Special | 2016.03.03
2025年未来のファッションはどうなる?ソニー主催フューチャーセッションワークショップレポート

2025年未来のファッションはどうなる?ソニー主催フューチャーセッションワークショップレポート

2016年2月10日、ソニー本社(東京・港区)にて、ソニーの新規事業創出プログラム(Seed Acceleration Program)の施策の一つであるワークショップが開かれました。今回は「テクノロジー×ファッション」をテーマとしています。

『「2025年 感動づくりの未来」~テクノロジーが切り開くファッションの可能性~フューチャーセッションワークショップ』と銘打たれたこのイベント。社内外のファッションとテクノロジーに興味があるデザイナー、プランナー、エンジニアなどが参加し、「2025年・未来のファッション」について様々な意見を交換しあいました。イベント当日の模様をお届けします。

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社内外の多様な人材とのセッションで、”変化の兆し”をスキャニングする

ソニーの新規事業創出プログラム(Seed Acceleration Program)では、現業の枠にとらわれない新たな事業アイディアの創出を促すために、このようなフュー チャーセッションワークショップが定期的に開催されているのだとか。

さまざまバックグラウンドを持った参加者によるオープンな対話から、未来のニーズに関する深い洞察を得て新たなイノベーション領域を発見・共創しようという取り組みで、シーズンごとに異なるテーマのもと、参加者を招待し幅広い分野の有識者の方々が集うのだそう。

ワークショップは、1つのテーマについて2回のセッションがあり、1回目は変化の兆しを集めるスキャニングセッション、2回目は未来の世界観を描くシナリオセッションという構成。今回は「2025年 感動づくりの未来 ~テクノロジーが切り開くファッションの可能性~」をテーマにした1回目にお邪魔してきました。

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ざっと会場を見渡す限り参加者の男女比は半々、年齢層は20~50代まで幅広く、スーツ姿からカジュアルなトレンドスタイル、コスプレのようなスタイリングや和服を御召しの方まで、本当にさまざまな方をご招待されているのだなぁという印象。

参加者は、ファッションに関わりのある企業やベンチャー企業の方から、ファッションブランドのデザイナーやプランナーなどアパレルの現場の方、3Dプリンティングをはじめとするデジタルファブリケーションに関わっていらっしゃる方、企業のダイバーシティやCSR担当の方、アーティスト・クリエイターとしてインディペンデントな表現活動をされている方など、こちらも想像通り幅広く、ソニーグループからもプランナー、デザイナー、エンジニア、研究開発メンバーなど、部門・職種・ポジションもさまざまな社員の方が参加されていました。

セッションスタート! 10年後の「ファッションのイノベーション」とは?

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「テクノロジーが切り開くファッションの可能性。身体を守るなどの機能だけでなく、着る楽しみを人々に与えてくれるファッション。 10年後の未来には、テクノロジーによりファッションにはどんなイノベーションが起こり、人々は何に感動するのか?」というスライドと、今回のセッションの流れが説明されました。”変化の兆し”を集め、その先の未来の姿を捉えるまでが、1回目のスキャニングセッションのゴールだそう。

まずは隣に座っている方とのペア対話からスタート。今日のファッションのコンセプトは? なんて身近なところから場を和ませていきます。

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そして「2025年、自分のファッションや ライフスタイルが、どのように変化していますか?」 というテーマに、4名構成でのグループ対話では、それぞれが未来のファッションに対して思うことを自由に発表していきます。

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予想もしないアイディアを知ったり、共感することがあったり、さまざまな意見が交換されはじめると、会場の空気も盛り上がりますね!

インスピレーショントークから視野を広げる「ファッションの現在と未来」

さらに視野を広げるためのヒントとして、「2025年のファッション」をテーマに4人のゲストによるインスピレーショントークがスタート。現在のファッションと2025年のファッション、ふたつの観点からのプレゼンテーションを、場内一同、興味深く聴き入っていました。

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ソニー株式会社 新規事業創出部でFashion Entertainmentsプロジェクトのリーダーとして活動中の杉上さんは、プロジェクトチームで企画開発をした柄が変えられる時計『FES Watch』を一つの事例として紹介。テクノロジーとファッションの真の融合による新しい価値を創りたいという“ウェアラぶる”という造語も印象的でした。ライフスタイルに浸透してこそのテクノロジーであるという思想である”ファッション・エンターテインメント”というコンセプトは会場の参加者のみなさんにとってもいい刺激になりそうですね。

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老若男女、国籍、性別、障がいの有無を問わずオシャレを楽しむ服をデザインし、ファッションイベントやコレクションへの参加でも注目を浴びている「tenbo」代表デザイナーの鶴田さんは、“PEOPLE DESIGN”というコンセプトのもと様々なデザイン事例を紹介。この分野は特に、テクノロジーやファブリケーションの活用で更なる進化が期待出来そうです。

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産業技術総合研究所の江渡さんからは、「ニコニコ学会β」での活動や「ファッションは更新できるのか会議」から得たユーザーからのフィードバックを紹介。パーソナルファブリケ―ションが容易になる未来の服は、自分を楽しませたり、他人を楽しませたりする”コミュニケーションデバイス”になるのでは、という示唆がありました。

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デジタルとリアルの境目を往来する現代人向けの衣服を発表しているファッションレーベル「chloma」デザイナーの鈴木さんからは、3Dプリンターによる「衣装出力」という場面においては、より平面と立体を行き来する観点を持つデザイナーが重宝されてくるのではという意見が。

パターンから立体を起こしてきたファッションデザイナーが「ファブリケーションデザイナー」として進化したり、デジタルやテクノロジーを理解したうえでファッションをデザインする、新たな職種や領域を持つクリエイターやアーティストの出現は、今後楽しみにしたいなと思うところでもあります!

起きてほしい変化、起きてほしくない変化

かなり濃いプレゼンテーションタイムを終え、脳内で情報が溢れんばかりとなっ たところで、一旦ブレイク。今まで得た情報を整理するように、2025年に確実に 起きそうな変化はどれか、不確実なのはどれか。参加者それぞれが、以下の4つの観点から、予想される未来の変化の兆しをボードに書き出し、壁に張り出す作業がスタート。

・Political:【例】リサイクル素材の使用義務 など
・Economic:【例】リクルートスーツがなくなる など
・Social:【例】エシカルファッションが当たり前 など
・Technology:【例】自分の体にフィットする調整機能 など

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各々の意見を出していきます。
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4,5人のグループに分かれて作業開始。膝の上に載せたボード上に各々自分の意見を書き記していきます。
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各々の意見を出していきます。
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グループ毎に意見をまとめ、確実に起きそうな変化、不確実な変化をそれぞれ張り出した上で、投票タイムがスタート。投票に際しては、自分にとって起きてほしい変化(緑色)、起きてほしくない変化(青色)とシールの色を分けて、貼っていきます。

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投票タイムには、色々な意見に頷く参加者多数。

テクノロジー×ファッションといっても色んな観点がありますが、張り出された意見も多岐にわたりながら、ある程度予想されている傾向というものは見て取れるような気もします。変化の兆しが少しは可視化されてきたでしょうか?ひとつひとつのボードを眺めながら、DiFa読者が注目している観点にはどういう傾向があるのか、機会があれば調査してみたいなぁなんて思ったりしました。

2025年にファッションリーダーになりそうな未来人とは?

最後のセッションは「2025年にファッションリーダーになりそうな未来人」をプロトタイピングするという楽しげな作業。

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どんな生活スタイルで、どんな価値観を持っていて、普段何を考えていて、どんなことが嬉しいことで、どんなことに困っているか……。未来のファッションリーダーは、一体どんなスタイルでファッション誌のインタビューに応えているのでしょうか? そもそも、ファッション誌は存在するのでしょうか? 服へのこだわりではなくオンラインに載る写真加工へのこだわりの方が比重は高まるのでしょうか……?

それぞれの想う「未来」への妄想力がここでは試されますね。思わず笑ってしまうような回答も、現実的な予測も、様々なアウトプットがあること自体が今日の収穫です! 長時間お疲れ様でした!

参加者の方へ今回の感想を伺ってみました

-「服という属性を外した方が、輝けると思う」

グループセッションで「裸への回帰」というテーマで話し合っていたら、他の参加者さんから「服という属性をわたしから取った方が、輝けると思う」という意見が出たんですね。結構、ハッとして。他者とのインターフェースって、これからもどんどん多様化していくでしょうし、今自分が捉えている「服」というもの自体の存在や定義だってこれからは変化していくんだろうなって、改めて思って。貴重な気づきでした。(20代 WEBサービス ディレクター 女性)

-「未来の身体拡張の可能性に、ゾクゾクしました」

障がいを持った方やさまざまな身体特徴を持つ方の衣装デザイン、ファッションショーへの出展などといった「tembo」の鶴田さんのエピソードは個人的にグッときました。マグネット式のネクタイやシャツは、アドバルーン的”いわゆるテクノロジー”ではなくて、実際に身に付ける方にとって実用品であるべきなんですね。(20代 デジタルデザインツール企画開発 広報 女性)

-「テクノロジーとファッションはいい意味で乖離している」

ファッションが要求するテクノロジーと、テクノロジーが要求するファッションは良い意味で乖離していると思います。素材の質感であったり、平面と立体であったり、これまでそれぞれが思っていた「服」に対しての定義をガラッと変えるような発想が必要で、これから新たなクリエイターやプロジェクトが現場に変化を起こしていくのだと思います。(30代 ファブリケーションスタジオ運営/デザイン制作/企画 女性)

-「感性はコピーできない」

ものづくりという観点では、これまで属人的であった手仕事のプロセスや製造工程のコピーが技術的には容易になってくると思うので、そのもっと手前の所にある根本的な発想や思想、創造性を大切にした個人のクリエイターや表現者が“産み出す”ようなファッションと、手仕事並みの機械や縫製で創られた“完全コピー”との二分化が今以上に加速するとも思っています。(20代 ウェブ企業プランナー 女性)

今回はDiFa読者に近い女性の方を中心にお話を伺ってみましたが、みなさん声をそろえて仰るのが「再定義すること」でした。それぞれの属性や偏見を取り払い、今までにないものを産み出す、まさにこのフューチャーセッションワークショップが謳うダイバーシティと共創の目指すところと一致した、それぞれにとってのいい収穫があったのだろうと思います!

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次回セッションは「×テクノロジー」に注目

最後に発表されたいくつかの面白そうなユーザー像から、価値観やニーズを深堀りし、テクノロジーでできることをくっつけながら「イノベーションのストーリー創り」をしていくのが3月に開催される次回のセッション内容「未来の世界観を描くシナリオセッション」なんだそうです。その後、4月にはアイディアをより具体的にブラッシュアップする「アイデアソン」も企画中なのだとか。

参加者の皆様、お疲れ様でした!

DiFa編集部



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