Special | 2016.06.03
独自の世界観でテクノスケープを生み出すデジタルフォトグラファーJulie Wataiに訊く「セルフィー論」とは?

独自の世界観でテクノスケープを生み出すデジタルフォトグラファーJulie Wataiに訊く「セルフィー論」とは?

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「アニメやゲームなどの2次元」「デジタルガジェット」「kawaii」といった、アキバ~渋谷~原宿に息づくカルチャーと美少女を融合させ、国内外から高い評価を受けるフォトグラファー Julie Watai(ジュリ・ワタイ)さん。今回はデジタルとファッションをこよなく愛する彼女と、ライフスタイルを切り口に家電やガジェットを紹介する「二子玉川 蔦屋家電」を歩きながら、デジタルとの出会い、最新のお気に入りガジェットやアプリ、そして全編自撮りとなった最新作『トーキョー・フューチャー・クラシック』に見る独自のセルフィー論についてお伺いしてきました。

Julie Watai(ジュリ・ワタイ)

写真家・ミュージシャン・モデル・DJ・アーティスト
都市に息づく文化をマッシュアップし、独自の世界観でテクノスケープ・フォトを作り出す写真家。活動は音楽、電子工作・モデルなど多岐に渡り、Julie Wataiというキーワードを軸にしたパラレルワールドを形成している。24歳で単身イタリアに渡り、2006年にはイタリアの美術出版社DRAGO&ARTSから『SAMURAI GIRL』を出版。ニューヨークの近代美術館「MoMA」に置かれるなど世界的に注目を浴びた。オタク文化や電子工作の世界にも造詣が深く、iPhoneアプリの開発などにも携わる。最新の作品集『トーキョー・フューチャー・クラシック』では、“セルフィー”をテーマに、スタジオセッティングから衣装選び、撮影、出演までの全てを自ら手がけ、「プロの自撮り」とも言えるセルフポートレート作品集を展開している。

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ガジェットとの出会いは、ファミコンとカメラです

「MOGEES」¥15,800(tax in)。振動センサーと音楽アプリを組み合わせ、あらゆるものの振動を音楽的サウンドに変化させるガジェット。
今回取材でお邪魔した二子玉川 蔦屋家電では、モバイルコンシェルジュ 百名 覚さんにおススメのガジェットを案内してもらった。こちらは「MOGEES」¥15,800(tax in)。振動センサーと音楽アプリを組み合わせ、あらゆるものの振動を音楽的サウンドに変化させることの出来るガジェット。

“ライフスタイルを買う”をコンセプトとした二子玉川 蔦屋家電は、店内を見て回るだけで新しい生活を想像してワクワクできる刺激的な家電店。専門知識を有するスタッフ「コンシェルジュ」のおすすめガジェットには、Julie Wataiさんもビックリ。

――Julie Wataiさんは著作「はーどうぇあ・がーるず」に顕著なように、デジタルガジェットに詳しいですよね。ガジェットに夢中になったのはいつ頃ですか?

Julie Watai:今思えば、ファミコン(任天堂・ファミリーコンピュータ)との出会いがあった頃からでしょうか。気がついたら家にファミコンがあって、ゲームに夢中になっていました(笑)

それと、まだ一眼レフのデジカメが、一般の人に買えるような値段じゃなかった頃に、富士フイルムが一眼レフっぽい形のコンデジを出したんですけど、それも貯めていたお年玉を使ってすぐに買ったのを覚えていますね。

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――ゲームとカメラがガジェットへの目覚めだったんですね。

そうですね。当時はガジェットという言葉もなかったので、本当に自然な流れでした。カメラはそれまでも銀塩の頃から使っていて、はじめて使ったカメラはミノルタ(当時:現在はコニカミノルタを経てソニーが事業を継承している)のαシリーズ(レンズ交換式デジタル一眼レフカメラ)でした。

当時はまだインターネット上にJPEG形式のファイルがアップロードできない時代だったので、写真を紙に焼いて、それをスキャナで取り込んで、GIF画像に変換してアップしていました(笑)

――その頃に比べれば本当に便利な時代になりましたよねぇ……。最近では、新しいカシオのカメラを購入されたとツイートでお見掛けしましたが。

Julie Watai:そうなんですよ! 今日も持ってきました! もう愛おしすぎて、毎日持ち歩いています。

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Julie Watai:この子はボディが渋いんですよ。今のコンデジってレトロデザインなものが流行っているんですけど、カシオ(CASIO)だけはブレずに、そういうのを作らない(笑) 機能で勝負するんですよね。高速撮影が得意分野で、これも電源をオンにしたらすぐに撮影ができるようになるんです。

最近犬を飼いはじめたので、起動が早いものじゃないと難しいなと思ったのが購入の最大の決め手なんです。本当はカールツァイス(Carl Zeiss)ライカ(LEICA)のレンズを載せたカメラが欲しいところですが、起動に時間がかかっちゃうんですよ。

Jurie Wataiさん私物の「CASIO EX-ZR1700 GD」。Bluetooth® Smart / Wi-Fiに対応した、高倍率チルト液晶モデル。「エクシリム オートトランスファー」機能を搭載。スマートフォンとの常時接続で画像を自動送信できる優れもの。

これは買いだ、と思ったポイントはもうひとつあって、Bluetooth接続で自動的にスマホに写真が送られてくるんです。普通はSNSにアップしようとすると、携帯とカメラ両方を操作して接続しなくちゃいけないけど、これは勝手にリサイズもかけられた状態で送られてくるんです。

その機能があるカメラは今のところこれだけなんじゃないかな。めっちゃ楽ですよ! 自撮り機能やフィルターもすごく便利で、広告もかなり女性向けに寄せて作られているのに、なぜか外観は渋い(笑) そこが好きなところでもあるんです。

――なるほど。なんだか家電量販店の店員さんと話してるみたいです(笑) ガジェットを選ぶときには、どんな情報を参考に吟味していますか?

Julie Watai:スペックはとりあえず一通りチェックしますね。でも、今までスペックとかAmazonのレビューを参考にしていても、これ失敗したなぁ、と思う買い物はたくさんあって。最近は絶対に自分の手に取ってから買うようにはしています。ダイヤルの感触や持って構えた時の使い心地とか、フィジカルな部分はやっぱり実際に触ってみないと分からないので、電気屋さんには必ず行きます。

今気になるのは、犬用のウェアラブルデバイスとファッション

二子玉川 蔦屋家電のコンシェルジュおススメのガジェット。「phonotonic」¥9,800(tax in)。球体状のボールを振ったり投げたりすることで、専用アプリを通じて、様々なサウンドを奏でることができる。ウェアラブル・スマートオブジェクト。

――ところで最近、気になっているガジェットはありますか?

Julie Watai:Nike+ FuelBand(2013年に発売されたリストバンド型の活動量計)が壊れてから、ウェアラブルデバイスを持っていないんですよ。そろそろ、そういったフィットネス関連の新しいものを選ぼうと思ってます。

ウェアラブルといえば、最近は犬用のウェアラブルデバイスが熱いです。首輪に付けられて、人と同じように万歩計機能があったり、傾きセンサーで今どういう動きをしているのかを判断して、犬の感情も教えてくれたり。動物は喋れないから、そういうふうにデータがスマホでグラフ化されると、犬の体調をより具体的に把握できて良いですよね。

イヌパシーが開発した犬用のIoTウエアラブルデバイス「INUPATHY(イヌパシー)」
犬用のIoTウエアラブルデバイス「INUPATHY(イヌパシー)

――愛用しているアプリはありますか?

Julie Watai:家ではApple TVの機能を使ってラジオを流していて、ラジオアプリをいくつか使い分けているんですけど、最近よく使っているのが「Bunkai-Kei Records」です。同名のネットレーベルのアプリで、レーベルの作品を流しっぱなしにできるのですごく重宝しています。

ストリーミングアプリ「Bunkai-Kei Records」。Bunkai-Kei recordsからリリースされた曲を全て視聴することができます。
ストリーミングアプリ「Bunkai-Kei Records」。同名レーベルよりリリースされた曲を全て視聴することができます。

――では、 殿堂入りとも言える手放せないアプリを教えてください

Julie Watai:SmartNewsですね。毎日何回もアクセスします。表示されるニュースをカスタマイズできるのが便利なんですけど、私のタブは「ニュース」「犬まとめ」「2ちゃんまとめ」「ギズモード」と続いています。

――スマホのホーム画面に対するこだわりはありますか?

Julie Watai:すごい合理主義な感じです。よく使うSNSのTwitter、Instagram、Facebook。カメラアプリは「Faded」と「B612」を使っています。アプリが多くて、全部で7ページもありますね(笑) あとはアドベンチャーゲームが好きなのでそれも。

Julie Wataiさんのホーム画面
Julie Wataiさんのホーム画面
iOS対応のPhoto Editor「Faded」-madewithfaded.com
フィルム撮影のような質感が出せる、iOS対応のPhoto Editor「Faded」-madewithfaded.com
“自撮り専用”の本格カメラアプリ「B612 - こころで撮る自撮り」(iOS/Android対応)-LINE公式ブログ
“自撮り専用”の本格カメラアプリ「B612 – こころで撮る自撮り」(iOS/Android対応)-LINE公式ブログ

――ファッション系だとどんなアプリを使っていますか?

Julie Watai:ファッション系だとWEARを使っています。あとはminneFRILCreema。この辺の手作り系やフリマアプリが今アツくて、良く見ていますね。

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――デジタル×ファッションの分野で、今後やってみたいことはありますか?

今後は、犬のファッションをやってたみたいですね。実は自分が犬を飼う前までは、ペットの服を着せ替えて楽しむ発想もなかったんですけど。今ってすごいですよね。クール素材で出来たものとか、見た目の可愛さだけでなく、ペットの身体のことも考えられた機能的なものも多いんです。ペットの世界もアキバ系と同じように一部のコアな方々が支えている世界なんじゃないかなと思っていて、新たなオタク業界として飛び込んでみようかなと思っています。

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最新作が全編“自撮り”写真集となった理由は、時代?

こちらも二子玉川 蔦屋家電のコンシェルジュおススメガジェット「Seaboard RISE 25」¥99,800(tax in)。慣れ親しんだキーボードのようでありながら、これまでの鍵盤では出来なかったスライド動作など新たな演奏を可能にする新感覚の楽器。49鍵モデルもあります。

――最新作「トーキョー・フューチャー・クラシック」は、スタジオのセッティングから衣装選び、撮影、出演まですべて自分で行った「プロの自撮り」とも言えるセルフポートレート写真集となったわけですが、今回自撮りをテーマにしたのは何故なのでしょうか?

「トーキョー・フューチャー・クラシック Julie Watai作品集より
トーキョー・フューチャー・クラシック Julie Watai作品集」より

Julie Watai:それまでに出していた3冊の写真集は、どれも女性のポートレート作品のなかに、たまに私のセルフポートレートが混ざっているという内容だったんです。

でも今回、担当編集の女性が「全部自撮りでやってみたらどうでしょうか?」と提案してくださったんです。担当編集は2人ともきれいな女性なのですが「今はこういう女性たちがすごく自撮りを望んでいるんだな」と思い、それならやってみたいと考えました。

——周囲の方々や時代感の要望から自撮りをテーマにされたんですね。

はい。これまで自撮りにこだわったことって、実はなかったんです。HIROMIX(@HIROMIXofficial)さんの写真集でも、たまにご自身のポートレートがまざっていたりするのですが、ドキッとしてページをめくるリズムのアクセントになるんですよね。だから私のセルフポートレートも、あくまで写真集全体のアクセントのひとつだと思っていました。

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——全編を自撮りにしたことで発見はありましたか?

Julie Watai:はじめは自分が出ている写真ばかりになるのでマンネリにならないか心配でした。それと、これまで撮りためてきた作品をまとめて、新撮の写真を加えた内容ということもあり、各写真のコンセプトがバラバラすぎないかなとも不安だったんです。でも、写真集としてまとめてみると、私の世界観がきちんと出ていて本としてのグルーヴ感が出たなと。

——タレント活動をされていた頃からカメラマンの仕事もされていたとのことですが、色んなフォトグラファーに撮られることは写真の勉強にもなりそうですね。

Julie Watai:はい、自分を撮っていただくことはすごく勉強になりましたね。カメラマンさんによって全然撮り方が違うんです。みんな得意技があって、盛り上げるのが上手い人や、ポージングの指示が上手い人、職人的にライティングにこだわる人もいて。

カメラマンだけをやっていたら、色んな人の撮影に立ち会えることって、案外ないんですよね。だから撮影される立場のときも、色んな方の良い部分をちょっとずつ吸収して、自分の写真に活かせたらいいなと、ポジティブな気持ちでやっていました。

Julie Wataiさんご自身が発案、自撮り専用ライト「セル*キラ」。一眼レフカメラなどで使われている、リングライトに着想を得たのだとか。スマホの上部に挟むだけ。裏にあるスイッチでON/OFFと光量を無断階に調光することができます。Julieさん曰く、これはガジェットではなく「デジタルコスメ」だそう。

——Julie Wataiさんの写真はポストプロダクションも自分でされているとのことですが、それも独学で?

Julie Watai:学校ではデザイン科だったので、そういう方向の授業はあったんですけど、デザインよりも合成のほうに興味を持ってやってましたね。当時のPhotoshopは、まだバージョン4でした。

——アイコンがモノクロの目のときですよね。

Julie Watai:そうです(笑) Photoshopを触ったときにすごく可能性を感じて。私の技術がもっと伸びたらすごいことができるんじゃないかとわくわくしていました。昔は同人作家もしていたのですが、写真集を出版すると、その頃のワクワクした気持ちが蘇ってきます。

――写真集の発売だけでなく、新たなオタク業界への挑戦など、今後もワクワクした気持ちで取り組むテーマは尽きそうにないですね。

Julie Watai:そうですね。最近よく、私の写真のことをすごく好きだと言ってくれる、自分よりも若い女性に会うんですけど、今の若い人たちってカテゴリーとかジャンルとか誰かが決めた種別みたいなものにとらわれないで、自然と好きになってくれる人が多い印象があります。だから、彼らは「デジタル」というものを特別なものに意識していないのかなとも感じますね。

私の世代はまだまだパソコンが一般的に普及し始めた頃だったので、デジタルに詳しいというと周りから「パソコンのセッティングをしてくれ」と頼まれるような時代でしたから(笑)

これまでやって来たことと、これから挑戦したいことがうまくこの最新作にはまとめられたのではないかなと、思っています。ぜひ、お手に取ってもらえると嬉しいですね。

*****

キラキラとした目と表情でお気に入りのガジェットについて話す姿が印象的だったJulie Wtaiさん。今後は「犬」という新しい分野に進出したいと教えてくれましたが、ペットとガジェット、ペットとファッションとい領域はたしかに今後要注目な分野かもしれません。Julie Wataiさんの新展開、とても楽しみです。

トーキョー・フューチャー・クラシック Julie Watai作品集 単行本 – 2016/2/6 Julie Watai (著)DU BOOKS (2016/2/6)
トーキョー・フューチャー・クラシック Julie Watai作品集」 著:Julie Watai 出版社:DU BOOKS  2016年2月6日発売

取材協力:二子玉川 蔦屋家電
http://real.tsite.jp/futakotamagawa/
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Text:Kenta Terunuma
Photo:Soshi Setani
Edit:Miho Iizuka

DiFa編集部



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