Special | 2016.05.13
テクノロジーを応用し、環境と身体の変化を視覚化するファッションデザイナー、Lina Wassong

テクノロジーを応用し、環境と身体の変化を視覚化するファッションデザイナー、Lina Wassong

― instructables『Sound Reactive Equalizer Skirt』linawassong.com より
― instructables『Sound Reactive Equalizer Skirt』linawassong.com より

誰もが意識することなく過ごしているであろう私たちの身体を流れる電気信号や、私たちの感覚を常に刺激する光や音。

Lina Wassong(リナ・ワッソン)はそんな身体や環境から発せられるシグナルをテクノロジーの力で視覚化して、服に落とし込むファッションデザイナーです。ドイツ人のリナはアメリカのパサデナシティカレッジでファッションを学び、そこでファッションの技術的な側面に興味を持ち、ドイツのハンブルク応用科学大学でクロージングエンジニアリングを専攻。化学繊維や服生理学、パターンメイキングなどを学び、2015年に卒業しています。彼女は「将来どうすれば私たちは電子機器とよりスムーズにコミュニケーションを取れるか」を自分に問いかけながら、環境と身体をデジタル化する新しい方法を模索しています。

そんなリナが生み出すユニークなデザインの秘密から、彼女が描くファッションとテクノロジーの未来について聞きました。

感知するのは光や音から鼓動まで

環境と身体をデジタル化すると言われても、正直分かりそうで分かりません。そんな思いを質問すると、環境や身体から発生するシグナルを”視覚化”することについて、以下のように語ってくれました。

「人間の体や環境の変化を感知するさまざまなセンサーを使って集めたデータを、多様な方法で視覚化するようにしています。たとえば、ライトの色の変えたり、発光のパターンを変化させたりなどです。人間が気づかないような小さな刺激をセンサーがどのように感知するのか調べるのは面白いですし、刹那的に発生する生物的なシグナルを記録し、このシグナルを別の何かに変化させるのに魅力を感じています。」

そんな彼女の考えを見事に体現しているのがThe Monitor Dress (ザ・モニター・ドレス)と名付けられたドレス。このドレスは着る人の心臓の活動を測定し、そのデータをドレスの中央のLEDライトを発光させることで、鼓動を視覚化させています。ドレスの内側に付けられた電極が、着用者の心臓から発せられる鼓動を感知し、それに連動させたライトが紫に発光するように設計されています。

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Monitor Dress – instructables『Monitor Dress - Connect Heart Signals to the IoT』より
Monitor Dress – instructables『Monitor Dress – Connect Heart Signals to the IoT』より

その他にも、Equalizer Skirt(イコライザー・スカート)やObscurity Suit(オブスキュリティー・スーツ)といった光や音に反応するアイテムを発表しています。

イコライザー・スカートは、イコライザーバーのように配置されたLEDライトが周囲の音に反応して発光するスカート。マイクを使ったプロダクトを作ってみたいというアイデアから製作されました。スカート自体のシルエットを崩すことなく、マイクやライトをその中に組み込んでいて、機械的な部分を感じさせないのも特徴の一つです。

Equalizer Skirt – linawassong.comより
Equalizer Skirt – linawassong.comより
Equalizer Skirt – instructables『Sound Reactive Equalizer Skirt』 より
Equalizer Skirt – instructables『Sound Reactive Equalizer Skirt』 より

https://vimeo.com/154008739

明るさを感知するセンサーが付けられたオブスキュリティー・スーツは、周囲の明るさによってスーツに付けられたライトの強弱が変化するというもの。暗い場所にいれば、ライトはより明るく発光し、明るい場所では光りが弱くなります。

Obscurity Suit –linawassong.com より
Obscurity Suit –linawassong.com より

これまで紹介した3つのアイテムとは少し趣の違うJellyfish Skirt(ジェリーフィッシュ・スカート)。このスカートはデータが別の形態のエネルギーに変わる過程を視覚化するためにデザインされました。スカートの後ろ部分にはバッテリーとマイクロコントローラーが付けられており、そこから発せられる電気信号がカラフルな色に変化するよう設計されています。あらかじめプログラミングされた色やパターンに発光するこのスカートは、クラゲのようなシルエットにゆったりと変化していく色が幻想的な雰囲気を醸し出しています。

Jellyfish Skirt – instructables『Fiber Optic Jellyfish Skirt 』より
Jellyfish Skirt – instructables『Fiber Optic Jellyfish Skirt 』より

リナ・ワッソンが見つめるファッション×テクノロジーの未来

そんなユニークなプロダクトの製作過程が気になり訪ねてみたところ、ファッションとテクノロジーの両方を軸にする彼女らしい回答がありました。

「これらのプロダクト作るには2種類のプロセスがあります。デザインのアイデアか、試してみたいテクノロジーのどちらかが先にあります。もしデザインのアイデアが先にあれば、テクノロジーの部分でどうやってデザインの特徴を強調するかを考えます。それから、新しいテクノロジーを応用したプロジェクトやプロダクトについてリサーチします。その一方で、もし使ってみたいテクノロジーが先に見つかっていれば、自分の好みのデザインイメージを集めます。そして、自分のデザインを作り、修正を加えながらそのテクノロジーを組み込んでいきます。」

電子工学やプログラミングを学ぶことを推奨し、多くの人にとって親しみやすくなるためにワークショップなど行うなど、デザインの分野にとどまらず、精力的な活動をしている彼女。今後の目標と自身のプロジェクトに込めた思いを次のように語っています。

「これからは、着る人の体から発せらるシグナルによってコントロールされる服をもっと作りたいと思っています。最終的には、電子機器、服と身体の3つがよりスムーズに連動するプロダクトを作りたいです。また、私の作品が多くの人にとって何かのキッカケになってくれればと思っています。そして、電子工学やプログラミングにもっと興味を持ってもらえるようになればと思います。私たちの社会はデジタル化が進み、より電子機器に依存していくのでテクノロジーへの理解は大切だと感じています。」


新しいテクノロジーの登場と呼応するように、そのテクノロジーを応用するリナのようなデザイナーが増えれば、服はより機能的に、そして服を纏うことがこれまでと違った意味を持つようになるのかもしれません。目に見えない変化を視覚化する彼女の服からは、そんなファッションの少し先の未来が感じられるのではないでしょうか。

Lina Wassong

linawassong.com

Text : Akihiko

DiFa編集部



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