Business | 2016.06.17
ロボットが在庫を管理!リクエストした商品を棚から運び出す「Solebox」とは?

ロボットが在庫を管理!リクエストした商品を棚から運び出す「Solebox」とは?

Solebox Robot Solebot
「Solebox Robot Solebot」 at Solebox Berlin Store-blog.solebox.de

ファッション業界におけるテクノロジーは、生産ラインにおける織機の開発や新素材の開発、デザインパターンや商品在庫・顧客情報管理のデジタル化など、主に顧客の目に触れる前の工程で用いられてきた歴史があります。

マーケティングやプロモーション、そして決済やカスタマーケアなど、顧客とのタッチポイントを含むすべての局面において、デジタルやテクノロジーの活用がこれまでと違う発想で再定義・再編成を求められる昨今、裏方として業界を支えてきたデジタルやテクノロジーは、どのように表舞台へ登場し始めているのでしょうか。

在庫管理の流れを顧客体験に進化させたSolebox

「Solebox Robot Solebot」 at Solebox Berlin Store-blog.solebox.de
Solebox Berlin Store-blog.solebox.de

ドイツのスニーカーショップ「Solebox」。こちらの店内では、通常はスタッフが商品在庫を確認して顧客へ手渡していた業務フローを、テクノロジーの活用による顧客体験へと転換する試みを行いました。

以前、DiFaで取り上げたRALPH LAUREN(ラルフ・ローレン)の店舗における「インタラクティブフィッティングルーム」事例は、RFID(非接触ICチップを用い記憶媒体とアンテナを埋め込んだタグを読み取ることで個体情報を識別するシステム)によって試着する商品情報を自動で読み取り、商品のディテールや在庫点数をタッチスクリーンミラーに表示するという展開で、”試着”という顧客体験をアップデートするものでした。

あわせて読みたい:RALPH LAURENの「インタラクティブフィッティングルーム」にみる、未来の試着室のかたち

Soleboxでは、どのような導線が展開されているのでしょうか。

「Solebox Robot Solebot」 at Solebox Berlin Store-blog.solebox.de
Solebox Berlin Store-blog.solebox.de
at Solebox Berlin Store-blog.solebox.de
Solebox Berlin Store-blog.solebox.de
Solebox Berlin Store-blog.solebox.de
Solebox Berlin Store-blog.solebox.de

こちらはSolebox・ベルリンの店舗。店内には様々なスニーカーやファッションアイテムがセレクトされ整然と並べられています。その2階部分に、顧客からは見えないことが多いストックヤードをおしゃれなガラス張りのショーケースに仕立て、中には在庫管理ロボットを設置。顧客自身も操作できるという、いわば”ロボティクス・アトラクション”が展開されています。

「Solebox Robot Solebot」 at Solebox Berlin Store-blog.solebox.de
「Solebox Robot Solebot」 at Solebox Berlin Store-blog.solebox.de

クリーンな白い空間に整然と並ぶボックスに詰められたスニーカー。そこで働くアーム型ロボットへ、ブランド・商品名・カラー・サイズ毎にナンバリングされたIDをタッチパネルで入力して指示を出すと、顧客がリクエストした商品を棚から運び出してくれるという仕組み。

「Solebox Robot Solebot」 at Solebox Berlin Store-blog.solebox.de
「Solebox Robot Solebot」 at Solebox Berlin Store-blog.solebox.de

ゲームセンターでキャッチャーゲームをするようなワクワク感がありますね。在庫管理ロボットが顧客のオーダーした製品を探し、取り出してくれるその工程自体が、エンターテイメントの仕掛けとなっているわけです。

このロボットを設置することで、どの程度販売員の負荷が軽減され売上に貢献するのかは、正直なところ未知数ではあります。顧客と対話しながらフィット感をカウンセリングしたり、スタイリングアドバイスや他のアイテムをサジェストしたり、といった細やかな接客対応においては、逐一ロボットを介すことが非効率となる場合もあるでしょう。

「Solebox Robot Solebot」 at Solebox Berlin Store-blog.solebox.de
Solebox Berlin Store-blog.solebox.de

Soleboxがこのような在庫管理ロボットを導入できるのも、全在庫や顧客データをオンラインで同期させたオムニチャネル戦略を実装し、店舗での接客や決済においてもデジタルを活用したオペレーションが無理なく運用されているからこそなのかもしれません。

顧客がどのアイテムに興味を示し、どのサイズやカラーを試着し、フィットしたものはどれだったのか。接客における情報をオンラインカルテとしてマーケティングデータにも残すといった事も可能になります。


こちらはベルリン店舗のオープニングレセプションの様子。SNSでのシェアやインフルエンサーを巻き込むコミュニケーションコンテンツとして、存在感はバッチリ。

なぜ、”ロボティクス・アトラクション”を採用したのか。

Soleboxにおける事例で着目すべきは、全てをテクノロジーで完結させ業務の効率化を計ることが目的ではなく、あくまで顧客へのロイヤリティが先頭におかれた設計になっているということ。裏方の工程であったものを顧客体験に昇華し、彼らのブランディング戦略の一つとして成功を収めていると言えるのではないでしょうか。

Solebox Berlin Store-blog.solebox.de
Solebox Berlin Store-blog.solebox.de

”ロボット”や”テクノロジー”が表舞台に登場する事例は、日本国内でも様々な事例が登場しつつあります。ただ、店舗におけるデジタルやテクノロジー活用において、”いかに未来的であるか、機械的であるか、効率的であるか”といったセンセーショナルな印象ばかりを押し付けるだけでは、なかなか”日常”にはなりにくいように思います。

最も大切なことは、今までの消費体験を少しだけ驚きとともに楽しませてくれるものとして、いかに”地続きな印象”を残すことができるかどうかなのかもしれません。

Text:Kazuyuki Koyama

Miho Iizuka



PICK UP

SPECIAL

LATEST

BUSINESS




LATEST