESS
LATEST