Topics | 2016.03.30
テクノロジーとファッションの橋渡し役として活躍中のオランダ人女性マリーナ・トータース

テクノロジーとファッションの橋渡し役として活躍中のオランダ人女性マリーナ・トータース

テクノロジーとファッション。さまざまな形でコラボレーションがすすむ二者ですが、その間にはそれぞれの文化や考え方の違いなど、相互に理解が必要となる要素が数多く存在します。

この近いようで遠い二者をつなぎ、そのコラボレーションを促進する”媒介者”として活動する人物がオランダにいます。ファッションテクノロジー分野のデザイン&リサーチファーム「by-wire.net」のマリーナ・トータース(Marina Toeters)さんです。

ファッションとテクノロジーの媒介者

マリーナ・トータースさんは、テクノロジーはあるがその活用方法に悩むテック企業や、テクノロジーを活用したいが、その分野に精通していないファッションブランドやデザイナーなどとパートナーシップを組み、活動をおこなっています。

リサーチから、ブレインストーミングやワークショップを通したコンセプトメイキング、そこからのプロトタイプ開発まで、さまざまな方法を用いつつファッション分野での新たな可能性の模索を手助けする。まさに”媒介者”としての活動しているのです。

どこかの企業やブランドに属することなく活動する彼女には、自社のテクノロジーという範囲や、ブランドイメージという枠組みに囚われる必要がなく、テクノロジーとファッションを横断した知識と経験を有しています。

そんなマリーナさんに、何故by-wire.netのようなビジネスを始めたのかを聞いてみたところ、以下のように答えてくれました。

「一番の理由はファッションとテクノロジー、そして未来の素材をつなぎ合わせるという現代的な課題の解決に興味をいただいたからです。服に重視される伝統的な機能性という枠組みをこえて、ファッションをもっと革新的なものに変え、そして日々当たり前のように服を着る中でそういった変化の恩恵を受けられる世の中にしたいと考えたのです」

さまざまなパートナーとのコラボレーション

マリーナ・トータースさんが携わるプロジェクトでは、さまざまな形でファッションとテクノロジーの融合が実現されています。

― ILJA ウェブサイトより
ILJA ウェブサイトより

例えば、ドイツのファッションデザイナー「Ilja Visser」の2016年春夏コレクションでは、ファッションの一部として洋服に発光する機器を内蔵し、「光る洋服」を実現しています。

ここでは、「環境や周辺状況に適応し、新しいものを吸収していく」というテーマを表現するため、感情に応じて色を変える生物的な反応を、テクノロジーを用いて擬似的に再現しているのです。

― by-wire.netより
by-wire.netより
― by-wire.netより
by-wire.netより

「NazcAlpaca」というプロジェクトでは、Bear Creek Mining S.A.C.というペルーの企業と共に、オフィスワーカーのためのプロダクトの開発を行っています。

オフィスワークにおけるストレスを計測するため、オフィスの温度環境や空気環境を測定するセンサーを内蔵したデバイスを作成。それを、ペルーの特産で、保温性の高さに定評のあるアルパカ繊維を用いてつくられた専用のウェアやスカーフに組み込み、高い機能性を有したオフィスワーカーのためのファッションアイテムをデザインしています。

マリーナ・トータースが考える、ファッションとテクノロジーの今後

このように、さまざまな分野のプロとコラボレーションすることで、テクノロジー×ファッションの分野において新たな可能性を模索し続けるマリーナ・トータース氏。同氏はファッションとテクノロジーの関係性はまだまだ変化する余地が多く残されていると語ってくれました。

「正直、現時点では、人と服の関係性はあまり変わっていないと思います。服は従来通り布を縫製して作っていますし、社会規範として存在し続けています。

しかし、服に対する伝統的な概念というのは変化してきており、ファッションと新しい技術が合わさることで、新たなテクノロジーとファッション双方から新たなファン層が生まれてきています。彼らは、ファッションテクノロジーによって生まれるさまざまな潜在的可能性に理解があり、日々の生活の中で新たなムーブメントと価値を作っていくことになるでしょう。

両者の関係性は進化がはじまったばかりで、特にデイリーウェアの分野ではまだまだ開拓の余地があると思います」

また、マリーナさんに今後どういったチャレンジをしていきたいかと伺ってみたところ、意外な回答がかえってきました。

「私がやってみたいことの1つは、ユニクロとコラボレーションです。彼らの手法をもとに、繊維の開発をしたり、ユニクロのルーツをファッションテクノロジーに落とし込み、世の中の進化を加速させる一翼を担いたいですね。

他にも日本のデザイナーやテック系企業からも影響を受けているので、もしファッションシステムのコラボレーションに彼らも興味があるようであれば、ぜひ力になりたいと思っています」

遠く離れたこの日本へも関心を持たれていることはさすがといったところでしょう。この分野のリーディングパーソンとして、今後も目が離せません。

by-wire.net

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Text : Kazuyuki Koyama
Cover photo by by-wire.net

DiFa編集部



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